ここで使われている言葉はとてもシンプルです。「好き」、「言えない」、「言わない」が何度も繰り返されます

その他に使われている言葉は「トモダチでいい」と「そばにいたい」です。

壊してはいけないのは「トモダチ」としての関係でした。

【好きだから言えない/ももちひろこ】友達でいいから側にいたい…!切なすぎる歌詞の意味を解釈!MVも!の画像

反復するフレーズに心を委ねる

「好き」+「だから」+「言えない」と歌ったあと、同じリズムで「好き」+「なんて」+「言えない」と繰り返します。

「好き」と「言えない」をつなぐ3音だけを変えて繰り返されるここのフレーズは、しっとりと心に残りますよね。

前者は、断定の助動詞「だ」と接続助詞「から」の3文字ですので「理由」を表しています。

「なんて」は、副助詞「など」と格助詞「と」から成る「などと」が音変化した言葉です。

「だから」と冷静に理由を述べたあとで「なんて」と少し感情的にかぶせています。揺れそうな心を強く抑える切ない表現です。

また、続いて「言えない」と歌ったあとに「言わない」と繰り返します。

これも外的要因により「言えない」と表現してすぐに、自分の強い意志としての「言わない」という表現に言い直しています。

「トモダチ」として側にいられる関係を壊したくないからこそ、この決断をするのでした。

叙事的な2番の歌詞!

心の動きを小さな言葉で表現しつくしていた1番に対して、2番の歌詞は、より具体的な思い出に触れていきます。

帰り道に偶然を装って 何度かふたりで歩いたね
話すことは映画と音楽 時々あの子のこと

きみの気持ち わたしの気持ち 矢印は向き合わないのに
消し方なんてわからなくて 恋するって苦しいって わたし初めて知ったよ

片想い言えない 片想い言わない
きっときみを 困らせちゃう
だから言えないよ だから言わないよ
きみが好きなんて

出典: 好きだから言えない/作詞:ももちひろこ 作曲:ももちひろこ

学校の帰り道でしょうか。帰り道の思い出の中で突然出てくる「あの子」とは誰なのかは描かれていません。

映画」、「音楽」と来て、「時々」という言葉を挟んでの「あの子」という提示のしかたを「三段落ち」と受け取ると少々コミカルにも感じます

片思いの相手である「きみ」は「わたし」ではなく「あの子」が気になっているという事実は重いのですが、こういうことをモノとデキゴトで語る表現は、叙事的でとてもお洒落に思えます。

大サビで語られること

「好きだから言えない」というタイトルにもなっているシンプルなキモチを歌い上げる楽曲には、大サビがあります。

下の引用の「Ah-」で始まる2行の歌詞の部分が大サビです。

Ah 幾度もうつりゆく季節に
Ah ココからわたしは動けないまま

出典: 好きだから言えない/作詞:ももちひろこ 作曲:ももちひろこ

楽曲の頭の部分で「2年」という月日に関する表現がありましたが、ここでは時間について「幾度もうつりゆく季節」と、そして、空間について「ココからわたしは動けないまま」と表現しています。

時・空の順にさらりと主人公の様子を描いて、再びサビに進みます。

好きだから言えない 好きなんて言えない
トモダチでいい そばにいたい
こんなに切ないのに

好きだから言えない 好きなんて言えない
きっときみを 困らせちゃう
だから言えないよ だから言わないよ
きみが好きだから

出典: 好きだから言えない/作詞:ももちひろこ 作曲:ももちひろこ

【好きだから言えない/ももちひろこ】友達でいいから側にいたい…!切なすぎる歌詞の意味を解釈!MVも!の画像

好きだと告白すれば「きみ」が困る。だから、「好きだから言えない」と歌い上げて楽曲は終わります。

1曲を通して似たような言葉が少しずつ形を変えて何度も繰り返されることで、聴く人の心はより強く揺さぶられます。

「わたし」、「きみ」、「あの子」と、登場人物の性別をはっきりさせすぎない言葉の選び方もあり、聴く人の立場や性別に関わらず、共感できる歌になっています。

そして、「好きだから言えない」のMVも、性別や世代を超えた共感を呼ぶ作りになっています。

MVの舞台は高校生活!

高校を舞台にしたMVの主な登場人物は3人。それぞれ女子高生の前田希美、ベストを着た男子の五十惇、白いシャツの男子のダーウィン(白シャツの男子)の3人が演じています。

このメインキャスト3人の間には2つの片思いが存在していて、女子高生は白いシャツの男子に、そしてベストを着た男子は女子高生に片思いしています。 

男女両方の片思いが描かれていて、ラブレターを渡されるのを目撃した前田希美の表情と、そのそばにいる五十惇の視線など、見逃せないシーンが満載です。

男子でも女子でも、きゅんっとするしかない少女漫画のようなMVも、楽曲と同じくおススメです!

最後に

今回は、切ない歌詞が繰り返されるももちひろこの「好きだから言えない」を紹介しました。

重たくなりがちなテーマでありながら、悲しさすら愛しく、懐かしさも感じる楽曲に仕上がっていますよね。

これはすでに紹介したように、すっきりとした展開と美しいメロディのせいもありますが、ハスキーな低音と伸びのある高音さりげないしゃくりといったテクニックの上に成り立っています。

下記の記事で紹介されているももちひろこプレデビュー曲「and I…」もお勧めの楽曲です。

日頃なかなか伝えられない大切な人への想いが込められたラブ・バラード、「and I…」。今回は本人直筆のMVや歌詞の意味を紹介します!