堂々巡りの会話 終わらない様に靴を履いて
曖昧な距離は今日だって ぼやけて変わらないし
出典: 花瓶に触れた/作詞:バルーン 作曲:バルーン
いつまでも同じ所を廻る、たわいのない会話ですら終わって欲しくないのです。
会話をしている間だけでも、自分の事を考えていて欲しいから。
友達以上恋人未満な2人。
あるいは、お互いを想い一緒になったはずの2人。
今となってはもう分からない、曖昧になった関係が変わるのが怖くて踏み出せない。
そんなこと、よくある話ですよね。
その1歩を踏み出してしまえば、間違いなく今までの2人では居られなくなってしまうのですから。
花瓶の花が示す彼女の想い
帰りたいと思った 君は手を握った
その振動は確かに 花瓶に触れた
笑えない話しは 出来ればしたくないんだ
いつも通りなら ここで
出典: 花瓶に触れた/作詞:バルーン 作曲:バルーン
映像の中で花瓶に生けられているのは真っ赤なホウセンカ。
ホウセンカの花には『わたしに触れないで』という花言葉があります。
自分には向いていない愛しい彼女の想い。
全て分かっていても、彼女の手を繋ぐ事は出来るのです。
彼女の心に触れないでいれば今のまま、彼女の手を繋ぐ事が出来る。
他の誰かに想いを寄せる彼女に、自分の事を想って欲しいなんて辛い話は出来ないですよね。
彼女の手=花の外側である花瓶には触れられるのに、彼女の心=花には触れられない。
そんな哀しい2人の物語が、この歌のテーマとなっています。
2人の関係は少し崩れていき…
本当に悪いのは彼女だけなのか?
ドアを塞いで また隠し事 別にいいさ 知りたくもない
確かに塗り替えた 爪の色 気付かないふりを続けてる
出典: 花瓶に触れた/作詞:バルーン 作曲:バルーン
少しずつ、けれど着実に、彼女の心は彼の元を離れていきます。
重ねられる彼女の嘘や隠し事。
それに気付かないふりをして、
それでも彼女自身が自分の元にいてくれるなら、
柳眉倒豎の君に 焦らないように下を向いて
心配なのは今だって 言葉は途切れたまま
出典: 花瓶に触れた/作詞:バルーン 作曲:バルーン
『柳眉倒豎(りゅうびとうじゅ)』とは容姿の美しい女性が怒っている様子を表す四文字熟語。
怒った彼女に対しても、彼はどうしていいかが未だに分からないのです。
少しでも言葉を間違えてしまえば、彼女は自分の元を離れていってしまう。
それが怖くて、何も言えないのでしょう。
彼女が怒るほどの事があった時、本当に彼女の事を思うのであればまず彼女の事を心配するべきです。
しかしそんな時でも、心配するのは自分の身の事ばかり。
2人の関係は、とうの昔に終わってしまっていたのかもしれません。
彼女の怒りの裏にあるものは…
比べたいと思った 違いの想いを全部
その願望は間近に 浮かんで消えた
飾らないでそんな 酷く声は潤んで
わからないかなあ
出典: 花瓶に触れた/作詞:バルーン 作曲:バルーン
きっと彼女は、そんな狡い彼の想いを全てわかっているのでしょう。
彼が好きなのは彼女ではなく、彼女の事が好きな自分自身。
今はもう想えないとしても、一度でも好きになった人にそんな狡い人間になって欲しくないのです。
人間の怒りという感情は二次感情である、という理論があります。
悔しさや悲しみ、不安や苛立ち等の負の感情が変化したものが怒りの感情なのです。
彼女の怒りの感情は、もしかしたら彼への悲しみの感情が変化したものなのかもしれません。