「戦争を知らない大人たち」について
まず、My Hair is Badの「戦争を知らない大人たち」の概要について紹介します。
2作目のフルアルバム「woman's」に収録
「戦争を知らない大人たち」は2016年10月発売の2作目のフルアルバム「woman's」に収録されています。
若者の鬱屈とした感情や孤独など、リアルな日常が感じられる歌詞が胸を締め付ける曲です。
「woman's」には「真赤」「接吻とフレンド「恋人ができたんだ」など、素晴らしい曲が多数収録されています。
シンプルだからこそ胸に響くMV
「戦争を知らない子供たち」へのオマージュ?
「戦争を知らない大人たち」は、1971年にジローズが歌って発売された「戦争を知らない子供たち」へのオマージュではないかと言われています。
タイトルは確かに、この曲をモチーフにしていると思います。
しかし、「戦争を知らない子供たち」が反戦歌であるのに対して、「戦争を知らない大人たち」は自分の感情をさらけ出したようなとてもパーソナルな内容です。
このことから考えると、オマージュとは言えないでしょう。「戦争を知らない大人たち」は、彼ら独自の曲だと思います。
気になる歌詞の内容を解説
「戦争を知らない大人たち」は、タイトルからすでに深い歌詞であることが想像できます。その気になる歌詞の内容を解説していきたいと思います。
春と夏の風景
まるで春みたいでむくりと動き出した
寝ぼけ眼僕は生乾きだった
水盤の蛇口フライパンの残り
「来週には満開」とキャスターは笑った
チェックつけた求人 上京した友人
封を開けることもなく溜まっていった郵便
蝶々がひらりふわり街は春のように
ふれあい通り咲いた偽物の桜花
出典: https://twitter.com/heychocojimrock/status/925798586993991681
「戦争を知らない大人たち」の歌詞は四季が1つのテーマになっているように感じます。
はじめは春です。「まるで春みたいで」という歌詞から、もしかすると春になったことにすら気づかないような生活をしていたのかもしれません。
何かしなくてはと求人情報にチェックを入れてはみるものの、チェックをしただけで行動には移せません。
そうしている間に、友人は上京していきます。あくまでも「春のように」という所に、入学や就職などの新しいスタートが切れておらず、自分には春が来ないと言っているようです。
「偽物の桜花」がなおさら、その苛立ちや悲しみに似た感情を煽っています。
まるで夏みたいで スッと思い出した
駅前に向かうと 揺れる ミニスカート
まじヤりたいだけで やることもなくて
「学生としての自覚を」って 先生は言ってた
初めて吸った煙草 バイト タイムカード
部活終わり 夕方 君の浴衣姿
嫌に暑い夜に 二人 並び
花火よりも 君を見たかった
出典: https://twitter.com/junabanira/status/890619654665674752
春が来ないので、もちろん夏が来たことにも実感が沸きません。しかし、夏のような暑さの中で、学生の時の楽しかった思い出がよみがえったのでしょう。
このリアルな記憶を感じさせる描写が、My Hair is Badならではという感じがします。
同じ思い出はないはずなのに、バイトをしながら部活の友達と遊び、彼女と花火に行ったような経験が自分にも合ったような気がするから不思議です。
遠い過去ではないはずなのに、とてもノスタルジックな気持ちになっているのだと思います。