ドラマ「娼婦と淑女」の主題歌としても人気に!
愛憎劇を彩る耽美な椿屋四重奏の世界を堪能…
2011年、多くのファンに惜しまれながらも解散を発表した椿屋四重奏。
バンドのボーカルであった中田裕二は、現在も精力的にソロ活動を行っています。
お洒落なフレーズの中にも色気の漂う彼らのサウンドは、今なお多くの人々に聴き継がれていることでしょう。
今回、そんな彼らの楽曲の中からご紹介するのは7thシングル【いばらのみち】。
2010年に放送された安達祐実主演の昼ドラ「娼婦と淑女」の主題歌にも抜擢された1曲です。
モノクロでシンプルな演奏シーンのみのMVも必見!
曲に合わせられた、映像は至ってシンプルなバンドメンバー3人の映像シーン。
特徴的なのは、真っ白な衣装を着た3人と真っ黒な衣装を着た3人。
彼らが相対する形で相対的に描かれている点です。
冒頭から楽曲のメロディをリードするのは白い衣装の中田裕二。
黒い衣装を着た中田裕二は、彼を何か言いたげな目で見つめていますね。
曲が進行するにつれて徐々に絡み合ってゆく2人のパフォーマンス。
白と黒に対比された彼らの姿は、一体何を表しているのでしょうか?
ぜひ最後まで映像をご覧頂き、その答えを確かめて頂ければと思います。
それでは、ここからは楽曲の歌詞を解説していきましょう!
歌詞の内容を見てみよう
垣間見える強い信念
愛なんか知らないよ
夢だって捨てたんだ
それよりも欲しいものを
この手で掴み取るだけさ
笑いたい奴には
笑わせておけばいい
いつかきっと跪いて
間に合わせの愛を乞うのさ
出典: いばらのみち/作詞:中田裕二・松井五郎 作曲:中田裕二
冒頭のフレーズに並ぶのは、この歌の主体となる人物の非常に野望的な心情です。
「愛」や「夢」などの、希望的だけれど不確かなもの。
そんなものはいらない、それよりも確かに実体を持つ自分が求めるものを手に入れるだけ。
曖昧さを一切排除した言い切りの口調にも、この人物の確固たる信念が垣間見えますね。
そんな自分のことを周りでとやかく言う人々のことも、一切意に介さない様子。
遠くない将来に、彼らが意見を翻しゴマすりをしながら自分の元へとのこのこやってくる。
そんなビジョンすら鮮やかに描いているようです。
彼女が求めるものとは、一体何なのでしょうか。
また彼女はなぜそれを、ここまで頑なな姿勢で求めているのでしょうか。
赦されることのない過去のわたし
抱いて欲しいのに
壊れてしまうなら
罪も痛みも 受け止めるよ
誰のためでもなく
いばらのみちだって
味方はつけないよ
涙から 生まれ変わった
かわいそうなわたし さよなら
出典: いばらのみち/作詞:中田裕二・松井五郎 作曲:中田裕二
強い意志を持って、独り孤独に歩みを進めようとする人物。
「わたし」という主語を使っているということは、この人物はどうやら女性なのでしょうか。
彼女も過去には自分の犯した過ちについて赦しを乞い、救いへの希望を抱いたこともあったようですね。
ですが、彼女の淡い望みは叶えられることはなかったのでしょう。
だからこそ彼女は確固たる信念を持ち、全ての罰を自分の身1つで背負うことを決めたのです。
それは「誰のためでもなく」、自分自身の為に。
彼女が犯した過ちは、それほどまでに大きく深いものでした。
誰にも頼らず孤独に生き続けるという、揺るぎのない悲しい決断をしなければいけないほどに。
これから彼女が歩む道のりは、決して平坦なものではないことも自身で理解しています。
それでも、頼れる相手や自分を支えてくれる相手はいらない、と。
彼女のその孤独な姿は、彼女自身が生まれ変わった姿でもあるようです。
過去の「かわいそうなわたし」が流した「涙」から「生まれ変わった」、新しい自分の姿だと。
強さを持った孤高の存在である自分。
それこそが、彼女が求めているものの1つなのではないかと思います。
昔の彼女はとても大きな過ちを犯し、その後悔から自分を変えようとしているのですね。
過酷な過去を乗り越えて彼女が思うのは…
火の玉飛び交って
夢中で切り抜け
焼け野原 とても綺麗で
しばらくひとり 眺めていた
出典: いばらのみち/作詞:中田裕二・松井五郎 作曲:中田裕二
彼女がこれから歩む道のりは平坦ではない、と先ほど述べました。
しかしどうやら、これまで歩んできた道のりも相当過酷なものであったようです。
業火の飛び交うようなまさに戦場。
彼女はそこを死に物狂いで駆けてきたのでしょう。
何とかその場から逃げ終えた後、振り向いて眺めた過去の情景。
それは道のりの過酷さを示すかのように、全てが焼け落ち何一つ残っていなかったようですね。
ですが一方で彼女はその情景に凄惨さを感じたと同時に、何か魅入られるような感覚を感じた様子。
悪夢のような日々が全て終われば、まるで本当に現実だったのかが信じられないくらい。
そんなどこか夢うつつな心持ちで、自身の過去を振り返っているのではないでしょうか。