SCANDAL「瞬間センチメンタル」

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さっそくですが、肩書や概要などをすっ飛ばして楽曲を聴いていただきましょう。

SCANDALは可愛いというよりは凛々しくてかっこいいガールズバンドで、楽曲もストレートなロックバンドの曲に仕上がっていますね。ギターのメロディラインが覚えやすくてグレイトです。

そして皆さんべっぴんさんですなあ…。

「瞬間センチメンタル」/SCANDALの歌詞に込められた意味とは...!?『鋼の錬金術師』ED曲!の画像

『鋼の錬金術師』ED曲

「瞬間センチメンタル」/SCANDALの歌詞に込められた意味とは...!?『鋼の錬金術師』ED曲!の画像

「瞬間センチメンタル」はアニメ『鋼の錬金術師』のエンディングテーマ曲として、第39話「白昼の夢」から第49話「親子の情」までで使用されました。ギャグ要素も含まれていた前半と雰囲気をガラリと変えて、「約束の日」に向かいシリアスになっていく話の合間に使用されたといってもいいでしょう。

『鋼の錬金術師』に限らずですが、アニメのエンディングは話の最後に流されるのがオーソドックスです。しかしこの「瞬間センチメンタル」は、もちろんエンディングですから物語の最後に使われたものの、かなり変則的にかつ効果的に組み込まれています。

とくに第46話の「迫る影」のエピソード。大総統閣下の存在を疎ましく思うグラマン中将が、閣下の電車爆破の知らせを聞いたときにニヤリ。そこで「瞬間センチメンタル」がBGMとして絶妙のタイミングで流れるのです。

長らく重苦しく大総統閣下がどっしりポジションキープしていましたが、爆破の知らせから一気に視界が晴れたかのような印象を受けるのです。このシーンの鳥肌感は全話通して見た方のみの特権でございましょう。

そしてそこから雄々しく上着を羽織り、銃を装填するリザ・ホークアイ少尉と彼女のセリフ。夜が明ければ「約束の日」であるという緊迫感や闘争心を、BGMの「瞬間センチメンタル」がうまく駆り立ててくれます。

また、第49話「親子の情」のエンディングも特殊かつ鳥肌もの。主人公エドが真っ赤な上着を羽織るシーンで「瞬間センチメンタル」が流れ、夜明けの空が「約束の日」が黎明を告げるのです。そして再度「瞬間センチメンタル」が流れ、登場人物たちがシリアスな顔をしているEDへと続きます。

このコメントを書いているだけでもあのシーンの興奮が蘇りますね…。

歌詞に込められた意味

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それでは、『鋼の錬金術師』の内容を織り込みながら、歌詞解釈をしていくことにしましょう。

ネタバレにご注意ください。

「約束の日」

交わしたはずのない約束が
今日も 僕らの未来を奪おうとする

出典: https://twitter.com/kentoscandal/status/921934068643540993

「交わしたはずのない約束」は『鋼の錬金術師』本編でいえば「約束の日」のことでしょう。

国家錬成陣や賢者の石をつくるために、何も知らない多くの人の命が奪われました。その計画はホムンクルスとその「お父様」、軍上層部が勝手に仕組んだこと。

欲しがっていたものを手にしても
素直に うまく笑えないのはなぜだろう

出典: https://twitter.com/kentoscandal/status/921941573536907264

エドとアルは、人体錬成で失った自分のもとの体を取り戻すために賢者の石を探しに旅に出ます。エドが国家錬金術師になったのもそのため。

歌詞中の「欲しがっていたもの」はつまり賢者の石でしょうが、賢者の石の材料は「生きた人間」なのです。そんなえげつないものを手に入れて元の体に戻っても、等価交換の法則には従っているものの、抵抗はありますよね…。

守るための涙

あふれる涙は 弱さや後悔じゃない
イタミが生んだカケラで

出典: https://twitter.com/kentoscandal/status/921881650623012865

『鋼の錬金術師』では、それはもう多くの登場人物が涙を流します。

筆者的に観るのがキツいシーンは、マスタング大佐の戦友かつ親友のヒューズの葬式シーン。まだ幼く人間の死を理解していないヒューズの娘のセリフ、そしてマスタング大佐の「いや………雨だよ」のセリフがどっしりとのしかかってきます。

しかしどの涙シーンも、弱いから泣いているのではないのです。絶望や事実に対する悲しみから己を守るために流す涙なのです。

確かなものは生きる希望