描かれる少女のストーリー
MVとセットの歌

最初に「乙女解剖」は、MVとセットで一つの作品に仕上がっています。
MVは作曲者のDECO*27さんが設立した「OTOIRO」が担当。
少女にスポットライトを当てた、意味深なストーリーです。
歌詞は彼女のセリフとして語られ、日常の一コマとして描かれています。
そのため歌だけでなく、MVも見なければ歌詞の本当の意味は理解できないでしょう。
まだMVを見ていない方は、一度視聴してから読まれることを強くおすすめします。
MVはご覧になられたでしょうか?
それでは歌詞を解説していきます。
まだ分からない「乙女解剖」
乙女解剖であそぼうよ
ドキドキしたいじゃんか誰だって
恥をしたい 痛いくらいが良いんだって知った
あの夜から
出典: 乙女解剖/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27
この歌は最初と最後を同じ歌詞で〆ています。
恐らくこの歌が一番伝えたいことは、この歌詞に集約されているはずです。
しかし、今の段階では「乙女解剖」の意味は分かりません。
まずは歌詞全体を見てから、再びこの歌詞をしっかり紐解いていこうと思います。
このMVの主人公は、女子高生と思わしき女性です。
彼女はかなり刺激的なことを求めているように見えます。
それが何かはまだ分かりません。
ただ「あの夜」という言葉からは、少しエロティシズムを感じさせます。
描かれる彼女の日常
仮面同士も現代では珍しくない
こんばんは、今平気かな?
特に言いたいこともないんだけど
もうあれやこれや浮かぶ“いいな”
君が居なくちゃどれでもないや
仮面同士でイチャついてら
出典: 乙女解剖/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27
恐らく、女子高生の彼女は大好きな彼と電話しています。
普通の女子高生なら彼氏で間違いないでしょう。
特に用事もないけど、好きな人に電話したくなるのはよくあることです。
ただ歌詞5段目「仮面同士~」のセリフで、彼女と彼の関係が普通ではないことが分かります。
いま思えば、MVで彼女がスマホではなく公衆電話で電話しているのも変です。
これらが象徴しているのは匿名性でしょう。
「こんばんは」の言葉もどこか仰々しいものを感じさせます。
親しいけど、知らない相手。
SNSなどネット上でのお付き合いを、彼女はしているようです。
仮面というのも、ネット上でのハンドルネームだと考えると腑に落ちます。
SNSやネットで知り合った相手と連絡を取る。
現代ではそこまで珍しいことでもありません。
しかしそこに深い感情を持ちこんでしまうとトラブルの原因にもなる可能性もあります。
彼女の葛藤
寸寸 恋と表記せず
気持ち vs 退屈はPK戦
そうなにもかもに迷子がおり
出典: 乙女解剖/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27
「寸寸」と書いて「ずたずた」とも読みます。
彼女の心は、実はずたずたなのでしょう。
いまの関係を本当の恋とは言えず、苦しんでいます。
大好きな彼には、恐らくリアルで本命がいるのでしょう。
ネットはあくまでお遊び。
気持ちとは「この関係を辞めたい気持ち」という理性的な部分。
退屈とは「退屈だから刺激が欲しい」という言い訳じみた本能的な部分。
その葛藤はPK戦にまで、もつれ込んでいます
彼女は未だに迷っているのです。
自分の心が疲弊してしまうほど、頭を悩ませている様子。
それほどまでに彼との付き合い方を真剣に考えています。
半目開きで見て見ぬふり
泪流してSOSを
半目開きで娘娘する
出典: 乙女解剖/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27
娘娘は「にゃんにゃん」、または「むすめむすめ」と読みます。
日本では「にゃんにゃん」というと男女の営みを連想する人もいるでしょう。
「むすめむすめ」は女性のうぶ、あどけなさを表現する言葉になります。
ここでは両方の意味で使われていると考てよいでしょう。
「この関係を辞めたい」という彼女のSOS。
そんな本心を見て見ぬふりして、今日も彼女は行為をしてしまいます。
まるで彼との関係を考えることから逃げるように。
しかし時には逃げることも重要です。
だって日頃から心をズタズタにするまで彼のことについて考えているのですから。
休むことができる時は少しでも離れた方がいいでしょう。
そもそも頭を悩ませるほど考えているのですが、頭の片隅には必ず彼のことがちらついているという憶測もできます。
忘れたくても忘れられない。
考えたくないけど、考えることをやめられないほど彼に依存しているのかもしれません。