back number【サマーワンダーランド】
「サマーワンダーランド」がリリースされたのは2018年11月です。
えっ!?と思う方もいるでしょう。
こんなにも夏を歌っている曲なのに、リリース日は秋の終わりなんです。
それほどにback numberが来年まで取っておくのはもったいないと感じたのでしょう。
季節感は外してしまいましたが、歌われている心情は私達の心にドンピシャです。
彼らの曲を聴くたびに思うのですが、ラブソングの完成度が非常に高いですね。
綺麗事だけでなく人の悪いところも含めて曲にしてあるので、とても人間味があります。
彼らの曲で共感できるものが多いのは、そういう理由があるからなのでしょう。
本曲もそれに漏れず、非常に人間味が感じられる出来に仕上がっています。
男性特有の、プライドが恋を邪魔する様子を描いた歌詞はかなりリアルです。
ではさっそく、無傷で終われないワンダーランドの謎を解き明かしにいきましょう。
歌詞解説スタート
ある日の夏の夜
始まってないけれど終わろうなんて気取ったって
酔っ払った帰り道で電話して
なんだか今日は涼しいねなんて笑っちゃって
何やってるんだろなって思ってはいるんだよ
出典: サマーワンダーランド/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
何の用件もないのに、好きな人に電話したくなる気持ちはよく分かりますね。
恋人同士になる前の、電話をかける瞬間のドキドキは何ものにも代えがたい素敵な時間です。
しかし、今回はそれとは少し違います。
友達以上恋人未満の関係が長く続いてしまったせいで、彼女の方が少し冷めてきているようです。
後の歌詞を見ていくと分かりますが、少し男性側が優柔不断のようですね。
彼もそのことを気にしてはいるようですが、行動できない自分に呆れているのでしょう。
夏に紛れて
互いの忖度の末に出た曖昧さを
電話に出る君の甘さを
この夏に紛れて どさくさに紛れて
出典: サマーワンダーランド/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
少し難しい言葉が出ましたが、“忖度”は相手の気持ちを推し量ることです。
文面から察するに、彼女はあまり彼からの電話にノリ気ではないのでしょう。
しかし一度は好きになってしまった彼のことを、雑に扱うことができません。
恐らくですが彼女はもう彼に見切りをつけて、次の恋愛に進もうとしているのではないでしょうか?
“甘さ”という言葉には、そう感じざるを得ません。
対して彼のほうは、今年の夏に決めたいと考えています。
彼のほうは彼女にぞっこんのようです。
それにしても“紛れて”と表現するのは、彼の意識の弱さが表れていますね。
ワンダーランドの意味に迫る
思い出にしたくない
どうせなら大袈裟に波風立てて
ややこしくしたいのだけど
この目眩は君からもらったのに
夏のせいじゃ嫌でしょ
出典: サマーワンダーランド/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
“波風”や“ややこしく”から、彼女は次の人をすでに見定めているのかもしれません。
ただ、彼女は新しい彼氏をまだ作ってはいないようです。
彼女も次の恋愛に進むか迷っているのでしょう。
夏は恋が始まる季節です。
一方で、ひと夏の思い出で終わる恋も多くあります。
甘酸っぱい思い出で終わりたくない、彼の気持ちがよく伝わってきます。
今までのAメロ、Bメロと比べて、彼の気持ちがストレートに描かれていますね。
ワンダーランドとは?
入り口はいつだって華やか みんな手招きして
無傷で帰れた人のいないワンダーランド
恋愛にゃ完成も完璧もくそもないよって
こんなのは何の言い訳にもならないけど
出典: サマーワンダーランド/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
ワンダーランドとは「恋」を彼なりに表現したものなのでしょう。
最初は大好きな彼/彼女と付き合いたいと誰しもが願います。
みんなが恋のワンダーランドという夢の国に入場したいと考えているのです。
しかし夢が覚めたら、恋が冷めたらどうでしょう?
なぜあんな人と付き合っていたのか分からないと思うほど、喧嘩別れをした人もいるでしょう。
深い付き合いになればなるほど、ワンダーランドから退園するとき痛みを伴います。
またここでは恋の多様性についても歌っていますね。
世間では何であの人たちが付き合うのか分からない、と思えるほど凸凹のカップルがいます。
ドライな関係がベストなカップルもいれば、ドライになると辛くて別れてしまう人たちもいます。
加えて最近では同性の恋も認められ始め、恋の模様はまさに千差万別です。
恋愛に完成された形は無いのだと、彼は歌っていますね。
ぐだぐだと始まる恋もいいじゃないかと歌っているようにも聞こえます。
ここから彼は挽回するつもりなのでしょう。