白鳥英美子「Melodies Of Life」
『Melodies of Life』は白鳥英美子の歌った『ファイナルファンタジーIX』の主題歌。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Melodies_of_Life
支持されている理由は、ゲームの主題歌だからというだけではありません。
単純に楽曲としての魅力に溢れているのです。
私たちの心にノスタルジーを呼び起こすような歌のメロディ。
優しく私たちの心を包み込んでくれるかのようです。
今回の記事では、「Melodies Of Life」の歌詞の意味を解説していきます。
それでは早速、冒頭の歌詞から見ていきましょう。
彷徨う日々
彼女が探しているもの
宛てもなく彷徨っていた
手がかりもなく探しつづけた
あなたがくれた想い出を
心を癒す詩にして
出典: Melodies Of Life/作詞:シオミ 作曲:植松伸夫
冒頭の歌詞で提示されているのは、主人公がただ彷徨い続ける光景です。
何かを探しているのでしょう。
しかしその何かにたどり着くための手がかりは持ち合わせていない。
だから目的もなく彷徨い続けるしかないのです。
その旅は途方もなく精神は知らず知らずに蝕まれていきます。
しかしそんな時に心を救ってくれるのは、大切な人がくれた思い出。
苦しみに囚われてしまいそうになるのをその思い出が助けてくれるのです。
心が救われるほど尊い思い出は、主人公の暗い心を照らす光のようなものなのでしょう。
彼女が探しているのは、希望を見出せるような新たな未来のことではないでしょうか。
大切な人がくれた過去の思い出と同じくらい自分にとって明るい未来。
思い出が道標となって、その道を照らしてくれているような情景が目に浮かびます。
2度と戻らない日々
約束もすることもなく
交わす言葉を決めたりもせず
抱きしめそして確かめた
日々は二度と帰らぬ
出典: Melodies Of Life/作詞:シオミ 作曲:植松伸夫
約束というのは時に他人行儀とも感じられる行為です。
そういった決め事を作らずにただ寄り添い合う。
そうすることでお互いの存在を確かめ合い、お互いを信頼する気持ちの大きさを知るのです。
言葉を交わすことさえ距離を感じてしまう。
2人の心の距離がとても近いことが伝わってきます。
言葉を発さなくても良いほど、お互いに通じ合っているのです。
主人公は大切な人との過去を思い出しているのでしょう。
しかし今ではそんな日々も遠い過去となってしまいました。
過ぎ去った日々は2度と帰っては来ないのです。
この楽曲が表現しているのがある種のノスタルジーであるということがこのパートからわかります。
切ない記憶
あなたの声
記憶の中の手を振るあなたは
わたしの名を呼ぶことが出来るの
出典: Melodies Of Life/作詞:シオミ 作曲:植松伸夫
過ぎ去った過去を思い出し、大切な人が自分の名前を呼ぶシーンを回想しているのでしょう。
手を振り、遠くから自分の名前を呼んでくれる大切な人。
2人の関係性が垣間見える表現となっています。
思い出のその瞬間に存在していた幸福も、今では過去のものとなってしまいました。
もう名前を呼んでくれたあなたは目の前にはいない。
けれど記憶では鼓膜にこびり付いた大切な人の声が再生されている。
その言葉に漂うのは堪えきれない切なさです。
しかし不思議とこの歌詞の部分からは、苦しみなどの重苦しい負の感情は感じません。
さっぱりとした印象を感じさせるのは、その幸福が今でも彼女の中で持続しているからかもしれません。
長い効力を発揮する魔法のように、その記憶が彼女の心に力をもたらしてくれているのです。