下を向いた望遠鏡で何を見ようというのか
ここの部分のイラストは望遠鏡です。
望遠鏡は普通は遠くを見るためのものですが、ここでこの望遠鏡が下を向いていることにお気付きでしょうか。
下を向いていては、望遠鏡で景色を見ることは出来ませんよね。
この望遠鏡は女の子が自分と向き合うために、心の中に描いた望遠鏡なのです。
つまりは自分をよく見つめるための望遠鏡だということ。
主人公に話しかけていたのは主人公自身だったのです。
自分の頭の中で会話を繰り広げているのだから、会話に口は使わないわけですね。
つまり話しかけていた彼女が求めた返事というのは、なんらかの考えやアクションを起こすことを意味しているのではないでしょうか。
夜の闇に舞った紙吹雪は複雑な心情の描写
ねぇ 笑った振りをしてって
ねぇ 怒った振りをして
ねぇ どうしても裸眼じゃ上手く
見えないから
出典: 街路、ライトの灯りだけ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
先述の描写から、ここの部分にも腑に落ちるものがありますね。
感情を押し殺していては、それが自分だとしても本当はどんな気持ちなのかわからなくなってしまうということ。
自分の行く先を案ずるときに一番大切なことは、今自分がどう感じているかです。
だから自分自身に素直になることを促しているのですね。
夜の闇が不安を表しているように、その中に舞った紙吹雪はワクワクとした期待を表しています。
その二つが入り混じった映像はワクワクするような、怖いような複雑な感覚を彷彿とさせますね。
自分自身と向き合いながら先の見えない夜を行く
君と夜を縫っていく
夜の街を縫っていく
暗い街路 ライトの灯りだけ
足音を刺した薄い夜
出典: 街路、ライトの灯りだけ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
ここまで来るともうこの歌詞の意味も見えてきます。
まるで二人で夜の街を歩いているような描写になっていますが、主人公が一緒に歩いているのは自分の中の自分。
先の見えない不安の中、自分自身と向き合いながらただ進んで行く。
そんな様子が描かれているのです。
自分自身と向き合って本心に近付くタイミングが必要だった
いつも君を待っていた
意味がそこで立っていた
下手な泣き真似をしている
君が見える
出典: 街路、ライトの灯りだけ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
「いつも君を待っていた」というのは、こうやって自分と向き合うタイミングがいつかは必要だったということ。
「下手な泣き真似をしている」というのは、本当は自分がどんな気持ちなのかちゃんと見えていないことを表しています。
それが泣き真似だったと気付いた彼女はきっと、自分の本心へと近づいて行っているのではないでしょうか。
ここまで来ればリリックビデオの中のイラストの意味は全て腑に落とすことができましたね。
それぞれの意味を理解いただけたなら、残りの歌詞の内容も自然に入ってくるはずですよ。
結局曲中で答えは見つからなかったけど
君がただ笑っている
夜の街を縫っていく
暗い街路 ライトの灯りだけ
足音を刺した薄い夜
いつも君を待っていた
意味がそこで立っていた
下手な泣き真似をしている
君が 君が 見える
出典: 街路、ライトの灯りだけ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
最後のサビ二回しが丁度対極的な表現になっていたので、ここも抜粋しておきます。
夜を行く彼女は確かに笑っている姿も、今までの通り泣き真似も見せているのです。
要するに彼女はまだ自分がどういう気持ちでいるのかよくわかっていないのでしょう。
結局、楽曲の中だけでは主人公の答えは出なかったということです。
でも彼女はこの曲を通して自分と向き合うということ、自分の本心が何より大切だということに気付いています。
だったら後はじっくりと向き合って行けば答えに辿り着くことができるのではないでしょうか。
自分と向き合うこと自体に意味がある
要するにこの楽曲が表していることは自分と向き合うことの大切さで、答えがすぐに出なくても焦ることはないということ。
先のことなんて誰にもわからないし、不安なのも誰だって同じ。
誰だってそうやってライトの灯りだけで照らされた暗い街路を歩いているような感覚に置かれているのです。
そうやって悩むこと自体が大きな成長をもたらしてくれるのだから、悩むこと自体に意味があるのですね。
将来に不安を抱える学生たちに、ゆっくり向き合いながら進んで行けばいいと背中を押すような内容になっていましたね。