私はあらゆるジャンルの歌詞を紐解いていますが、昭和の名曲での作詞に感動してしまいます。
とてもきれいな日本語が並び、しっかりとした構成で違和感なく心に染み渡るのです。
「菩提樹」の歌詞にも同じ感覚があり、「本」「栞」「頁」が日本語の素晴らしさを教えられます。
「愛した人が残した思い出の品を、めくるたびに声が聴こえる。」
非常にすてきな歌詞で、思わずうっとりしてしまいます。
あなたがいない切ない気持ち
物語は巡ってゆく
咲いては散る花の姿にも似て
出典: 菩提樹/作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童
時間の経過を表現するのに、「花が散る」というフレーズがなぜここまで似合うのでしょうか?
このフレーズは時間の経過を表すのとともに、切ない気持ちも印象づけるのです。
このパートのフレーズから、「物語は切ない気持ちとともに長い年月がたっている」と解釈できます。
仏様の導きあれ
また逢えるよね
また逢いましょう
約束しよう
菩提樹の下で
出典: 菩提樹/作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童
このパートのフレーズは、主人公の願望を表しているように感じます。
目の前にいない愛する人と、また逢う約束をすることを想像しているのでしょう。
「本」が登場したパートで愛する人を思い出し、次に連絡が取れる時に伝えるフレーズだと解釈できます。
ちなみに「菩提樹」は、お釈迦様が悟りを開いた時に見守っていた樹です。
主人公が愛する人と逢うために、神にも祈る気持ちがわかります。
必ずまた出逢える
「菩提樹」の主人公は愛する人が残した思い出にふれ、もう1度逢いたい気持ちが高まっていることがわかります。
お互いに愛し合いながらも別れなければならなかった状況ですが、この先の展開はどうなっていくのでしょう。
「菩提樹」の終盤に入ります。
引き続きお楽しみください。
愛する人のやさしい微笑みが頭に浮かぶ
見上げた空から降ってくる
綺麗な螺線を描く羽
背伸びをして 手を伸せば
あなたの笑顔が 風に揺れてる
出典: 菩提樹/作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童
愛する人は、とてもやわらかい母性とやさしさを持ち合わせていたのでしょう。
そうでなければ、空から舞い降りてくる羽を見て、愛する人の笑顔は浮かばないと考えられます。
主人公は、常に愛する人に包まれながら幸せに暮らしていたのです。
お互いに想い合う気持ちが、とても切なく感じてしまいます。
決して終わることはない
物語は形を変え
愛を探す旅を
繰り返すのさ
出典: 菩提樹/作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童
主人公が対面する物や出来事の1つ1つに、愛する人の面影を感じてしまいます。
まるで愛という形が変化しているように、主人公は感じてしまうのでしょう。
形が変わる1つ1つの愛にふれるたびに、愛する人と逢いたい気持ちが高まります。
物語に手助けできるのであれば、ただちに手を差し伸べたい気分です。
やっととれた連絡
きっと逢えるよね
きっと逢いましょう
約束しよう
菩提樹の下で
出典: 菩提樹/作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童
このパートで感じ取れるのは、願望ではなく実際に連絡がついたのではないでしょうか?
使われるフレーズが「また」ではなく、「きっと」という表現に変わっているからです。
「きっと」は、確実にそうなるであろうことを予測する時に使います。
主人公の努力が実を結び、なんとか愛する人と連絡を取れたのでしょう。
そして思い描いていたことの通りに、出逢う約束の場所は「菩提樹」です。