類まれな歌唱力と表現力
バラードからビートの効いたナンバーまで
JUJUのメジャーデビューは2004年。しかしそのスタートは恵まれたものではありませんでした。デビュー曲、2曲目ともセールスは振るわず、ヒットは2006年の3枚目のシングル「奇跡を望むなら...」まで待たなくてはなりませんでした。
その後、「素直になれたら」「やさしさで溢れるように」などのヒットを連発、またカバーアルバム、ジャズアルバムもリリースし、その実力は万人の認めるところになりましたね。
彼女の艶のある歌声は、やはりなんと言ってもバラードで光ります。ヒット曲の多くはバラードですが、彼女は元々ジャズシンガーを志向していただけあって、アップテンポなナンバーも実に表現力豊かに歌ってくれます。その守備範囲の広さがまた彼女の魅力と言ってもいいでしょう。
ドラマ「偽装の夫婦」は様々な議論を呼んだ問題作!?
ドラマ主題歌としての存在感
「What You Want」はドラマ「偽装の夫婦」の主題歌として作られました。
「偽装の夫婦」は主演が天海祐希。人気を博したドラマ「女王の教室」「演歌の女王」と同じ脚本遊川和彦とタッグを組んだラブコメディーです。
沢村一樹演じる、実はゲイの元カレは病に侵された母の為に天海と偽装結婚を演じるというストーリー。
「偽装結婚や偽装恋人からの真実の恋」というパターンは、今までいろいろな名作を生んできました。近いところでは、新垣結衣、星野源出演の「逃げるは恥だが役に立つ」が同じ路線ではありますね。
ただこの「偽装の夫婦」が一味違うところは、元カレが「ゲイ」というデリケートな問題を扱っていたことでした。
そのためハッピーエンドの展開でも、様々な批判や意見が寄せられたドラマでもありました。その中で抜群の存在感でドラマを盛り上げることに成功したのが、この主題歌「What You Want」と言えるでしょう。
マシンガンチックな言葉が快感!
攻撃的な言葉がビートに乗って
JUJUのアップテンポのナンバーといえば、「What You Want」の2枚前、29枚目のシングル「PLAY BACK」が有名ですね。このポップでダンサブルな夏にぴったりのナンバーは、それまでのJUJUとは一味違う作品でした。
この「What You Want」も「PLAY BACK」と同じで作曲は為岡そのみです。ビートの効いたパーティチックなチューンは前作と同様、思わず身体が動いてしまうノリの良さ。
「PLAY BACK」の作詞は、JUJUと、嵐やKAT-TUNの作詞作曲アレンジも行っているAKIRAのコンビ。スタートから攻撃的な言葉が攻めこんできます。
それはまるでマシンガンのよう。
R&B、またヒップホップの要素も感じさせるメロディーがぐいぐいと迫ってきて、思わず身体が動いてしまいます。
スタートで「やられた!」って感じですね。
このまま終われないじゃない
作り笑いだって限界
人目気にしてばかりじゃ
なにも始まらないじゃない
出典: https://www.uta-net.com/song/197528/
意味深な歌詞が気持ちいい
細部に神が宿る!
本当は誰も追いつけない
浮世離れした存在
そんなのはお気に召さない?
過小評価の天才
出典: https://www.uta-net.com/song/197528/
「偽装の夫婦」は、設定が非常にデリケートで微妙なドラマでした。
「元カレがゲイで、その彼に逃げられ過去を持ちながら、再び現れたその元カレと偽装結婚いなければならない。」というのが主人公の「嘉門ヒロ=天海祐希」に与えられたシチュエーション。
彼女の立場になってみれば、秘密に秘密が重なって、なんとも複雑な心境としか言いようがありません。
「彼=浮世離れした存在」なんて言い方、あえて古い言い方をとったことがとてもシャレています。今どきの言葉にしないことが、逆にインパクトになっていますね。
その後には「過小評価の天才」。
そのままコピーに使えそうなセリフです。これも固い意味の言葉を巧みに使った素敵な表現ですね。