何が悪いのか 今もわからない
誰のせいなのか 今もわからない
出典: 手紙/作詞:なかにし礼 作曲:川口真
別れると決めたのだから別れる。
ただそれだけ。
なぜ別れるのか、別れなければならないのかは分からない。
「わたし」は別れることに納得していないのです。
「あなた」と別れるのは別れることになったから別れるというだけ。
別れたくて別れたいわけではない。
いや、むしろ、別れたくない。
けれど、別れたくないと泣きわめいて「あなた」を困らせるのは嫌。
なにをどうすれば別れなくて良かったのか心の中で何度も何度も考えてしまいます。
涙で綴りかけた お別れの手紙
出典: 手紙/作詞:なかにし礼 作曲:川口真
別れたくないと泣きわめき、理由を問い詰めることのできる「わたし」だったなら。
この歌の主人公がそんな女性だったらこの歌は生まれなかったでしょう。
心の中の嵐に耐えながら「わたし」は手紙を書こうとします。
泣きながら自分の思いを「あなた」に伝えようとします。
しかし「わたし」は別れの手紙を書くことさえもできません。
心の中の嵐
彼には彼女の心の葛藤はわからないでしょう。
彼から見ると彼女は「都合のいい女」かもしれません。
彼女の心の中の嵐を見ることもなく、見ようとすることもありません。
別れを切り出したら、あっさり別れられたと思っているのでしょう。
別れる理由はなんなのか説明はありません。
彼女を嫌いになってしまったのか、ただ飽きたのでしょうか。
あるいは、他に好きな人ができたのかもしれません。
この後、2人はどうなるのでしょうか。
別れると決まった恋人はやり直せるのか
やり直すならどこから
できるものならば 許されるのなら
もう一度生まれてやり直したい
出典: 手紙/作詞:なかにし礼 作曲:川口真
不本意な別れを切り出されれば、誰でも何が間違っていたのかと悩みます。
時間を巻き戻せるなら巻き戻したい、もう一度チャンスが欲しいと思うでしょう。
やり直すとしたらどこからなのでしょう。
「わたし」は、この世界に生を受けたあの場所からと言い切ります。
全身全霊で「あなた」を愛した私は、人生のすべてをやり直すというのです。
別れの準備は終わろうとしている
二人で飾った レースをはずし
二人で開けた窓に鍵をかけ
出典: 手紙/作詞:なかにし礼 作曲:川口真
一緒に暮らし始める時に、あちこちのお店を回って2人で選んだレースのカーテン。
カーテンは引っ越しすればすぐに買うものであり、一番最後にはずしたいものです。
2人は最後にカーテンをはずします。
幸せな2人の生活を思い描き、2人のお気に入りの部屋にするために選んだカーテンも今はありません。
カーテンを外した窓には鍵をかけ、2人は部屋を出ていく準備をしています。
ただ、段取り通りに物事が運んでいきます。
別れの準備は終わり、2人はそれぞれ違う人生を歩んでいくことになります。
「あなた」の幸せを願う「わたし」
明日の私を気づかうことより
あなたの未来を 見つめて欲しいの
出典: 手紙/作詞:なかにし礼 作曲:川口真
「あなた」は「わたし」の将来を気遣ってくれています。
愛する人と別れた上に住むところもなくなった「わたし」。
「わたし」の心の葛藤に気づかない「あなた」に心配されても上っ面だけのことです。
なのに「わたし」は自分のことよりも自分の未来を見つめて欲しいと言います。
輝かしい未来へ向けて踏み出して行って欲しいと。
「あなた」を気遣う「わたし」はまだ彼を愛しているのでしょう。
自分よりも彼の将来を思いやり、幸せを願う「わたし」。
そして、ラストのリフレインに続きます。