絵空事ではない歌詞が魅力のOAU
話題のドラマ「きのう何食べた?」のオープニングで優しく響くのは温かくも芯のある歌声とアイリッシュサウンド。
「OAU」へ表記を変更したOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDの『帰り道』です。
Vo.のTOSHI-LOWといえば、BRAHMANの強面ボーカリストというイメージが先行します。
一方、OAUにおけるTOSHI-LOWはどこか優しく柔らかい印象。
しかし、歌われているのは一貫して人間臭さや人間らしさ、生と死など普遍的なものばかりで、BRAHMANと変わりません。
こうした事象をただ歌い上げるだけで終わらないのが、彼らの楽曲の魅力ではないでしょうか。
歌うに至った感情、その裏に芽生える別の感情まで表現しているからこそ真実味があり、突き刺さるのです。
2019年4月12日よりバンド表記を「OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND(オーヴァーグラウンド・アコースティック・アンダーグラウンド)」から「OAU」(オーエーユー)へ変更。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/OVERGROUND_ACOUSTIC_UNDERGROUND
MARTINのカメラは何を映している?
縦長の映像?!スマホで撮影しているのか、もしくはスマホ撮影に見立てているようです。
このMVのカメラマンは、冒頭に映っているMARTIN!
映像の特徴を整理してみましょう。
- メンバーそれぞれが違う作業をしている
- MARTIN(カメラ)に気づいたときの反応が似通っている
- 何気ないシーンばかり
今回はこの3点について深掘りしながら、MVに込められた思いを解説します!
メンバーそれぞれが違う作業をしている
カメラを持つMARTINは、とあるカフェに入っていきます。
そこではどのような人々が、どんなふうに時を過ごしていたのでしょうか。
1Fには3人!
テラスにいるのはMARTINの顔見知りなのでしょうね。笑顔で言葉をかわします。
このカフェはMARTIN、そして友人たちの行きつけのお店という設定だと読み取れます。
席が埋まっている店内には、犬の姿も。ドアがないオープンカフェは愛犬入店OKなのですね!
さて、第一村人ならぬ第一メンバー発見!
店主らしき方の隣でコーヒーをドリップするTOSHI-LOWです。
メンバーそれぞれに何らかの設定があるようですね。TOSHI-LOWはカフェスタッフの設定。
MAKOTO(Ba.)はお客さん役といったところでしょうか。
MARTINの声掛けで読んでいた漫画のページを開いてみせます。
その漫画とは……「きのう何食べた?」ではないですか!ドラマへのオマージュですね。
その奥にはKAKUEI(Per.)の姿が。アメリカンクラッカーのようなものを手に持っています。
こちらもお客さん設定なのでしょう。
2Fには2人!
2Fに上がると、フロアの半面はレコードショップのようですね。
そこでレコードを物色しているのはKOHKI(Gt.)。
彼が引き上げたレコードの一枚はTHE POGUESの「Rum Sodomy & The Lash」でした。
THE POGUESはケルティック・パンクの大御所中の大御所!
BRAHMANが出演した2005年のFUJI ROCK FESTIVALでTHE POGUESは圧巻のステージを見せています。
KOHKIはレコードのジャケットをカメラの方に向けました。
THE POGUESはOAUがリスペクトするバンドのひとつなのかもしれませんね。
ということでKOHKIはレコードフロアのお客さん役のようです。
そして同じフロアの半面にある厨房で麺の湯切りをしているのは、RONZI(Dr.)!
エプロン姿も湯切りの姿も素敵ですね。物凄く似合います。
ロケ地であるLittle Nap COFFEE ROASTERSは実在のカフェ。
しかしメニューにヌードル類がありそうな雰囲気ではありませんね。
RONZIは厨房づきのカフェスタッフ役なのでしょう。賄いを作っているのかもしれません。
このフェスティバル名の由来でもある富士山近辺(天神山スキー場)で開催されたのは、1997年の第1回のみである(翌1998年第2回は東京都豊洲地区・東京ベイサイドスクエアで開催)。しかし現在に至るまでこの名残で、名称は「フジロックフェスティバル」、ロゴマークも「富士山」をあしらったものが、変わることなくそのまま使われている。
ひとりとして欠けることのない食卓
メンバー全員が異なる立場でMVに出演していました。
そんな彼らですが、映像の最後は2Fに集い、RONZIが作ったラーメンを囲みます。
テーブルを囲む、あるいは食事を囲むことから連想するのは、「家族」「仲間」という言葉ではないでしょうか。
お客さんや店員など、立場が異なっていても「できたよ」のひと声で集まる仲間がいます。
演奏する楽器が異なっても「やるか」のひと言でひとつのバンドが生まれます。
こう書くと「大切な仲間について歌った曲」という解釈もできますが、そうではありません。
いつ、誰がこの席につけなくなるか分からないのです。
脱退や事故、病気、天災、何が起きるか分からない世の中なのですから。
彼らの周りでも、脱退や解散、メンバーの突然の死に直面したバンドがあります。
帰る場所がある幸せ、帰れる幸せ、迎えられる幸せ。
それを噛み締めて、かけがえのない時間を少しも取りこぼすことなく丁寧に過ごす大切さが歌われています。
6人が手を合わせて行儀正しく「いただきます」をするシーン。
作った人と食材と、テーブルを一緒に囲んでくれる仲間への感謝が滲み出ているように感じますね!