必聴のロックナンバー「Mr.ファントム」
「Mr.ファントム」に日本の未来を見る
2014年にメジャーデビューを果たした彼ら。
その独特の世界観と考え抜かれた秀逸なメロディと歌詞はわたしたちを魅了し続けます。
昨今の「踊れる音楽」に「知性」や「個性」を乗せ、彼らの曲はどれを取っても完璧といえます。
今回は彼らのメジャーデビュー前の作品「Mr.ファントム」をご紹介します。
メジャーデビュー前のインディーズレベルの曲と侮ってはいけません。
今の彼らに通じるルーツをしっかりと見せつつ、実力派バンドの名前をしっかりと確立しています。
「Mr.ファントム」に込められた思いを深掘りしていきます。
ファーストミニアルバムのリードソング
「Mr.ファントム」は、2013年8月13日リリースのファーストミニアルバムに収録されています。
収録曲は全部で6曲です。
インディーズ時代からファンに親しまれている「mist…」と「逆恨み小僧」をリレコディーングをしました。
さらに新曲4曲が追加されました。
ファーストミニアルバムですが、現在もライブ定番曲として長年愛されている名曲ばかりです。
もちろん、今回ご紹介する「Mr.ファントム」もライブでの演奏率は高いです。
すでにメジャーデビュー前に現在の頭角の片鱗を随所に感じさせる珠玉作です。
こんな早熟なバンドは今後どんな進化を遂げるのでしょうか。
群雄割拠の若手バンド戦国時代で一抜けすることも全くの夢ではありません。
ちなみに、「Mr.ファントム」はアルバムのリードソングとなっています。
メンバー随一の押しソングでもあります。
約3分というそこまで長くない曲ですが、徹底的に計算された絶妙な展開に胸が踊ります。
歌詞を解説つきでご紹介!
それでは、歌詞を意味を一緒に見ていきましょう!
音に犯される
じれったい頭を掻き毟った午前16の転調
意味のないフレーズに犯されてまた横になった
出典: Mr.ファントム/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也
物事が思うように進まず、気持ちが苛立っている様子が感じ取れます。
むしゃくしゃしてそんなイライラを飛ばすように頭をかきむしります。
「午前16」というのは現在の時計の表記では存在しません。
彼らが作った造語でしょう。
「午後16」であれば「午後4時」かもしれませんが、時間の単位がないので時間ではないかもしれません。
「16歳」と年齢を表している可能性もあります。
時間と年齢のどちらも兼ねているかもしれません。
どちらにせよ、「転調」をして変化が起きたことは分かります。
「転調」は音楽でよく使われる用語です。
楽曲の途中で、他の調に変えることを意味します。
もし曲を日常や人生に例えるなら、それまでの調から別の調べに移行したのでしょう。
主旋律は変えずに、少し変化がもたらされたことが分かります。
つまり、「これまでとは違う」という変化が起きたのでしょう。
しかし、意味がないフレーズでその転調が邪魔されてしまったようです。
何かしらの音の塊によって、物事がうまくいかなくなってしまったのでしょう。
横になるほどのことなので、よほどのダメージを受けたのでしょう。
音がわたしたちを攻撃してきたのでしょうか。
ちなみにフレーズとは、音楽でいう複数でまとまった音階のことです。
意味を持たない音が群れになり、自分を蝕んでいきます。
綺麗な闇を連れて行って
その音はやがて綺麗な闇を掴んでは負に向かって
知らない顔した拍子が線を描き重なっている
出典: Mr.ファントム/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也
自分を蝕んだ音は、綺麗な闇をも負の方向へいざってしまいます。
「綺麗な闇」はとても印象深い言葉です。
闇にもいろいろな側面があるのでしょう。
そんな綺麗な闇を意味を持たないフレーズが犯していきます。
そして拍子(リズム)は意思を持つように自ずから楽譜を描いていくのでした。
世界を二分化
見えないAITSUは君の世界を真っ二つにする
出典: Mr.ファントム/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也