疾走感とハイトーンボイスのアルバム曲
【蛟龍の巫女】は、2005年に発売されたアルバム「臥龍點睛」に収録された曲です。
「臥龍點睛」は陰陽座のインディーズ時代から通算して、6枚目のアルバムでした。
このアルバムには組曲「義経」の3部作を始めとして、シングル曲が4曲と多く含まれています。
結果として陰陽座の作品にしてはポップな印象を受ける曲が多い、という特徴を持つアルバムとなりました。
その中で【蛟龍の巫女】は、ヘヴィメタルバンドらしさを前面に出した疾走感のある曲です。
黒猫がメインボーカルと作曲を担当
陰陽座は黒猫と瞬火のツインボーカルが特徴ですが、この曲では黒猫がメインボーカルです。
曲全体を通して、黒猫の美しいハイトーンボイスを堪能することができます。
また、この曲は黒猫による作曲です。
陰陽座の曲は瞬火が作曲することが多く、一部を招鬼や黒猫が作曲しています。
この曲以前に黒猫が作曲した曲も数曲ありますが、バラードが中心の穏やかな曲調でした。
【蛟龍の巫女】は「黒猫作曲はバラード」というイメージを打ち砕いた曲でもあります。
ライブアルバムや映像作品にも収録
【蛟龍の巫女】はライブバージョンも数回音源に収録されています。
CDでは2006年に発表されたライブアルバム「陰陽雷舞」に収録されました。
映像作品では2006年のライブを収めた「珠玉宴舞」と、2009年のツアー千秋楽を収めた「龍凰輪舞」です。
さらに、一般のCDショップでは販売していない限定発売品にも収録されています。
2010年に発売した「式神雷舞」と2013年に発売した「式神謳舞」です。
この2本はファンクラブ限定ライブが映像化されました。
ファンクラブと会場、公式HPのみで購入できます。
パチスロの曲としても有名
【蛟龍の巫女】と同じアルバムに収録されている「甲賀忍法帖」は、人気アニメの主題歌でした。
「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」です。
このアニメはパチスロにもなり、そこで陰陽座の曲が複数使われ、【蛟龍の巫女】も使用されました。
2017年にはオリジナルサウンドトラックが発売されています。
また、パチンコ「CR戦国乱舞~蒼き独眼~」でも曲が使用されました。
こちらも2010年にオリジナルサウンドトラックが発売されています。
陰陽座を知らなくても、曲を聴いたことがあるというパチンコファンが多いのではないでしょうか。
天を目指す龍
龍の幼生を世話する巫女
嗚呼(ああ) 渾(すべ)てを 愁(うれ)いて 天(そら)へ昇り行く
龍の面影は 彼(あ)の蛟龍(みずち)の儘(まま)
出典: 蛟龍の巫女/作詞:瞬火 作曲:黒猫
この曲の主人公は、タイトルの通り蛟龍に仕える巫女です。
蛟龍とは龍の幼生のことを言います。
そして龍は水を司る神、すなわち龍神です。
龍神が成体になるまで仕えるのが、巫女の役割なのでしょう。
立派な龍に育った姿を見て、幼生の頃の様子を重ねています。
相手が神であるとはいえ、長い間見守ってきた乳母のような心境なのでしょうか。
しかし、龍が天を目指している現在のこの状況は喜ばしいものではないようです。
行かせたくない
微笑みに宿した 引き留(と)む想いを
掻き消す雨風(あまかぜ) 躊躇(ためら)いは偽薬(ぎやく)
出典: 蛟龍の巫女/作詞:瞬火 作曲:黒猫