夢? 別に見たくない 本当に嫌だ
痛々しいことしたい気持ちいいことしたい それが僕の本音です
浴びる歓声 飛び交う罵声 耳腐るうるせぇ
それも全部キミが浮かべば細流です

出典: デリート/作詞:あの 作曲:TAKU INOUE

主人公は「お前には夢や希望はないのか」と周りの大人から言われているのかもしれません。

上から目線で語られる夢だの希望だの、そんなのどうでもいいと耳をふさぎたいのでしょう。

自分が生きている実感を得られるのは、痛いことや気持ちいいこと…。

歓声を浴びればうれしいはずだけれど、そんなのどうでもいいやと主人公は思っています。

罵声を浴びたらつらいはずだけれど、それですらただの雑音でしかないというのが本音でしょう。

「毎日つまらない。いろんな人のアドバイスや意見がすべてうっとおしい。」

そんな日々が少しだけ変わるのが、好きな人・キミの存在なのです。

キミを思っていれば、そんなわずらわしい外野からの雑音も細流(せせらぎ)に聞こえると言っています。

好きな人のことを考えると現実逃避できる…そこに主人公の幸福感を感じます。

絶望から抜け出した主人公の希望とは

絶望が霞んだ瞬間 違和感ありまくりの白い雲
滲んだライトでリライトさせる
僕の色に染まらないならいっそのことデリートしちゃおう
バグって明日が消えたとしても どうにかなりそうな気がするって
気がするって君となら ネ!

出典: デリート/作詞:あの 作曲:TAKU INOUE

絶望しかなかった毎日が、キミがいることで少し明るく変わります。

おそらくそれまでは青空を見上げることなんてなかった日々だったのでしょう。

ひょっとすると昼寝て夜起きて…という生活で、昼間の空とは無縁だったかもしれません。

青空に浮かんだ白い雲に違和感を感じつつもキラキラしてうれしい気持ち。

自分を削除までしなくても、リライト(書き直し)をすればいいやと思ってもいます。

その一方で、君とうまくいかないなら、デリートで削除しようという気持ちもあります。

恋愛に失敗しても、それはバグとして片付ければいいとも思っているようです。

でもキミがそんな彼女の世界を変えてくれたのです。

キミと一緒なら大丈夫という、主人公の前向きな気持ちの変化で1番が終わります。

それでもやっぱりうまくいかないつらさ

主人公が再度落ち込む理由とは

あぁ 息がしづらいや
もう何処にも行けないや
生きづらいや でもデストロイヤー には死んでもなりたくないや

出典: デリート/作詞:あの 作曲:TAKU INOUE

やっぱりなんだか生きづらい思いを抱えている主人公の様子で2番が始まります。

キミの登場で毎日が楽しくなったのかと思ったのに、なぜか暗い歌詞に逆戻りしています。

外出する気にもなれない主人公です。

それはなぜなのか?この次の歌詞にその理由が書かれています。

愛されたかった主人公の失恋

あぁ なんで
君は僕のモノにならなかったのかな
君と大切なモノも取り戻せる気がしたんだ
君と星屑さえも食べれちゃいそうな気がしたんだ

出典: デリート/作詞:あの 作曲:TAKU INOUE

どうやら主人公は「君」に振られてしまったようですね。

君と一緒に取り戻したかった大切なものとは、「愛される」ことでしょう。

君と一緒だったらなんでもできるような気がしていたのに、恋はかなわなかった。

つまり愛されたかったけれど、今回も愛されることはなかった。

ただ振られたことはショックでも、君とのいい思い出は主人公の心の中に残っています。

君との思い出で幸せを思い出しているような、切ないけれど温かな心の動きを感じます。

こんな恋したかったという密かな思い

ねえ 僕さ
ユートピアのバスルームで
君の全てを勘違いしながら生きて死にたいの

出典: デリート/作詞:あの 作曲:TAKU INOUE

MVに出てくるanoのワンルームマンションのバスルームは狭くて小さめです。

きっと君と一緒に入りたかったバスルームはふたりで入れるもっと大きなところでしょう。

ふたりで夢のような時間を感じながら、愛に包まれて温まりたかったのです。

死にたかったわけではなく、君と一緒に生きる喜びを実感したかったのです。

生きると死ぬは主人公にとっては紙一重なのでしょう。

ただ、まだ恋を諦めていないことも感じられ、きっと主人公は生きたいのです。