ベッドで目覚めたときにするお互いの夢の話。

それは本当の夢でもあり、これからの2人の将来についての話なのかもしれません。

外から差し込んでくる朝日が、ベッドの上に窓の形を浮かび上がらせます。

穏やかな朝のワンシーンですが、すぐに状況は一変します。

どうやらお互いの想い描いていた未来像に、食い違いがあったようです。

その様子が歌では目玉焼きで表現されています。

卵を焼いている途中で起きた2人のケンカ。

口喧嘩がヒートアップしていくうちに、目玉焼きの存在は忘れられてしまいます。

お互いになぜ相手が理解してくれないのか分かりません。

目玉焼きは徐々に焦げてしまいます。

クロスワードを埋めていく

未来と今

信じてる 
信じて でも未来に縛られないで
伝えたい想いがこぼれ落ちても
MY Darling

出典: Cross Words/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介

彼らが言い争っていたのが未来のことなら、目玉焼きはいまの2人でしょう。

「未来に縛られた」結果、いまの2人は頑固で一歩も譲らない状況です。

でも彼はそれでも君のことを信じていると続けます。

なぜなら今回のケンカは、些細な食い違いが原因だと分かっているからです。

私たちはついつい言葉で、すべてを伝えようとしてしまいます。

しかしそれは不可能です。

かならず伝わらない想いや、ニュアンスが出てくるでしょう。

今回はすれ違ってしまったかもしれません。

ただ次同じことを話し合ったら、彼らはケンカをしないでしょう。

お互いのことを知れば知るほど、相手の言っている内容を正しく理解できるからです。

想いのクロスワード

息をするように 君の名前を呼びたい
感じてほしい 僕を
埋められない空欄(あな)は今じゃなくても
いいんだよ すべてがヒントさ

出典: Cross Words/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介

ここでは1番のサビの「水をつぐ」に対して「息をする」に変わりました。

意識的な動作から無意識な動作へと変わっています。

今は週末にしか会えないので、どうしてもお互いを意識してしまうのでしょう。

しかし行く行くは無意識になるくらい、君をずっと感じていたいと彼は考えています。

そのためには、埋まっていない2人の溝を埋める作業が必要なのです。

相手との心の距離はクロスワード。

言葉を埋めるのではありません。

想いを埋めていくクロスワードです。

君のことを知ろうとしても、最初は何もわかりません。

けれどもヒントは転がっています。

君が見せる表情仕草髪型

すべてがクロスワードを埋めるためのヒントです。

君への理解が浅いうちは、間違ったモノを埋めてしまうでしょう。

これがすれ違いの原因だったのです。

言葉に想いを乗せて

「Darling」の意味とは?

「どうして」「どうりで」くりかえす日々の中で
聞きたい言葉が聞けなくても
ねぇ、Darling

出典: Cross Words/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介

2人は生まれた場所も違えば、育った環境も違います。

だから日々を過ごすなかでも「なんであんなことするんだろう?」と疑問が湧くのは当然です。

そのたびに「どうして?」と理由をきいて、2人の理解を深めていきます。

中には納得いかないモノもあるでしょう。

怒りがわいてくる内容だってあるはずです。

でもそんなときでも「Darling」という言葉は忘れてはいけません。

その言葉が2人を繋ぎ止めるキーワードだからです。

恋とクロスワード

息をするように 君の名前を呼びたい
感じてほしい 僕を
同じで こんなに違うからこそ
愛しいんだよ すべてがヒントなのさ

出典: Cross Words/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介

2番のサビとほぼ同じですが、一部歌詞が違います。

それが引用の3行目。

「同じで、違う」の部分ですね。

ここまで心の距離がクロスワードパズルに例えられている、と解説してきました。

ただここの歌詞を読み解くと、実はもっと根本的なことだったと分かります。

それは僕と君自体がクロスワードだと歌われていることです。

まったく別の人生を歩んでいた僕と君。

僕が縦の欄なら、君は横の欄です。

全く違う人間に偶然同じところがあり、それが偶然重なったのが恋人同士なのです。

「同じ」、はたまたま「同じ遊園地に遊びに来ていた」ことかもしれません。

たまたま「同じ映画が好きだった」ことかもしれません。

しかし同じように見える出来事でも、訪れた理由や好きな理由はそれぞれ違います。

それが「同じで、違う」の意味だったのです。

そして歌詞では強調されるように「Darling」が何回も出てきます。

おそらくこの言葉が、今の2人の「同じで、違う」に当てはまるのでしょう。

「Darling」が意味するのは相手を愛する気持ち。

お互いその表現方法は違えども、同じ想いが2人を繋ぎ止めているのだと分かります。

シンプルなMVから読み取るメッセージ

監督はゲスの極み乙女平井堅なども手掛けた田辺秀伸さん。

以前もBase Ball Bearの「いまは僕の目を見て」の監督を務めています。

MVはかなりシンプルなつくりです。

Base Ball Bearが楽器を持って演奏しているのを、クローズアップで映し出しています。

周りの情報がほとんど無いのが、このMVの特徴といってもいいでしょう。

ある意味ではこれが「Cross Words」らしさなのかもしれません。

クロスワードのようなシンプルな空間。

そこに当てはめられたBase Ball Bearという言葉。

それを表現しているのがまさにMVなのでしょう。