当時、J-POPのことを歌謡曲と区別するために「ニューミュージック」と呼んでいました。

そのようなニューミュージックが広まるメディアとしてラジオがありました

もちろんテレビで音楽番組は放送されていました。

しかし、勉強や家事のかたわら耳を傾けるラジオは生活の中に溶け込んでいました。

筆者も当時小学生でしたが、夜になるとラジオを聴いていたのを覚えています。

また学校の話題でも、前日のラジオ番組がよく話題になりました。

そんな時代にヒットした「大都会」に次のようなエピソードがあります。

ヤンリクとヤンタン

それは、大阪のラジオ局ABCの深夜番組「ABCヤングリクエスト」でのことです。

「ヤンリク」の略称でMBSの「ヤングタウン(ヤンタン)」と人気を二分していました。

余談ですが「ヤンタン」は現在も放送していますが、ヤンリクは終了しています。

ABCヤングリクエスト(エービーシーヤングリクエスト)は、朝日放送ラジオ(ABCラジオ)で1966年(昭和41年)4月1日から、1986年(昭和61年)10月3日まで放送された、リスナー参加のリクエスト音楽番組である。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ABCヤングリクエスト

「ヤンリク」は夜11時過ぎから翌朝3時までの約4時間の放送でした。

そんな「ヤンリク」を聴いていたある日のことです。

まず1曲めにこの「大都会」がオンエアされました。

印象的なイントロフレーズに続く、高音のボーカル。

一気にその世界観に引き込まれてしまいました。

すると驚いたのはその後です。

なんとその日は放送終了までに3回「大都会」が流れました

いくら話題の曲とはいえ1回の番組の中で同じ曲が3回も流れるのは異例でした。

翌日、そのことについて学校で盛り上がったのを覚えています。

それほど、この「大都会」の注目度は高かったということだと思います。

もちろん、その後もよくラジオでこの「大都会」を耳にしました。

そんな名曲「大都会」のポプコングランプリ時の映像がありました。

ぜひご覧ください。

ハイトーンボイスの田中さんもすごいですが、吉崎さんの声も素敵です。

歌詞の世界を読み解く

【クリスタルキング/大都会】歌詞の意味を徹底解釈!夢を追い続けた大都会は東京ではなかった!の画像

大都会とはどこか

タイトルの「大都会」とはどこなのでしょうか。

一般的には「東京」や「大阪」を連想するかもしれません。

先ほど世界歌謡祭の件で、筆者も東京という大都会という書き方をしました。

しかし、この曲に詳しい方は「あれ?」と思われたかもしれません。

そう、大都会は東京でも大阪でもないのです。

後にハイトーンボイスの田中さんがとある番組で語っていました。

九州朝日放送(KBC)未来への羅針盤での「大都会」の紹介

ちなみに田中さんは名前の表記が「昌之」「雅将」「雅之」の3種類あります。

いずれも読みは「まさゆき」です。

記事の書かれた年代により名前の表記が異なりますが誤植ではありません。

田中さんは佐賀県出身で、最初は佐世保で活動していました。

そのため、博多はあこがれの「大都会」だったんですね。

そしてその「大都会」で感じた思いをぶつけたのがこの曲です。

大空かけめぐる

それでは次に「大都会」の歌詞を見ていきましょう。

まずは歌いだしです。

ああ果てしない
夢を追い続け
ああいつの日か
大空かけめぐる

出典: 大都会/作詞:田中昌之,山下三智夫,友永ゆかり 作曲:山下三智夫

イントロのフレーズの後、ドラムが「ダンッダンッ」と刻まれます。

その後突然ハイトーンボイスではじまる「大都会」。

最初の「ああ」はどちらかというと「あーーーあーーー」という感じです。

その2つめの「あーーー」がhi-B(高いシ)です。

なかなか男性の地声では出ない音域です。

もちろん田中さんの声も完全な地声ではないかもしれません。

しかし、ファルセットなどではなく、厚みのある声です。

その後も長めの音で歌い続けます。

それがまさに夢を追い、大空を飛んでいるかのようなイメージを与えてくれます。

この曲はこの歌いだし部分で聴く人の心をグッとつかむ力がありますね。

裏切りの言葉