1番では変わってしまった世界が平穏な日常を奪ったことを伝えていました。

これまでの平穏を晴れとするならば現在は雨降りのようだね、とここでは喩えています。

そんな雨模様の情勢が続いて日常化しているのが現状だというのでしょう。

また時に晴れ間を覗かせつつも結局は解消されることはなく、この苦境はいつ終わるとも知れないことが窺えます。

やはりコロナが蔓延し出口の見えない世相とリンクしてくる部分です。

心の渇き

ねえ 距離をとって 愛し合って
きっと このままじゃ 枯れちゃうよ
どうして? 時代は二人を…

出典: 声色/作詞:マオ 作曲:ゆうや

かなり謎が深い部分かもしれません。

幾つか解釈は考えられますが、ひとつは距離を隔てても愛し合う手段はもっとあるはずだと催促している説です。

もうひとつは会えなくて連絡は取れるのだけど、それだけじゃ全然足りないと告げている説。

ただいずれにしても現状が続くようなら枯れてしまうほど耐え難いというメッシージには違いありません。

ここで…にて省略されている箇所は修復するとすればどんな言葉を続けるべきでしょうか?

1番では世界が一変したことで平穏な暮らしが打ち壊され、親しい人にすら会えなくなったことを述べています。

そこで世界の変容が自分たちにどんな変化をもたらしたか、を考えればそれらしき答えは見えてきます。

恐らくは次のような言葉です。

「引き裂いたの?」

敢えて語らずに考えさせることで、胸の詰まるような想いを表現したのかもしれません。

消えてゆく記憶

失った幸せ

あなたと過ごした 普通の日常が
何気なくて 温かくて 戻れるのなら

出典: 声色/作詞:マオ 作曲:ゆうや

サビの切ないメロディーに乗せて歌われるのはあの頃の温かい思い出。

当たり前のように二人で過ごせたあの頃が嘘のように、その日常を取り戻せずにいる現状。

かつての幸せは決して当然のものなどでなく、失ってからその大切さに気付いたのでしょう。

そしてその懐かしい日々が眩しく思え、可能ならば取り戻したいと思い。

しかし闇は世界を覆い尽くし、出口が見つかりそうもないことを示唆する語り口になっています。

微かな希望

毎晩 細くなってく 掠れた声色は
今日も二人を 繋ぎとめてくれるかな

出典: 声色/作詞:マオ 作曲:ゆうや

2番のサビはまだ続きます。

日を追う毎に愛してやまなかったはずの恋人の声色は記憶が薄れていきます。

冒頭では耳を離れないと語っていた声も次第に遠ざかり、消失へと向かい始めるのです。

そんな中、でも確かに残り続ける声は二人を繋ぐ絆であり続けて欲しいと切望しているのでしょう。

1番のサビが約29秒なのに対して、2番のサビは約49秒で歌われています。

解釈としては1番のサビは現実の変化に翻弄され整理がつかない心情を経過的に語ったもの。

そして2番ではかけがえのない元の日常を取り戻せたら、という想いが溢れて枠をはみ出したのではないでしょうか?

2番ではこのままあの頃に戻れなければ君が消えてしまうという嘆きを歌っているといえます。

二人を繋ぐもの

声が聞きたい

会えない時間に 慣れてしまいそうで
思い出には 負けちゃいそうで
声が聞きたくて

出典: 声色/作詞:マオ 作曲:ゆうや

間奏を経て再びサビが提示されます。

歌詞の方は1番のアレンジになっていますね。

ではなぜ再提示ではなく3行目が書き換えられているのでしょうか?

1番では変わってしまった現実に戸惑い途方に暮れる様を描写しています。

しかしここに来て現実の変容はしっかりと受け止めた上での願望を語ろうとしたのではないでしょうか?

声色が繋ぐもの