かっこよすぎ!キングヌー初期の代表曲
あなたはどのタイミングでKing Gnu(キングヌー)を知りましたか?
個人的にはアニメ「BANANA FISH」のエンディングテーマとして「Prayer X」が流れたときです。
すごいバンドが現れた!と驚愕して、他の曲も次々と聴きました。そのたびに衝撃を受けまくり!
キングヌーと同じ時代に生きていて良かった……と感動している有様です。
そもそも音楽好きですが、ここまでスゴイ!と興奮するアーティストに巡り会えるのは稀。
単純にファンといえばそれまでの話ですが……(それだけで済ませたくない何かがあります)。
「Prayer X」以前、知る人ぞ知る時代に発売されたインディーズアルバムが「Tokyo Rendez-Vous」。
King Gnuファンの中には、このアルバムから彼らを知った、という方もきっと多いことでしょう。
実は元々King Gnuは、以前はSrv.Vinciという名前で活動していたバンドでもありました。
この「Tokyo Rendez-Vous」は、彼らがKing Gnuとバンド名を改めてからの初の作品ともなっています。
その為、彼らの名を一躍広めた「Vinyl」や「あなたは蜃気楼」。
そしてSrv.Vinci時代から演奏されていた楽曲である「サマーレイン・ダイバー」「ロウラヴ」など。
これらの楽曲8曲が収録されているアルバムともなっているのです。
その中から、今回ご紹介するのはアルバムと同タイトルを冠したこの曲。
表題曲で1曲目に収録されているの「Tokyo Rendez-Vous」、初期の代表曲です。
本日は様々な角度からこの楽曲を解説していくのですが、まずはMVからチェックしましょう。
動画でKing Gnuを楽しもう!
MVを見てみよう♪
こちらが「Tokyo Rendez-Vous」のMVです。
都会的ながらも退廃的で、しかしどこか洗練された空気感を感じる個性的な映像ですね。
最初に映るのは1970年代のいすゞのフラッグシップ「117クーペ」です。
暗い夜の路上に停まった、その車からはなぜか白い煙が噴き出ています。何事でしょうか。
怪しげなギターの音と同時に「King Gnu」の文字が飛び出します。冒頭だけでも既にオシャレ!
一転して電車の3号車2番ドア前に。ドラムの音と同時に勢喜遊さんの演奏シーンが挟まります。
電車が駅に着くとホームから乗り込んできたのは赤いフードを被った常田大希さん。無表情です。
サラリーマンたちの冷たい視線が集まります。イントロ終わりでタイトル「Tokyo Rendez-Vous」。
後に壊れたカラフルな拡声器を片手に、常田大希さんが山手線の車内でラップを始めます。
サラリーマンの耳元に拡声器を当てたり、混み合うなか移動したり、やりたい放題……。
キングヌーってこんなに危ないの?と思ったことでしょう。ところがこれだけではありません。
怪しげな人たちが続々登場します。とくにヤバイのは超ファンキーなDJ。
キングヌー4人がそろってドライブする映像も挟まります。運転しているのは井口理さんです。
演奏シーンのほか、東京の夜景、出演者総出のヘドバン(ヘッドバンギング)など……。
混沌とした仕上がりなので、何度も見てお気に入りポイントを見つけたいところです。
しかしこの映像を見て、中にはKing Gnuってこんなアウトローな人たちの集まりなの?
そんなふうに感じた方ももしかしたらいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、ひたすら危ない人たち……と引いてしまったかもしれません。
ここでキングヌーをあきらめてしまうと非常にもったいないので、ライブ映像をどうぞ♪
りんご音楽祭2018
こちらは毎年長野県で行われている音楽フェス「りんご音楽祭」にて。
2018年にKing Gnuが出演した際のライブ映像を写したものとなっています。
むちゃくちゃカッコイイでしょう。ひたすらカッコイイと書き続けそうな勢いですが解説します。
ベース新井和輝さんとドラム&サンプラー勢喜遊さんのルーツはブラックミュージック。
ほとんどジャズっぽいですね。
さらにボーカル&ギター常田大希さんはケンドリック・ラマーをリスペクトされています。
ヒップホップもブラックミュージックの一種。つまりラップは音楽的アプローチなわけです。
元々彼らの音楽的な素養として、アウトローでアングラなカルチャーが背景にあるというわけですね。
しかしそんな音楽をリスペクトしているからといって、彼ら自身が悪い人間かどうかはまた別の話。
ヤンチャな勢いで山手線をジャックしたのではなく、音楽表現の一環としてのMV撮影だったという訳です。
むしろキングヌーの音楽そのものがヤバイほど怪しげ!その音楽には相応の映像が必要です。
常田大希さん率いるPERIMETRON(ペリメトロン)だからこそ制作できたMVでしょう。
そういった意味でもパンチの利いたクールな音楽の良さを、きっちりと落とし込んだ映像。
逆にいえば、このMVに対してそのような評価もできるのではないでしょうか。
これだけのことをインディーズ時代に成し遂げる奇才ぶり!
当時からKing Gnu、そして彼らを支えるエンターテイメント集団PERIMETRON。
両者ともにいい意味で、ずば抜けたセンスをもっていたことが垣間見えるようになっていますね。
さてここまでMVの解説をしてきましたが、続いて歌詞の解説に移ります。
King Gnuはこれらのアウトローなバックグラウンドの中に、この楽曲の歌詞でどんなことを謳っているのでしょうか。
早速歌詞の内容を読み解いていきたいと思います。
東京は集団の象徴?
集団と個人の関係性
走り出す山手に飛び乗って
ぐるぐる回ってりゃ目は回る
隣のあんた顔も知らねえ
溢れかえる人で
前も見えねえんだぜ
トーキョー
出典: Tokyo Rendez-Vous/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
タイトルにもなっているように東京の歌です。東京にお住まいの方はすんなり入れるでしょう。
ただ、常田大希さんと井口理さんは長野県伊那市、勢喜遊さんは徳島県阿南市のご出身です。
新井和輝さんは東京都福生市のご出身。その後、山手線を利用するようになったのでしょう。
東京は様々な場所から人が集まる街。電車に乗れば知らない人だらけなのは日常のはずです。
もちろん東京以外の場所でも似たような状況はあるでしょう。
通勤や通学のため毎日のように電車を利用する場合、車内の混雑には慣れるしかありません。
それでも知らない人だらけの混み合った集団に紛れるのは違和感がある人もいるものです。
おまけに山手線はぐるぐる回っています。都会の忙しさで目が回る様子も見受けられます。
集団に属しながらも個性が際立つキングヌーやペリメトロンのメンバーたち……。
東京は集団の象徴、それぞれ身近な集団を重ね合わせてイメージすることもできるでしょう。
自分らしさを大切にしよう!というポジティブなメッセージも含まれているのかもしれません。
キングヌーのメッセージ
この身一つを投げ出して
キザなセリフを投げ売って
触れてみたいの
見てみたいの
トーキョー
出典: Tokyo Rendez-Vous/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
東京を舞台としたラブソングが基本です。ただしキングヌーとしてのメッセージもあり!
「キザなセリフ」とは歌詞のことでしょう。東京にやってきた音楽家の心情が読み取れます。
キザな歌詞を書いて歌い、ライブで演奏……誰かの心に響く光景を見たい!ということ。
そもそも常田大希さんは略称DTMP名義でものすごく前衛的なソロ活動をされています。
キングヌーの前身バンドSrv.Vinci(サーヴァ・ヴィンチ)にも前衛的な片鱗が見受けられます。
エンタメというより芸術!東京藝術大学でチェロを専攻していた経歴が関係あるかもしれません。
ところがキングヌーではキザな歌詞を書く!と。心に響く音楽で見たい景色があるから……です。
そのために東京にやってきたんだぜ!と解釈することもできるでしょう。
前衛的、抽象的な芸術だと一般的にはわかりにくい場合もあるわけです。
キングヌーではポップ性を追求する!むしろラブソングをやる!と決意したのでしょう。