バブル期終盤に生まれた名曲「WON'T BE LONG」
舞台はなんと高円寺!
1990年、元は漫才師であったバブルガム・ブラザーズがアーティスト活動を始めて5年。
彼らの通算10枚目のシングルとして発表された「WON'T BE LONG」。
同年の紅白歌合戦で歌われたことがきっかけとなり、1992年にミリオンセラーを達成しました。
この楽曲は作詞・作曲をメンバーの一人であるBro.KORNが行っています。
一聴すると洗練されたR&Bミュージックとして完成されており、キャッチ―でカッコいい楽曲です。
しかしこの曲、実はBro.KORNの出身地である東京都高円寺で開催される、とあるお祭りがモチーフなのだとか。
そのお祭りとは「東京高円寺阿波踊り」。
そう、阿波踊りがモチーフなのだそうです。
後述しますが、多数のアーティストにカバーされているこの曲。
カバーヴァージョンを先に聴いた人からすると信じられないかもしれません。
しかし当時のMVを見てみると、お祭り中の高円寺が舞台となっており、事実だとわかります。

相容れぬ音楽同士の融合
日本のお祭り音楽とブラックミュージックは相容れぬ関係として知られています。
良く言われるのが「拍のアクセント」。
日本のお祭りは表拍が強拍であり、ブラックミュージックはその逆というものです。
昔のことですが、海外ミュージシャンが日本のライブで手拍子を要求したときに面白いことが起きました。
日本人の観客はその時、お祭りの様に表拍で手拍子を始めたそうです。
それに対しリフを弾き始めていたギタリストは演奏を中断。
観客には手拍子を続けさせ、裏拍に来るように弾き直したのです。
如何に表拍が独自の文化であるか、良く分かるエピソードですね。
そんな相容れぬ曲文化をクロスオーバーさせた「WON'T BE LONG」。
結果として、ちょっとした下町感を持った、キャッチ―で洗練されたR&Bとして完成しました。
名だたるアーティストがカバー!
カバーによって数年おきにリバイバル
「WON'T BE LONG」は様々なアーティストにカバーされてきた楽曲としても有名です。
その中でも有名だったのが「EXILE&倖田來未」だったのではないでしょうか。
2006年に発表されたこのカバーはオリコンチャート2位を記録。
爆発的な人気で、約15年ぶりに同曲をヒット曲に押し戻しました。
倖田來未はこのコラボ以外にも自己のアルバムでソロによるカバーを披露。
EXILEサイドもTRIBEを含め、数回カバーが発表されています。
その他にも数年置きのペースで様々なアーティストにカバーされており、根強い人気が伺えますね。
では、ここから歌詞について見ていきましょう。
ノリの良い掛け声から始まる
OLY OLY OLY OH! YELY YELY YELY YEAH!!
THE UP. TOWN TOKIO,SLAMIN' NIGHT!!
OLY OLY OLY OH! YELY YELY YELY YEAH!!
THE UP. TOWN TOKIO,SLAMIN' NIGHT!!
出典: WON'T BE LONG/作詞:Bro.KORN 作曲:Bro.KORN
ノリノリなミドルテンポの曲調に合わせて歌われる冒頭部分。
最初の掛け声には特に意味はありませんが、お祭り気分がひしひしと伝わってきます。
余談ですが、メンバーのBro.TOMはレコーディングを含む曲作り全般に一切関与していないそうです。
Bro.KORNがレコーディング中にもBro.TOMはスタジオの外へ。
近場のパチンコ屋で卓と勝負していたそうです。
そんな彼が歌っていたのが、唯一この掛け声の部分だけだったとのこと。
それで紅白に出てしまうんですから、ある意味凄いですね(笑)。
「SLAM」のこだわり
続いて歌われる「THE UP. TOWN TOKIO,SLAMIN' NIGHT!!」。
「THE UP」は誇張表現と捉えて良いでしょう「アガってる」とでもしておきましょう。
「SLAMIN’」には「最高、とても良い」という意味があります。
なのでこの部分の和訳は「最高の夜の街東京、アゲアゲだぜ!」といった感じです。
プラスして、「SLAM」という単語には「打ち付ける」という意味があります。
「最高」という表現にこの言葉を使っていることに意味を感じずにはいられません。
それは祭囃子で打ち鳴らされる太鼓の音か。
はたまた阿波踊りを踊る人々や見物客の足音か・・・。
お祭りの様子が伝わってくるナイスなワードチョイスと言えるでしょう。