大好きな場所

デパ地下の果てしない
海を泳ごう

出典: 大家さんと僕/作詞:矢野顕子 作曲:矢野顕子

大家さんと僕の原作の中で度々登場するデパ地下。

それがダイレクトに歌詞の中にも登場しています。

デパ地下といえばとても広いイメージがありますね。

たくさんの人でごった返す中を掻き分け掻き分け、少しずつ前に進む。

その姿はまるで海を泳いでいる様に見えるのではないでしょうか。

デパ地下をこのように面白おかしく表現するところに遊び心を感じますね。

アニメに出て来る大家さんがとてもお茶目で面白い人物なので、大家さんの性格が歌詞表現にも反映されているのかも知れません。

曲のサビにデパ地下が登場したという事は、それが主人公にとって特に印象深い思い出だったという事なのでしょうか。

少し独特な2人の関係性が垣間見える歌詞ですね。

素敵な記憶

病院も車椅子もない世界で

出典: 大家さんと僕/作詞:矢野顕子 作曲:矢野顕子

サビの最後の歌詞は病気や死を連想してしまいますね。

やはり大家さんが亡くなってしまった事に大きく関係しているようです。

大家さんはもう近くには居ないのかも知れませんが、主人公の中ではまだ確かに生きていて見守ってくれているのです。

記憶の中でならいつまでも元気で居られます。

きっと「僕はあなたを決して忘れません」という意思の表れなのでしょうね。

病気になってしまった時に必要なものがない世界。

ここでのそれはつまり、死や病気の存在しない世界です。

どれだけ元気なお年寄りでもいつかは必ず亡くなってしまうし、病気にもなります。

残された人達は別れの悲しみを乗り越え生きていくしかありません。

そのために私たちは故人を自分の心の中に住まわせるのかも知れませんね。

僕の帰りたい場所

心のふるさと

旅する心には
ふるさとが見えてる

出典: 大家さんと僕/作詞:矢野顕子 作曲:矢野顕子

どこにいても故郷というのは心から離れないものです。

いつでも思い出せるものといえば故郷ですが、同じ共通点を持つものとしてこの歌詞の中に幾度も登場しているものがあります。

大家さんですね。

これまでの歌詞を見てとっても、非常に思いやりを持って大家さんとの思い出を振り返っている事が感じられます。

きっと主人公は大家さんを本当の母親のように思っていたのでしょうね。

何をしていても、住んでいたアパートを離れても思い出すのはいつも故郷の光景なのです。

それほどまでに強い思いを持って愛する事の出来る場所があるというのはとても素敵な事ですね。

感謝を込めて

いつでも思い出せるよ
あなたの優しさ

出典: 大家さんと僕/作詞:矢野顕子 作曲:矢野顕子

主人公にとって第2の母とも言える存在の大家さん。

お茶目で面白くて経験豊富な優しいお母さんです。

親の優しさの中には少しの厳しさが含まれているものですが、あんなに温厚そうな大家さんにも厳しい一面があったのでしょうか?

少し気になりますね。

主人公は故郷であるアパートを思い出す度に、一緒に大家さんの優しさも思い出しているのですね。

大家さんの面影

ごきげんようって
春の光差し込む
ごきげんようって
悲しい夜にさよなら

出典: 大家さんと僕/作詞:矢野顕子 作曲:矢野顕子

ごきげんようとは一体誰が言っているのでしょうか?

挨拶の言い回しが少し古風で優しさを感じますね。

これはおそらく大家さんのセリフだと思われます。

主人公が落ち込んでいる時や夜眠れない時は、決まって大家さんが励ましてくれるのです。

いつでも心の中に居てそっと支えてくれる存在なのでしょうね。

落ち込んで悲しい気分な時も「ごきげんよう」と大家さんの挨拶が聞こえてくれば主人公の心は一気に晴れます。

とても素敵な関係性ですね。

この2人の間にはもはや親子の縁を超えた何かがあるのかも知れません。