タイアップ続々のthe peggies『スタンドバイミー』をピックアップ
中学校の部活バンドから日本を代表するガールズバンドへと大きく飛躍した「the peggies」。
キャッチーなメロディが魅力の彼女たちの楽曲は、アニメを中心に多数のタイアップを獲得しています。
今回ご紹介する『スタンドバイミー』もそのひとつ。TVアニメ「さらざんまい」のエンディング曲です。
「そばにいて」と願う理由は?
夜の暗い道、雨のシチュエーションで撮影されたMVは演奏シーンが中心です。
Vo.&Gt.の北澤ゆうほが感情を撒き散らすように歌う姿を見ると、歌詞のメッセージをより強く感じられるのではないでしょうか。
stand by meを直訳すると「そばにいて」という意味になります。
さて、the peggiesの『スタンドバイミー』には、どのような意味が込められているのでしょうか。
弱さを捨てて強くなりたい!
スタンドバイミー お願い
僕は 僕は 強くなれるのかな
涙が雨にさらわれてく
君の熱に抱かれたい
出典: スタンドバイミー/作詞:北澤ゆうほ 作曲:北澤ゆうほ
そばにいて欲しい。「僕」は、「君」に頼み込んでしまうほど強く思っているようです。
しかし続く歌詞を読むと、頼ってばかりでは駄目なのかもしれないと気づいているように読み取れます。
「君」を頼らなくても大丈夫な自分になりたいけれど、そうなれる!と断言できる状態ではないのです。
不安から涙を流しても、まるで泣いていなかったかのように洗い流されていきます。
泣いてしまったことを、「君」には気づいてもらえないかもしれませんね。
泣いていることに気づけば「君」は「僕」のそばにいてくれるのでしょう。
弱い自分から抜け出し次のステップに進もうとする過渡期にあるのだと読み取れます。
控えめ?強引?「僕」の主張
優しくして欲しいと思う「僕」。
強くなりたい「僕」。
まるでモグラたたきのように交互に顔を出します。
距離の変遷
放っておいた消えかけの電球
ある朝そっと明かりは消えてた
まるで君と僕みたい
繋いだ手の儚さを知る
出典: スタンドバイミー/作詞:北澤ゆうほ 作曲:北澤ゆうほ
この歌詞で歌われているのが昔ながらの白熱電球だと仮定しましょう。
白熱電球が光るのは、電球の中にあるフィラメントという金属製の線が熱を持つからです。
フィラメントの左右は、電気を引っ張ってくる線に繋がっています。
何度も熱にさらされるフィラメントは少しずつ劣化し、電気が通りにくくなっていきます。
これが恐らく「消えかけ」状態ですね。
そしてフィラメントが完全に切れてしまったのが朝の状態。
高温(2200 - 2700°C)となるフィラメントではその構成する素材(今日ではほとんどがタングステンとなっている)が点灯時間の累積と共に徐々に蒸発し、細くなることで素材強度がなくなり、最後に折損(俗に言う「球切れ」)することで寿命となる。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/白熱電球
左右の導線をつなぐフィラメントが切れてしまうことと、二人の関係を比喩しているのです。
いつ終わってもおかしくない状態だったけれど、気づいたら二人の間に距離ができていたということでしょう。
しかも、フィラメントが切れる瞬間を目にしないまま。
どうしてこんなふうになってしまったのか、はっきりしないということではないでしょうか。
曇りガラス この宇宙の向こう
微かに見える 君がいるんだね
ほんとはさ気付いてる
“今”の君に触れられぬ“距離”
出典: スタンドバイミー/作詞:北澤ゆうほ 作曲:北澤ゆうほ
ここでは「君」を二通りの方法で見ています。
ひとつは曇りガラス越し。
どれぐらいの透明度か分かりませんが、微かに見えるのであれば「君」はそう遠くない距離にいると推測できます。
もうひとつは宇宙を挟んで。
宇宙の大きさなんて想像がつきませんし、解明もされていないでしょう。
微かに見えること自体奇跡といえるのではないでしょうか。
「君」がいる場所まで行こうとしたら、何億光年?それでは済みませんね。
つまりこれが「今」を逃してしまうということです。
そして「ガラス」という物体に遮られていることで、どんなに頑張っても相手に触ることができません。
ガラスのすぐ向こうに「君」がいるとしても、触れないのです。
距離はないけれど絶対に触れない場所にいると歌っているのでしょう。