裏切りの言葉に
故郷を離れ わずかな望みを
求め さすらう俺なのさ
見知らぬ街では 期待と不安が
ひとつになって 過ぎゆく日々などわからない

出典: 大都会/作詞:田中昌之,山下三智夫,友永ゆかり 作曲:山下三智夫

さきほどのハイトーンのフレーズが終わり、Aメロで裏切られます。

吉崎さんの低音が突然響き始めるのです。

クリスタルキングを語るときにハイトーンに目が行きがちです。

しかし、実はこの低音パートもなかなか難しいのです。

わずかな望みを持って不安な思いで大都会をさすらう

そんな状況を低音パートが地に這う感じで表現しているのでしょう。

さきほどの天空を翔ける高音パートとは対照的です。

今日と違うはずの明日へ

交わす言葉も寒い この都会
これも運命と 生きてゆくのか
今日と違うはずの 明日へ
Run Away Run Away
今 駆けゆく

出典: 大都会/作詞:田中昌之,山下三智夫,友永ゆかり 作曲:山下三智夫

続くBメロ部分は、2人でのハモりパートです。

高音と低音が美しくミックスされます。

筆者はサビよりもこのパートが好きだったりします。

Aメロで地を這っていた状況から抜け出そうともがいている感じがします。

そして明日は今日とは違うはずだと信じて「Run Away」します。

「Away」はある場所から別の場所へ抜け出すイメージの言葉です。

「地を這っている今日」から「天翔ける明日」へと抜け出そうとしているのでしょう。

そして駆け出すのです。

ここで注目したいのはこの最後のフレーズです。

「大都会」の歌詞を検索していると、この部分が「駆けてゆく」になっているものが多いです。

しかし1番終わりは「駆けてゆく」ではなく「駆けゆく」です。

1番終わりのこの部分はメロディーも下り坂で、そのまま2番のAメロにつながります。

ネタバレすると、2番のBメロ終わりは「駆けてゆく」になります。

さらにメロディーも下らずに伸びてゆくイメージになります。

そしてそのままギターソロに入ります。

そのギターソロの後、もう一度Bメロが歌われます。

そのBメロの最後も「駆けてゆく」と歌います。

その後ようやく歌いだしと同じサビが出てきます。

最後はサビを2回繰り返して終わります。

この曲は最初と最後に印象的なサビを配置する構造です。

そのため最初に聴かされたサビを、リスナーは待たされ続けます。

待って待って、サビにたどり着いたときの解放感が快感になる曲ですね。

裏切りの街

裏切りの街でも
俺の心に灯をともす
わずかな愛があればいい
こんな俺でも いつか光をあびながら
きっと笑える日が来るさ

出典: 大都会/作詞:田中昌之,山下三智夫,友永ゆかり 作曲:山下三智夫

1番のBメロからサビをはさまずに、また低音のAメロに入ります。

しかしここの歌詞は1番とは少し違います。

「わずかな愛があればいい」や「笑える日がくる」といった肯定的な言葉が使われています。

少しずつ前向きに進んで、いい方向に進んでいるのでしょう。

あふれる熱い心とき放し

朝やけ静かに空を染めて
輝く陽をうけ 生きてゆくのさ
あふれる熱い心 とき放し
Run Away Run Away
今 駆けてゆく

出典: 大都会/作詞:田中昌之,山下三智夫,友永ゆかり 作曲:山下三智夫

朝が来て、輝く陽をうける様子は、もう完全に前を向いているイメージです。

そして熱い心をとき放って「Run Away」します。

先ほど書いたように、今度は「駆けてゆく」となります。

この後普通でしたらサビに行ってもおかしくないところです。

しかしここではギターソロに入ります。

ただこのギターソロはサビと同じくらい飛翔感のある演奏です。

そしてもう一度この2番のBメロを歌いサビを2度繰り返します。

聴いている方もそのころには完全に解き放たれているのではないでしょうか。

はじめて聴いた人でも、この最後のサビは一緒に歌ってしまうかもしれませんね。

計算されたヒット曲

「計算された」と書くとちょっとずるく思えるかもしれません。

しかし「果てしない夢」を何が何でも実現するために必要だったのでしょう。

  • 耳に残る印象的なイントロのフレーズ。
  • 歌いだし2音めに出そうで出ないhi-Bを配置してひきつける。
  • サビを最初に聴かせ、そのまま途中では使わずためて最後に2度繰り返す。
  • 高音の抜ける感じと低音の這う感じの対比。
  • 歌詞は1番でネガティブな言葉を使い、2番で徐々にポジティブな言葉に変化。

ここまで見てきたこれらの要素が、すべて聴く人をひきつける要因だと思います。

ときにはネタとして

【クリスタルキング/大都会】歌詞の意味を徹底解釈!夢を追い続けた大都会は東京ではなかった!の画像

「大都会」はお笑いのネタにもよく使われていました。

歌いだしの「あーーーあーーー」の部分をいかにも歌いそうに見せます。

しかし実際に歌うと、歌えなくてまわりがずっこけるという構図です。

その最たるものは、あの明石家さんまさんです。

何せレコーディングまでしてリリースしたのですから。

また名曲「川の流れのように」とつなげてCMで使われたこともありました。

「大都会」のイントロが流れた後、田中から天童よしみがマイクを奪って、「川の流れのように」を歌い、天童が田中を呆然とさせるヴァージョンもあって、その場面でのインパクトを受けている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/大都会_(曲)

カバーは難しい

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