なんだか、男性が一方的に恋を募らせているように聞こえます。
でも、実際はどちらも好き逢っているはずです。
“つくしても他人の妻”とは男性から見たため息でしょう。
お互いに既婚者。
どちらにも別れられない相手がいる。
いくら“明日はいらない”と強がっても結局どうにもならない現実。
でも好きなのだからしょうがない。
こんなことがいつまでも続くわけがない。
でも再び会いたいと思う弱い自分。
そんなことを、きっと繰り返し考えている。
これらのすべてが“ああ”というため息に込められているようです。
3番サビ
ふたり咲いても冬の花
春はいつくる さざんかの宿
出典: さざんかの宿/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介
情熱をさざんかの赤い花に見立てて、“咲く”と表現しています。
“二人が咲く”とは二人の情愛の盛り上がりですね。
いくら咲いても季節は冬。
花の周りは冷え切った環境。
それは二人を取り巻く環境をも言い表しています。
障害が多ければ多いほど恋は盛り上がります。
でも、この歌では情熱よりも儚さを美しく表現しています。
明日が見えないこの二人。
訪れることのない愛が成就した日。
“春はいつくる”とは決して来ることのない春の言い換え。
二人の明日は、決して来ることのない春のよう。
そんな二人を象徴するかのように咲いているさざんか。
さざんかの宿とは儚く切ない二人が過ごす場所。
刹那の空間の象徴の様です。
不倫がヒット
「さざんかの宿」がリリースされたのは、1982年の夏。
カラオケが8トラックテープからレーザーディスクに移るころ。
歌謡界も若者中心の時代で、演歌は下火でした。
そのような中でどのように「さざんかの宿」はヒットしていったのか?
1982年の暮れからは徐々に売れ。
1983年にはTVのザ、ベストテン(懐かしい)に連続登場。
ここで初めて「さざんかの宿」を聴いた方がほとんどでしょう。
実は時期を同じくして、不倫がTVでヒットしていたのです。
それは、あの有名な「金曜日の妻たちへ」です。
いわゆる金妻ですね!
どちらが先かというと、タッチの差で「さざんかの宿」です。
「さざんかの宿」では不倫という言葉は出てきません。
でもシチュエーションは不倫そのもの。
世間で不倫が話題になるちょっと前のヒットです。
ヒット曲は時代の流行のほんの少し先にある良い例ですね。
大川栄策はこの時代の波に乗ったわけです。
年末にはレコード大賞でロングヒット受賞と紅白出場。
一気にスターダムにのし上がったのでした。
最後に
今でこそ不倫という言葉は珍しくありません。
でも、あの当時に不倫話を歌詞に選ぶのは、相当勇気があったと思います。
作詞家の吉岡治のマルチな能力が光っています。
どのような歌詞を書いているのか?
なんとキャプテン翼や山下達郎の詞を書いています。
筆者は「おもちゃのチャチャチャ」で吉岡治を知りました。
既成の常識にとらわれない自由な発想。
これが時代の先端にマッチしたのですね。
さてOTOKAKEでは吉岡治作詞の曲がほかにも紹介されています。
それは石川さゆりの「天城越え」です。
この曲のテーマは、付き合っている相手が不倫している女性の歌です。
「さざんかの宿」の後の約3年後に作られています。
「さざんかの宿」は不倫のむなしさを表現。
「天城越え」は不倫されている女性の恨みを表現しています。
この2曲を続けて聴くと、まるで続き物のような錯覚にとらわれます。
ぜひ、この記事の後に読んでください。
吉岡治ワールドが堪能できますよ!
リンクは下記の通りですので是非どうぞ。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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