「好きだから言えない」は、切ない片思いの歌

片思い。

何となく好きだなという、はっきりしないけど、ほのかな気持ちに始まり、学校ですれ違ったり、心の中で思い浮かべたりするだけで、胸のあたりがキュッとしてしまうあの感じ。

経験されたことのある方も多いのではないでしょうか。

片思いの気持ちが段々大きくなって、相手も少なからず自分のことを想ってくれている気がして、そして、ついに告白!というように進めば良いのですが、なかなか先に進めないこともあるでしょう。

ももちひろこが2016年にリリースした楽曲好きだから言えない」は、そんな、先に進むことが出来ない片思いを歌った楽曲です。

「好きだから言えない」というキモチ

「好きだから言えない」とはどういうことなのでしょうか。

「好き」+「だけど」+「言えない」ならば、「好き」って言いたいけど勇気がなくて言えないという気持ちを表します。

あと一歩勇気を出せるように「頑張って!」と声をかけてあげたくなります。

しかし、ここでは「好き」+「だから」+「言えない」です。

「言えない」理由が「好き」なのだというのです。

片思いとは、だんだんと想いがつのっていくのが常です。「好き」が増えていくのが当たり前。それが片思いです。

なのに、「好き」なのを理由に「言えない」だなんて、「好き」が膨らめば膨らむほど辛くなるということになりそうです。

そんなタイトルを持つ「好きだから言えない」のMVはYouTubeに公開されています。

歌詞を解釈!抒情的な1番の歌詞!

楽曲は静かなピアノのイントロで始まります。

透明感のある声で歌われる始まりの2行の部分を聴いただけでも、片思いする主人公の心情が良く分かります。

きみの姿今日も探してる 出会ってもう2年が経つけど
大事なこと言えずにいるのは 全てが壊れそうで

出典: 好きだから言えない/作詞:ももちひろこ 作曲:ももちひろこ

「もう2年」と歌われます。

高校生であれば、出会ったのは入学した頃で今は高校2年生なのでしょうか。詳しくは描かれないものの、同じ季節を2度過ごしてきた仲ということです。

主人公がこの2年間で育ててきたものは2つあります。

一つは「好き」という気持ち

もう一つは、壊してはいけない「全て」です。

壊してはいけない「全て」が一体何を指すのかは、ここではわかりません。

しかし、タイトル「好きだから言えない」に加えてたった2行の歌詞で、もうこの楽曲のテーマとなる情景を描き切っています。

終わらない片思い。歌詞の続きを見てみましょう。

【好きだから言えない/ももちひろこ】友達でいいから側にいたい…!切なすぎる歌詞の意味を解釈!MVも!の画像

「私」も知らなかった「私」のこと

Bメロでは、静かなAメロよりも高音から始まるテンポの良いメロディに乗せて「きみ」と「わたし」の2人の違いが描かれています。

無邪気に笑いかけるきみを このまま胸に閉じ込めたい
ずっと変わらないままでいたい こんなに臆病なわたし初めて知ったよ

出典: 好きだから言えない/作詞:ももちひろこ 作曲:ももちひろこ

「わたし」の気持ちに気づいていない「きみ」の無邪気な笑顔。そして「わたし」は「きみ」への想いを胸に閉じ込めようとしています。

その自分の様子を「臆病」と表現しています。

その臆病さ故、「わたし」は自分の気持ちを「きみ」に「好き」と打ち明けることはしません

そして、その「臆病」さを「初めて知った」と歌ったあと、1番のサビに入っていきますが、このサビ前の部分。

ここに楽曲の構成上重要な仕掛けがあります。

サビ前にももちひろこが隠したものは?

サビに入る前の部分にももちひろこが隠した重要な仕掛けは2つあります。

一つは、この楽曲が全体的に8小節を1単位とする構成で出来ているのに対し、サビ前に2小節分のフレーズが挿し込まれていることです。

サビには最も大事なキーワードが含まれます。それを聴かせる前に2小節を入れることで、サビへの期待感が高まります。

そして、もう一つは、2小節の前半。「初めて知ったよ」という歌詞が乗っている部分に使われているコードです。

「オーギュメント」というコードなのですが、「初めて知った」つまり、自分も知らない自分を発見した心情を、歌詞とコードの両方を使って表現しているのです。

【好きだから言えない/ももちひろこ】友達でいいから側にいたい…!切なすぎる歌詞の意味を解釈!MVも!の画像

壊してはいけないのは

いよいよ「好きだから言えない」というフレーズが歌われます。

好きだから言えない 好きなんて言えない
トモダチでいい そばにいたい
だから言えないよ だから言わないよ
きみが好きだから

出典: 好きだから言えない/作詞:ももちひろこ 作曲:ももちひろこ