氷のように冷たい 世間の壁が
いつもさえぎる 俺達の前を
胸にえがいた この夢は ハンパじゃないから
かじかむこの手 にぎりしめ
ガキのころ 赤トンボ追いかけてた時の
燃えてた瞳は 今でも俺達忘れちゃいないぜ
出典: 男の勲章/作詞:Johnny 作曲:Johnny
続く歌詞で印象的なのは「世間」という言葉。
「氷のように冷たい」
「いつもさえぎる」という表現から分かるように、自らの前に立ちふさがる存在として描かれています。
世間をネガティブな感覚で捉えるのは、まさに「ツッパリ」らしいもの。
しかし、次のフレーズから、歌詞はポジティブなトーンに一転。
そのポジティブさは「夢」という言葉に凝縮されています。
「ガキのころ」を思い出させる出来事は、あまりにも無垢な「赤トンボ追いかけてた時」。
「ツッパリ」=「純情」というプラスのイメージが、リスナーの共感を誘います。
さらに、この曲の歌詞には、多くの若者を引き寄せるギミックが。
一人称は「俺」ではなく「俺達」としたことで、リスナーとの連帯感を生み出したのです
「ツッパリ」ブームの終焉
ここで1つ、興味深い対比を紹介します。
横浜銀蝿が解散した1983年12月31日。
その直前の12月1日、1人のシンガー・ソングライターがデビューします。
リーゼントとも暴走族ファッションとも無縁の、男子高校生でした。
尾崎豊。
デビュー作はシングル「15の夜」と、アルバム「十七歳の地図」。
社会や学校への反抗を生々しく描いた歌詞はアウトロー、不良そのもの。
あからさまな違法行為も、堂々と歌われていました。
「ツッパリ」ブームの終焉とともに登場した新しい音楽は、さらに過激なものだったのです。
「ツッパリ」という言葉自体が死語となったのは、それから間もなくのことでした。
リバイバルヒットへ
時代を超えた「男の勲章」
時代に葬り去られたかに見えた「ツッパリ」ソング、そして「男の勲章」。
「ツッパリ」ソングは2002年、氣志團がメジャーデビューしたことで再び脚光を浴びます。
奇しくも「男の勲章」リリースから、ちょうど20年後のことでした。
1998年に再始動していた横浜銀蝿が「男の勲章2002」を発表したのは、この年のこと。
2003年には、嶋大輔自身が17枚目のシングルとして「男の勲章ー復活ー」をセルフカバーします。
さらに、2005年には、続編「大人の勲章」をインディーズから発売しました。
その後も、さまざまなアーティストがカバーを繰り返した「男の勲章」。
2018年には、さらに大きいムーブメントが起こるのです。
話題のドラマ主題歌に
2018年10月から12月まで放送された人気テレビドラマ「今日から俺は!!」。
1980年代に出版された同名の人気漫画が原作の、いわゆるヤンキーコミックです。
懐かしの改造学生服が登場するドラマの主題歌に抜擢されたのが、「男の勲章」でした。
繰り返しになりますが、この曲が誕生したのは1982年のこと。
音楽ファンにとっては忘れられない、世界で初めてCDが発売された年です。
そんな過去など知るはずもない2018年の小学生が自然に口ずさんだのが、「男の勲章」のフレーズ。
時代も世代も超えることができる音楽の力を、改めて痛感させられる現象でした。
まとめ
「今日俺」を、もっと詳しく
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