主人公はどうやら、素直に謝れないことも仕方がないことだと割り切っていたようです。
自分をよく理解してくれている彼女なら、それもきっと許してくれるだろうと思っていたのではないでしょうか。
そうやって自分が悪くても謝らない主人公に対して、涙を見せて自分が傷付いていることを伝えた彼女。
その涙が教えてくれた大切なことというのは、相手を思いやる気持ちではないでしょうか。
人はどうして謝るのかというと、自分が悪いことをしたということ以上に、それによって相手が傷付いているから謝るのです。
彼女のために変わろうという想いを露わにする主人公
僕はそう その綺麗な瞳を二度と濡らさずに
めぐる季節が終わりを告げるまでずっと
君を 君を 大切にするからね
出典: 大切にするからね/作詞:渡和久 作曲:渡和久
もう二度と彼女を泣かせるようなことはしないとここで誓う彼。
「めぐる季節が終わりを告げるまで」という言葉は、暗に生涯を添い遂げるという気持ちも表しています。
もちろん元は赤の他人同士、一緒に居ればケンカをしてしまうことだってあるし、二度と泣かせないというのは不可能なのかもしれません。
でもこの言葉に込められている大切なことは、実際に彼女が泣くかどうかではないのです。
そこに彼女のために変わろうという主人公の気持ちが表れていることが、一番大事なことなのではないでしょうか。
何度も訪れていた別れの危機を思い返して
別れの危機は「変わってほしい」という気持ちから
思い返せば
何度か別れがよぎったね
そのたび君は
バカな僕にチャンスをくれた女(ひと)
出典: 大切にするからね/作詞:渡和久 作曲:渡和久
恋人同士に別れの危機が何度も訪れるのは二人の絆を試すため、そして二人の絆をさらに強めるためとは言えないでしょうか。
その口ぶりから、この二人の別れの危機はいつも主人公側に落ち度があったのだと思わされます。
きっと彼女だって彼と別れたいだなんて本当は思っていなくて、彼に変わってほしい一心で別れを切り出すようなことをしていたのでしょう。
ましてや危機は何度も訪れていたのです。
本当に別れるつもりだったのなら、どこかできっと乗り越えられずに終わっていたのではないでしょうか。
そのことを今思い返して、「彼女は自分のために突き放してくれていたんだな」と悟った主人公の様子が描かれます。
恩着せがましく思ってはいないでしょうが、彼女としては突き放していた本当の意図を察してくれたことは嬉しいでしょうね。
彼女がとにかく優しい!
「こんな時は男から電話してくるでしょ」って
おどけた絵文字入りのメールをくれた
君を失わずにすんだ
出典: 大切にするからね/作詞:渡和久 作曲:渡和久
ここは彼女の人柄が垣間見える部分ですね。
男側にどうしてほしいのかを、彼が出来るだけ罪悪感を感じない形で伝えています。
普通ケンカをしていたらもっと感情的になってもおかしくないものですが、これは本当に優しい!
こんな彼女が居たらそりゃあ主人公だって「離しちゃダメだ」と思わされるでしょうね。
飾らない言葉は上手い言い回しなんかよりずっと響く
僕はもう その小さな手を二度と離さずに
めぐる季節が終わりを告げるまでずっと
君を 君を 大切にするからね
君を 君を 大切にするからね
君を…
ずっと…
出典: 大切にするからね/作詞:渡和久 作曲:渡和久
一番最後のサビ部分。ここで彼女のことを二度と離さないという内容が歌われていますね。
「小さな手」と彼女のか弱さを表現しているところに「自分が守るんだ」という気持ちが表れているように感じます。
何より難しい言葉は並べずに「大切にするからね」と言っているのも不器用な彼らしいですね。
そしてこういう飾らない言葉というのは、上手い言い回しをするよりもずっと胸に響くものではないでしょうか。
だって本当に好きで気持ちが高ぶっているときというのは、そんなに上手く言葉をまとめられるものではないはずですから。
男というのは得てしてかっこつけたいという気持ちに駆られるものですが、ひょっとすると素直に感じたことを口にするのが一番嬉しいのかもしれませんね。
言葉だけを伝えるのは簡単
今回は風味堂の「大切にするからね」を紹介、歌詞の内容を解釈させていただきました!
彼女との出来事を振り返って、彼女がどれほど自分のことを想ってくれていたのか気付いた主人公。
そしてそんな彼女はただ一人自分が大切にするべき存在だと、決意を固くしたことを誓っていました。
ただ「大切にするからね」という言葉を並べるだけなら誰だってできることです。
この曲が感動するのは、そんな言葉に至るまでに一筋縄ではいかなかった想いが描かれているからではないでしょうか。
たくさんケンカしたことを取ってみても、それは二人だったからこそ起こったこと。
恋人同士なら、きっとそんな二人だったからこそ起こったことがきっとあるはず。
それが強い想いに繋がるかけがえのないものだと伝えてくれるような、そんな1曲となっていましたね。