冒頭のサビと歌詞は同じなので、掲載は割愛します。
ここでもう一度歌詞の意味をとらえたいと思います。
「壊れた世界」とは、はたして何を意味しているのか?
この曲が発売されたのは2012年の3月7日。
そう、ちょうど1年前は日本を未曽有の恐怖に陥れた東日本大震災が起こった日です。
MUCCのメンバーは茨城県出身。
東北に比べ地震災害の影響は少ないですが、茨城県にも少なからず地震の影響がありました。
まだ記憶に新しい歴史的な大災害。
多くの命が無くなりました。
回復しつつあるとはいえ、正直まだまだ足りない復興支援。
2018年現在、未だに行方不明の方もいらっしゃいます。
家族と死に別れ、終の棲家さえ奪われた高齢者たち。
身寄りがない子どもたち。
私たち日本人に課題を残した出来事でした。
この曲を作詞したミヤさんは、おそらく哀悼の意を込めてこの歌詞を書いたのだと思います。
それを踏まえてもう一度この歌詞を見ると、「壊れた世界」というのは、文字通りの意味だと思います。
それはネガティブな意味ではなく、ポジティブな意味でこれからの私たちの生き方を問う歌詞だと思います。
ただ文脈だけを追えば、恋愛を描いた歌詞に見えるかもしれません。
ただそれだけで終わるのではなく、恋愛をベースにした希望の歌だと思います。
どんなに壊されても壊れないものがある。
傷は深いけれども、治らないことはない。
希望を絶やさずに生きていこう。
『ニルヴァーナ』は鎮魂(レクイエム)の歌であるとともに、希望の歌でもありますね。
Aメロ(2番)
感覚が鈍っている?涙は溢れるのに
この気持ちってなんだっけ? どこかに忘れてる。
さあ、問題はこの消せない エレクトロライト
心の中の 灯り
出典: ニルヴァーナ/作詞:ミヤ 作曲:ミヤ
主人公自身も自分の感情に戸惑っている様子がよく分かります。
君と会えない、話せないことで投げやりになりそうな状態。
皆さんも恋愛中にそういう体験をしたことがあるのではないでしょうか?
「エレクトロライト」というたとえが出てきます。
その次にあるように「心の中の灯り」という意味で使われています。
しかし、筆者にはもう一つ意味があるように思えます。
消せない灯り=心の中の細胞。
その細胞は、主人公が今置かれている状況に納得していない様子です。
完全に割り切れなく、くすぶった感情が燃え残っている。
その意味での「ライト」という意味にもとれるのではないでしょうか?
サビ(2番)
「会いたい」とドアを叩いて 僕は知らないフリをした
明日になればこの痛みも 海の向こうに沈む?
出典: ニルヴァーナ/作詞:ミヤ 作曲:ミヤ
2番目のサビでは、主人公と君に起こった過去の出来事が反芻されます。
今までは現在の状況を歌っていましたね。
君の「会いたい」という望みを断った主人公。
どういう想いでそうしたのかは分かりません。
しかし今になって主人公は自分の行動を後悔します。
悔やんでも悔やみきれない過去。
それを海の底へと沈ませたいのでしょう。
痛切な主人公の想いが伝わってきますね。
サビ(3番)・サビ(4番)
繋いだその手の微熱が 消えない明かりを灯せば
ぼやけた世界の隅まで 照らす ほら 鮮やかに
出典: ニルヴァーナ/作詞:ミヤ 作曲:ミヤ
3番目のサビは1、2番目のサビと同じ歌詞なので掲載は割愛します。
掲載しているのは4番目のサビです。
どちらかというと今までは主人公の悲愴的なセリフが続いていました。
しかし、このあたりからポジティブな歌詞が増えてきていますね。
そして、くすぶっていた「エレクトロライト」が再度輝きだします。
破壊された世界を、一縷の希望によって再構築しようとする主人公。
改善するにはまだまだ時間がかかります。
それでも一歩一歩前進することが、改善につながります。
大サビ
悲しみは沈み ほら 夜が明ける
君とぬくもりを探しに
ゆこう 未だ見ぬ 世界へと
出典: ニルヴァーナ/作詞:ミヤ 作曲:ミヤ
最後で「希望」と「再生」の物語がはじまります。
今までうけた悲しみは海の底に沈みました。
「破壊された世界」は、まったくそのままに戻りません。
「未だ見ぬ世界」を作らなければならない。
「未だ見ぬ世界」とは「平和な世界」に他なりません。
その道しるべを主人公は、愛する「君」と作っていこうと決意します。
これは歌詞の世界だけにとどまらず、私たち人間の普遍的な課題ですね。