もう大丈夫。ここでの思い出がこれからの自分を見守ってくれるはず。
そう確信し、彼女は部屋を出ます。
そしてまた、また再びあの場所へ。
眼下に見える街の風景を目に焼き付けた後、何かを吹っ切ったように空を見上げている場面が印象的です。
君が君らしくこの先も
桜の舞う中で揺れていた
君の笑顔はいつもよりも
少しだけ少しだけ泣いてる気がした
ぽつりと落ちた涙地面に落ちる
間に合わず拭った君の手を
掴んで気が付けば抱き寄せてた
春色の綺麗な君でずっといられますように
出典: 春を忘れても/作詞:佐竹惇 作曲:佐竹惇
4行目の歌詞から、やはり彼女は泣いていたのでしょう。
目の奥に見えた光るものは、春の日差しの眩しさのせいではなかったのです。
彼と一緒に歩いている間中彼女は懸命に涙をこらえていたのです。
見送る彼の不安な気持ちも、寂しい気持ちもわかっていたから。
そんな彼女の健気な姿を見て、思わず彼は彼女を抱きしめてしまったのでしょう。
彼も、気持ちをずっと抑えていたのです。
ただ、彼が伝えたのは自分の気持ちでもなく、彼女への精一杯のエールだったのではないでしょうか。
「君が君らしく、今日という日を忘れずに頑張れ」と。
そして新しい場所へ…
思い出がたくさん詰まっているであろう公園の前から出発するバスに乗り、彼女は旅立ちます。
もしかしたら、このバス停はこの場所に初めて降り立った場所なのかもしれません。
そしてその場所からまた新しい場所へのスタートを切ったのではないでしょうか。
バスが走り去ったあとのその場所はまた、いつもの春の日の景色に戻るのです。
とにかくリアルで眩しすぎるサウンドと歌詞とMV!
リアルな歌詞なのですが、どうしようもない懐かしさや甘酸っぱさを感じるのは歌詞が過去形だからなのではないでしょうか。
もう、新たな旅立ちのために新天地へ!ということも少なくなった大人が聴いても、共感できる。
そして今まさにこれから新しい土地へ!という人が聴いても自然に曲が染み渡っていくのでしょう。
楽曲全てに眩しさを感じるのは、きっと曲に出てくるふたりが素敵に表現されているから。
そして、それ自体がとても眩しいからなのではないでしょうか。
春が旅立ちの季節ということを忘れるぐらい忙しい日々を過ごしていて、疲れてしまった時。
かつて自分も迎えたであろう特別な春の一日を思い出してみてはいかがでしょうか。
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