1970年発売の『手紙』

1970年に発売された『手紙』は、その年の日本レコード大賞歌唱賞を受賞した由紀さおりの代表作です。

由紀さおりの透明感のある歌声で語られる別れの場面は、聴く人の涙を誘います。

発売と同時にヒットしたこの『手紙』は、オリコン1位6週間という大ヒットとなりました。

由紀さおりって?

【由紀さおり/手紙】歌詞の意味を動画から読み解く!もうやり直せない恋人に宛てた手紙に涙が止まらない…の画像

少女時代から姉の安田祥子と共に本名の「安田章子」名義で童謡歌手として活躍。1965年にキングレコードから本名名義で「ヒッチハイク娘」にて歌謡曲の歌手としてデビューするが、ヒットに恵まれず停滞の時代に入る。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B1%E7%B4%80%E3%81%95%E3%81%8A%E3%82%8A

デビュー曲に恵まれなかった由紀さおり。

ナイトクラブなどで歌いながら、歌だけでなく大人の世界を学びます。

『夜明けのスキャット』のヒットまで続いた売れない時代。

そんな時代を乗り越えたからこそ、21歳の由紀さおりが表現できた世界です。

由紀さおり21歳の歌唱

作詞なかにし礼作曲川口真という売れっ子2人が提供した『手紙』はまたたく間にヒットとなります。

せつなく悲しい愛の世界を、21歳の由紀さおり透明感のある歌声で歌います。

どちらの愛が先に終わってしまったのか

それではいよいよ『手紙』の歌詞を見てみましょう。

『手紙』の歌詞を書いたのは、なかにし礼

美空ひばりや石原裕次郎といった大物歌手や演歌歌手、ポップスなどジャンルを問わず多くの歌詞を書いています。

戦後歌謡界の大御所ヒットメーカーです。

いつまでも一緒にいたいと思ったのは私だけ

死んでもあなたと暮らしていたいと
今日までつとめたこの私だけど

出典: 手紙/作詞:なかにし礼 作曲:川口真

一緒に暮らし始める時の男女は、別れる時のことは考えないものです。

別れる時はこうしようなんて思わずに、ただ嬉しくいつまでも一緒にいようねと誓います。

けれど、幸せな日々は長くは続きません。

努力しなければ一緒にいられなくなった時、別れの予感に恐れを感じます。

別れないための努力、相手に気に入られるための努力をします。

努力をすればするほど相手の心が離れ自分も自分を見失っていくことにも気づかずに…。

思い出は過ごした時間と相手への想い

二人で育てた 小鳥をにがし
二人で描いた この絵燃やしましょう

出典: 手紙/作詞:なかにし礼 作曲:川口真

別れると決めた男女は思い出のものを処分し始めます。

自分のものは自分が持って出ればいい。

でも、二人で相談しながら買った物、力を合わせて育てた小鳥、一緒に描いた絵。

それらは単なる「物」「動物」「絵」ではなく、二人で過ごした時間と思い出そのものなのです。

ただ捨てて、終われるものではありません。

二人の思い出だからこそ、二人で処分する。

納得した上で別れるのだと思いたいのです。

別れに納得できない時、彼女は