彼女たちが声高らかに歌う希望の歌

そこには彼女たちの歩んできた青春の思い出が散りばめられています

放課後ティータイム=学校で共に過ごしたかけがえのない瞬間

6限の終わりを告げるチャイムが鳴り響くのを心待ちにしていた。

軽音楽部の部室には友人が持ち込んだ美味しい紅茶とお菓子

そしてたわいもない会話、だけど忘れられない会話を交わしたね。

ずっと一緒にいようね。

将来の自分たちの姿も想像せずにそんな夢を口にしていた。

バカだな...。でもディスってるんじゃない。

だってあの瞬間が光になって今私たちのサウンドになっているんだ。

思い出なんかいらない

思い出なんていらないよ
だって“今”強く、深く愛してるから
思い出浸る 大人のような甘美な贅沢
まだちょっと…遠慮したいの

出典: No,Thank You!/作詞:大森祥子 作曲:前澤寛之

AメロとBメロではあれほど感傷的だったのに?

サビで歌われるのは「思い出なんかいらない」という言葉です。

私たちはあの頃夢見ていたように今も一緒の時を過ごしているから。

その「今」をとても愛おしく思うんだ。

私たちは大人になった。

でも昔は良かったね、なんて言葉を口にするのはまだイヤ。

私たちはこの瞬間を強く生きている...。

本当にいらないのは思い出なのでしょうか?

大人になることは様々な理屈や責任を身につけること。

そのことであの頃のピュアな気持ちを忘れてしまうかもしれない。

じゃあ、そんな大人にはならない

私たちだけはピュアな気持ちを忘れずに今を強く生きてゆくんだ!

そんな強い覚悟を感じさせる歌詞が続きます。

心のノートに描かれているのは?

心のノート マーカー引き乱れて
押されると泣きそうなポイントばっか
痛み喜び みんなといると
無限のリバーヴで刺さる 不思議

Let's fly ずっとずっとずっと彼方まで
カウントダウン待てない野望 追い風に
ビート刻むそのたび プラチナになる
ワタシタチノツバサ

出典: No,Thank You!/作詞:大森祥子 作曲:前澤寛之

「けいおん!」関連楽曲の作詞をほぼ全て手掛けている大森祥子さん。

「デジモンアドベンチャー」「プリキュア」などの楽曲も手掛けるアニソン界の有名人です。

作品の世界観を踏まえつつ美しいフレーズを作る天才だと思わせる一節が登場します。

「心のノート」という言葉選びです。

マーカーが引かれているのは青春時代の何気ない1コマばかり。

でも見返したら涙が止まらなくなるような美しい思い出たち。

「無限のリバーブ」という言葉も秀逸です。

リバーブとはギタープレイに欠かせないエフェクターの1つ。

反響音をコントロールすることでいつまでも終わらないサウンドを残すことができます。

仲間と過ごした思い出は永遠に心の中で響き続けるのです。

もっと遠くまで飛ぼう。

私たちの翼=サウンドはピカピカのプラチナのように輝いている。

世界中に届け!私たちの歌♪

約束はいらない

約束なんていらないよ
だって“今”以外、誰も生きれないから
約束欲しがる 子供のような無邪気な脆弱
もうとっくに…卒業したの

いつまでも どこまでも きっと聞こえ続ける
永遠さえいらないのになぜ 失くせそうにない
Our Splendid Songs

出典: No,Thank You!/作詞:大森祥子 作曲:前澤寛之

私たちの歌うキラキラと輝く楽曲

魔法のようにいつまでも私たちの胸の中に残ってしまう歌。

私たちは今、この歌を通してつながっているんだ。

私たちは大人になってしまった。

指切りげんまん

子どものする約束はどこか一方的な気がします。

大人になった私たちの環境はあの頃とは違っているのです。

家庭を持つ人違う夢を見つけた人

約束はただの束縛

私たちが生きているのはこの瞬間です。

だから約束なんてしない

でも私たちの絆はいつまでも残り続ける...。

私たちが出会った奇跡

放課後ティータイム「No, Thank You!」の歌詞を解釈!“今”を生きる熱い思いがかっこいい!の画像

Let's sing もっともっともっと声枯れても
くちびるでこの瞬間(とき) 讃えて
ルート同じ地図持ち めぐり逢えた
ワタシタチノキズナ

No, Thank You! 思い出なんていらないよ
だって“今”強く、深く愛してるから
思い出浸る 大人のような甘美な贅沢
まだちょっと…遠慮したいの

出典: No,Thank You!/作詞:大森祥子 作曲:前澤寛之

私たちが出会ったのはきっと運命なんだ。

たまたま出会った私たちは偶然にも同じ目的地への地図を手にしていたから。

それが私たちの絆

大人になった人たちは青春時代、親友だと思っていた人といつまで関係を保っているでしょう。

多くの方が進学・就職・結婚を通して昔の仲間と疎遠になっていきます。

放課後ティータイムのメンバーの未来を描いたと思われる「No,Thank You!」。

本編ではもちろんこのような未来は描かれません。

もしかしたら彼女たちの空想という可能性もあります。

しかしこんな未来が待っていたら素敵だな、と思わせる楽曲です。

重要なキャラクター「さわ子先生」の存在

放課後ティータイム「No, Thank You!」の歌詞を解釈!“今”を生きる熱い思いがかっこいい!の画像

「けいおん!」は意図的に大人の存在を排除した作品です。

主人公たちの自宅の描写はあれど両親の存在感さえ希薄。

そんな中、唯一彼女たちと深く関わる大人が1人だけいます。

軽音楽部の顧問の山中さわ子先生です

余談ですが「けいおん!」の主要人物の名称にはある特徴があります。

主人公たちの名前がP-MODELというバンドメンバーに由来するのは有名な逸話です。

P-MODELとは日本のニューウェーブシーンの草分け的存在。

80年代を代表するバンド現在も活動を継続している稀有な存在です。

放課後ティータイムの音楽性との関係は希薄。

メンバーの終わらない友人関係を投影したのではないでしょうか。