曲の背景には何があるのか?
Nick Jonasの「Chains」は、全体を通してNickの声が際立つように構成されています。
そして、Nickの声は力強くもどこか悲しく聴こえます。
まるで、メッセージを伝えようと必死に叫んでいるのに、誰にも届いていないかのようです。
「Chains」に込められた彼が伝えたいメッセージとは一体何なのでしょうか?
登場人物の仮定
歌詞を紐解いていく上で、登場する人物や言葉に込められた意味をある程度仮定して解釈してみます。
まず、曲中に登場するのは「自分」と「相手」。
曲の中で「自分」は「相手」を想っている、好意を抱いていることがわかります。
ここでの設定として、一般的な解釈であれば「自分」が「男」でしょう。
そして「相手」が「女」若しくはその逆が一般的です。
しかし、今回は両者を「男」若しくは「女」と仮定し、同性愛の物語として解釈したいと思います。
恋愛は男性と女性でするものという概念を捨てて、解釈を進めていきましょう。
「鎖」という比喩の仮定
問題の「鎖」ですが、この曲で歌われている鎖は、もちろん本物の鎖のことではなく何かの比喩でしょう。
その比喩を、ここでは性的少数者への差別や偏見として仮定します。
突拍子もない解釈に思われるかもしれませんが、ありえない話ではないのです。
その理由を次でご説明します。
Nick Jonasの人間性
なぜそのように仮定したのか説明しましょう。
2016年6月29日から行われたNick JonasとDemi Lovatoのツアー「Future Now」が鍵となります。
LGBT差別法を掲げるノースカロライナ州シャーロットとローリーで行われるコンサートをキャンセルしました。
LGBT差別法とは、性的少数者に出生証明書に記された性別のトイレを使うよう求めた法律です。
この一件からも彼は、人々は等しく平等であるという思想を持っていることがわかります。
その思いをこの曲「Chains」に込めたのではないか、という解釈です。
MVは何を表しているのか?
今回の解釈を更に助長するものが、MV(ミュージクビデオ)の存在です。
MVの中では、Nickと女性が自分と相手として演じ、警察やその他複数の人々も出てきます。
一体どのようなメッセージが込められているのでしょうか?
それらの描写の解説も交えながら進めていきます。
1番の歌詞に込められた心情とは?
惹かれる自分
With her wine-stained lips, yeah she’s nothing but trouble
“ワインで染まったあの唇 わかってるんだ
あいつと付き合ったとしてもいいことは何もない
トラブルばかり起こるって”
出典: Chains/作詞:Jason Evigan,Danny Parker,Ammar Malik 作曲:Jason Evigan,Danny Parker,Ammar Malik
自分が想いを寄せている相手が、ワインを飲んでいる様子に見とれているようです。
咄嗟に赤ワインを想像したのではないでしょうか?
ワインの赤色が、唇に重なり、より深い色合いを出している。
なんとも艶めかしく、色っぽい表現です。
自分は、相手に対して色気を感じているのでしょう。
しかし、相手と付き合うことは自分にとって良くないことだ、と自身に言い聞かせている歌詞になっています。
ここでの揉め事というのも、性的少数者ならではのことになるでしょう。
元々友人で、付き合ってしまえば相手との交友関係が無くなってしまいます。
下手をすれば他人同士になってしまう可能性もあるのです。
そして、相手も性的少数者なのではないかと周りから見られるでしょう。
そうなってしまったら、相手の周りにいる友人ともトラブルになってしまいます。