4thアルバム『boys』収録
リードトラックとして発表された『君が海』
スリーピースロックバンドMy Hair is Bad(マイヘア)の楽曲『君が海』。
「君が代」を連想させるタイトルですが、内容はひと夏の切ない別れを描いたもの。
今回は同曲の爽やかで疾走感のある、そして切なく儚(はかな)いMVを中心に解説していきたいと思います。
高い完成度が感じられる歌詞についても独自に解説してみましたので、どうぞ最後までお楽しみください。
MVをチェック!
季節感満載の映像が美しい!
映像はとある男女が花火をぼんやりと見ているシーンから始まります。
そして真夏の海辺にワンピースを着た一人の少女が歩いている場面へ移り変わりました。
桜の木や電車の車内などのショット(春が過ぎたことを表しているのでしょうか)が挟まれ、以下のテロップが登場。
「砂を止めたくて横にしていた 砂時計を元に戻しても」
「あの夏がもう来なくても あの日 二人はただ」
どうやら二人は“ある時間”が訪れるのを嫌がっていたようです。
その時間は夏であるということがこのテロップから分かります。
タイトルが画面へ登場し、演奏シーンへ…
高架下で迫力のある演奏を見せてくれるマイヘアのメンバー達。
変わったロケーションですが、学生時代、高架下で遊んでいた人もいるのでは?
なんだかノスタルジックな気分にもなりますね。
バンド名が登場するタイミングが完璧!?
中盤に登場
教室の様子や自転車の二人乗りなど、ここぞとばかりに「青春感」のあるショット。
二人の思い出なのでしょうか?ひまわりやゲームセンターのショットも。
海辺で手を繋いで佇む二人。
快晴の空の上に出現するバンド名『My Hair is Bad』には思わず声が出てしまうんじゃないでしょうか。
MVに寄せられたコメントでも「作曲している時にロゴを入れるタイミングを決めているのでは?」と言われているほど、完璧なタイミングです。
二人が通っていた学校の周辺景色と思われるショットが挟まれ、冒頭の花火のシーンへ。
メンバーが演奏しているシーンの空が夕焼けに染まりつつあるのにも注目。
プールに女子学生の制服が浮かんでいるショットも印象的ですね。
夏に引っ越し・転校することになった女の子が、「もうこの学校の制服は着ないから」と置いていったのでしょうか?
最後に制服で泳いでみたりしたのかな?とも想像しました。
クライマックスへ
二人はいよいよ別れの時が近づいたのか、最後の花火を一緒に見守ります。
これまでに登場した景色が同時に画面上に表示されるのは、きっと二人の脳裏には今までの思い出が蘇っているからでしょう。
マイヘアの演奏もどんどん熱が上がっていき、派手に火花を散らす花火がクライマックスを盛り上げます。
「こんな青春してみたかった(してみたい)!」と思うような爽やかで、少し切ないMVでしたね。
かなり明確にストーリーを表現している映像でしたが、歌詞ではどんなことを歌っているのでしょうか?
次からは歌詞について解説していきたいと思います。
歌詞を解説!
この夏が最後になるなら
この夏が最後になるならその横顔だけでいいから
ずっと忘れない
八月の教室にはもう誰もいなかった
吹奏楽たちと埃が少し溢れた
なんの訳もなく寂しくて水槽に浮かんでた
幸福も不幸もまるで泡みたいだ
出典: 君が海/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
舞台は「夏」であることがはっきりと示されています。
この歌詞の主人公は想い人をしっかりと記憶に刻み付けようとしているようです。
8月なので夏休み中ですね。
しばらく掃除されていない教室は少し埃っぽくなっています。
「水槽」が何を表しているのかは分かりませんが、MVの内容から推測すると校舎に併設されたプールのことでしょうか。
浮かんではすぐ消えてしまう水泡を見て、虚しい気持ちが主人公を襲っています。
BGMは吹奏楽部が練習する音…
学校というものを卒業してから何年も経つ著者にはなんともノスタルジックな光景が目に、いや耳にも浮かびます。