第3・2位
第3位：ただひとつだけ伝えたいこと
第3位は幸せをテーマにした楽曲「ただひとつだけ伝えたいこと」です。
生きていく中で壁にぶつかり、それを避けようとして転びそうになり、とっさに手を突いて怪我をする。
こんな「負の連鎖」を感じたことはありませんか？
何もうまくいかないと感じたとき、この曲の歌詞が染み入ります。
3分半の出会いの中で小さな小さな奇跡が起きたら
笑って欲しいよ
君が生きる日々のわずかなひとときで構わないから
ぼくが通り過ぎた足跡を残せたら嬉しいな
出典: ただひとつだけ伝えたいこと/作詞:前川真悟 作曲:前川真悟
かりゆし58にとって言葉は主張するためのものではなく、伝えるためのものなのでしょう。
だからこそ声高に「君は幸せだ！気付きなさい！」「僕は世界一幸せだ！」とは歌わないのです。
彼らの歌詞にあるのは小さな幸せ、あるいは不幸の否定。
道端に咲く小さな花を指差して、花の存在を優しく教えてくれます。
リスナーが幸せになるためにできることは多くないけれど、ひとつでもあるならやっていこう。
第2位：さよなら
第2位は別れをテーマにした楽曲「さよなら」です。
時間は容赦なく進み、忘れ物や落とし物をしても取りに戻れません。
それを嘆いている間にも、時間は進んでいくのです。
この曲では1日を、1時間を、1分1秒を懸命に生きる決意を歌っています。
命は始まった時からゆっくり 終わっていくなんて信じない
ぼくが生きる今日は もっと生きたかった誰かの
明日かも知れないから
言葉に出来ない思いは 涙にかたちを変えて
こぼれるのでしょう
出典: さよなら/作詞:前川真悟 作曲:前川真悟
テスト終了2分前。2分で解ける気がしないからと諦めるかもしれません。
映画のネタバレを読んでしまったら、映画館には行かないかもしれません。
結末が分かっていると、人は意欲を失ってしまいがちなのです。
人生もまた結末が決まっています。
歳を重ねるほど「どうせいつかは死ぬのだから」と何でも楽観的に考えるようになります。
これもひとつの生き方であり、この曲では決して否定しません。
しかしかりゆし58は、死ぬ将来よりも「生きている今」を大切にします。
時間は誰にも平等に与えられるとはいいますが、死んでしまった人には与えられません。
今流れている時間がいつ奪われるかなんて、誰も予想できないのです。
だからかりゆし58は「今」を懸命に生きることを選びました。
死んでしまった人には感謝の言葉なんて届きません。
もっと伝えたいことが沢山あったのに。そう思うからこそ人は誰かの死に涙を流すのでしょう。
第1位：アンマー
アンマーよ
私はアナタに言ってはいけない
決して口にしてはいけない言葉を
加減もせずに投げつけては
アナタの心を踏みにじったのに
アンマーよ
アナタはそれでも変わることなく
私を愛してくれました
出典: アンマー/作詞:前川真悟 作曲:前川真悟
恐らく多くの人が通る「反抗期」という傍若無人な時間。
今まで生きてきた中で最も長い時間を共に過ごした母親には、感情をぶつけやすいのでしょう。
母親が前川を見捨てなかったのは、母が強いからという理由だけではありません。
母親にべったりだった息子が反抗期を迎えたことが嬉しいのです。
いわば「育児書通り」に成長しているといえるのではないでしょうか。
他人ではなく自分に感情をぶつけてくれる分には構わない、という思いもあったのかもしれません。
でもこのとき前川は、母親が動じない様子を見て「つまらない」「気に入らない」と思ったはずです。
母親が動じない理由が分かるのは、もう少し後になってからなのでしょう。
春先の穏やかな朝に
新しい命が生まれました
アナタの様によく笑う
宝石みたいな女の子
「優しさの中に凛々しさを
秘めた人」になるようにと願い
アナタの一番好きな
あの花の名前を付けました
出典: アンマー/作詞:前川真悟 作曲:前川真悟
自分が親の立場になって初めて分かることが沢山あります。
例え自分の命に代えてでも守らなくてはならない存在を目の当たりにしたのです。
母親が自分の誕生や成長を喜んでいた気持ちが手にとるように分かります。
前川が娘の名前に母の要素を取り入れた理由は、母への感謝だけではないのでしょう。
自分を必死に守ってくれた母親を、これからは自分が守っていこう。
こんな決意が読み取れる「アンマー」のラストです。
まとめ
