悲壮感に満ちた心
愛する人のことさえも ここぞってとき
信じられなくなることも 人の弱さだろう
交わしたくは無いんだよ 結末が見える
果たされないことが 大嫌いなんだ
出典: YURA YURA/作詞:TAKUYA∞ 作曲:彰,TAKUYA∞
自分が愛する人ですらなにかのきっかけで疑ってしまう。
本当に心を許していないのでしょうか。
愛されているという自信がないことも原因でしょう。
いくら打ち解けて心を許していたとしても、もしかしたら裏切られてしまうかもしれない。
誰だって傷つきたくありません。
自分が傷つくのを恐れない人はほとんどいないはずです。
人の心は脆く、弱っているときほど周りの環境や雰囲気に簡単に流されてしまうもの。
約束を破ることはとても容易いことです。
最初から守る意思がない契りですら口ではどうとでもいえるのだから。
たとえ信じる気持ちがあったとしても、相手に悪意がなかったとしても...。
どちらにせよ行き着く先に待っている絶望がちらつきます。
それとなく予期される未来を感じると心に猜疑心が生まれ、自分の意思とは関係なくどんどん大きくなっていく。
その想いを宿した目に映るものはすべてが歪み霞んでみえてしまうのです。
汚れた世界で
美しさを歌う意味
戻れないことを覚悟して 何もかもが 汚れているけど
捨てたもんじゃないよと 美しさも歌っていたい
歳を重ねるのも若さも 言葉にならぬ 程の神秘さで
強くて美しい tiny soul
出典: YURA YURA/作詞:TAKUYA∞ 作曲:彰,TAKUYA∞
心に飽和した悲壮感と絶望。
きれいなものなど見えない汚れた世界に希望を感じるのは難しいことです。
でもそんな世の中でも悪いことばかりでは決してないはず、僅かでも希望があるのならその美しさを歌いたい。
【YURA YURA】に込められた想いに触れられる部分です。
未熟な若さはその一瞬だけのもの。
それとはまた違う、年を重ねるごとに深まっていくもの。
どちらもちっぽけでも強い清らかな精神で構築されているのです。
年齢に関わらず輝けるのはその精神があるから。
本質的に考えると人間とはとても尊い存在のはずなのです。
ナイフで切り裂け
揺れる心 今至純の光が導いたその先は
隠し持ったそのナイフで 自分の哀れさを突き刺す
出典: YURA YURA/作詞:TAKUYA∞ 作曲:彰,TAKUYA∞
まだ心は不安定なままカゲロウの先を進みます。
そんな様子を表すかのような間奏の展開、段々と感覚が研ぎ澄まされ確かなものが見えてくるようです。
そしてその中に聞こえるメッセージ。
「その心意気だとしたらすぐそこにあるだろう」
と聴こえます。
おそらくこれは答えは自分の中にあることを意味しているのではないでしょうか。
隠していたナイフは自分の弱さを己で切り裂くための武器、それは一点の曇りもない強い意思でもあります。
ナイフは周りを傷つけるものではなく、自分の力で未来を切り開いていくためのものだったのです。
微かな希望の光を見つめて
戻らないことを覚悟して 何もかもが汚れているけど
捨てたもんじゃないよと 美しさも歌ってたい
歳を重ねるのも 若さも 言葉にならぬ 本当の神秘さで
強くて美しい tiny soul
ねぇもっと 悲しい歌なんかより 希望に満ちた声を聞かせたいよ
出典: YURA YURA/作詞:TAKUYA∞ 作曲:彰,TAKUYA∞
意志ある音が重なり合って構成される世界。
幻想的に思えるカゲロウはストリングスの音色と共に広がり、そこに確かに存在する希望が感じられます。
カゲロウを抜けてたどり着いた場所に見えたのは希望。
【YURA YURA】は不安定な状況と移ろう人の心を象徴しているのではないでしょうか。
もし希望を少しでも感じることができたのなら、目に映る世界にも美しさを見いだせるかもしれません。
もうひとつ必要なのは自分の強い心。
自分の中にある小さくて純粋な気持ちは自分でしか感じとることができません。
それを見つけ出して未来を切り開いていくことも自分にしかできないことなのです。
【YURA YURA】は「AwakEVE」のラストナンバーというだけでなく、この先に繋がる光が見える存在として捉えられます。
汚れた世界と人間の心の弱さがあるからこそ、純粋な希望と人間の強さと美しさが感じられるのです。
心の揺らぎもバンドサウンドが振り切ってくれるような感覚も覚えることでしょう。
この楽曲が儚く悲しい歌として届いたのか、それとも純粋な光の美しさを少しでも感じることができたのか。
後者であることを願っています。