2番Aメロ
ぬいた指輪の罪のあと
かんでください 思いきり
出典: さざんかの宿/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介
指輪を外して密会に行くとはどんな気持ちなのでしょう?
後ろめたさなのでしょうか?
それともこれから会う相手を気遣って?
指輪のあとの罪とはいったい何?
目の前の女性に対し、既婚者であることの罪悪感。
さらに、残してきた妻に対する罪悪感。
文字が少ない分、想像の余地がたくさんあります。
不倫ではなく、まだ不義密通というイメージが強かった時代。
この歌を聴く人も今よりもっとドロドロしたものを感じていたのでしょうね。
2番Bメロ
燃えたって 燃えたって
ああ 他人の妻
出典: さざんかの宿/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介
Aメロでは男性が既婚者と解釈しました。
Bメロには“他人の妻”と出てきます。
女性も既婚者となります。
つまりダブル不倫ということですね。
男性の立場が明らかになることによって、ドロドロ感がさらに増しました。
このままだとかなりえぐいイメージになってしまいます。
それを美しく昇華してくれるのがサビです。
2番サビ
運命(さだめ)かなしい冬の花
明日(あす)はいらない さざんかの宿
出典: さざんかの宿/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介
二人の立場を“運命”と表現することでドロドロ感を美しく変えています。
さらに“冬の花”にたとえることで儚さを表現。
“明日はいらない”と言い切ることによって切なさを表現。
言葉の力はドロドロした現実を儚く美しいものに変えてくれます。
吉岡治の歌詞はさすがです。
歌謡曲だけでなく、童謡からアニメまで幅広くこなしている方です。
一文字一文字の音が美しいです。
さざんかの宿3番
3番では、密会の終わりを告げる歌になっています。
刹那の時間を過ごした二人。
愛を確かめ合った直後のシーンが淡々と歌われています。
激情が過ぎ去った後は、我に返りあれこれと考えてしまう。
男性のいろいろな思いが去来するさまが短い言葉の中に見え隠れしています。
3番Aメロ
せめて朝まで腕の中
夢を見させてくれますか
出典: さざんかの宿/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介
“せめて朝まで”と頼む男性。
女性は遅くまでいられないのでしょう。
男性は朝まで家を空けても大丈夫なのでしょうか?
多分、「出張で…」。
「仕事で遅くなって…」。
などの言い訳を使うのでしょう。
そんな生臭さを消すかのように“夢”という言葉が使われています。
3番Bメロ
つくしても つくしても
ああ 他人の妻
出典: さざんかの宿/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介