Sunny Day Service「東京」
90年代から日本のロックを模索し続けてきたSunny Day Service(サニーデイ・サービス)。
今回は彼らの2ndアルバム『東京』の中から表題曲となる「東京」をご紹介します。
彼らの評価を決定付け、代表作の1つとしても数えられている同アルバムの1曲目を飾る「東京」。
オープニングナンバーとしてアルバム全体の雰囲気を担う大事な1曲です。
そのサウンドは、東京の喧騒とはかけ離れた穏やかさを感じるもの。
どこか牧歌的なその音楽に乗せて語られる言葉にはどのような意味が隠されているのでしょうか。
今回の記事では「東京」の歌詞に込められた意味を解釈していきます。
生き急ぐ若者の姿
青春を過ごす若者たちへ
赤い唇が色あせる前に
その熱い血潮の枯れぬまに
出典: 東京/作詞:曽我部恵一 作曲:曽我部恵一
まず「東京」の冒頭2行の歌詞をご紹介しましょう。
ここでは「赤」という色によって彩られた鮮烈なイメージが表現されています。
1行目の「唇」という言葉から連想されるのは、言葉や呼吸といったものです。
唇の赤さからは健康的な様子をイメージすることができます。
逆に青い唇からは自然と不健康な様子がイメージされることでしょう。
ここではその色が失せていく前の状態、つまり年老いる前の健康な若者の姿を表しているのではないでしょうか。
そしてそう考えれば2行目の歌詞にも納得がいきます。
この2行目は、そんな青春ともいえる青年期時代を過ごす若者の体内に流れる血を表しているのでしょう。
滾るような青春の気持ちが身体にほとばしっている様を表していると考えられます。
君が駆け出す理由とは
きみは駆け出すんだね
今日は春の中へ
出典: 東京/作詞:曽我部恵一 作曲:曽我部恵一
ここでは「君」と呼ばれる人物が登場しています。
その人物は今まさに走り出そうとしているようです。
この1行目の文章が意味することとは一体何なのでしょうか。
それは2行目の文章を読むことで分かるかもしれません。
2行目の「春」というのは人生における「春」を表していると解釈することもできるのではないでしょうか。
つまりこれは青春を表していると考えることができるでしょう。
そんな「春」の中で駆け出していく君の姿は若く美しいものなのだと想像することができます。
ここまで読むことで前述の歌詞パートについて分かることがあります。
それは人生における青春と呼ばれる季節はあっという間に過ぎていくことです。
「東京」というタイトルから連想される、忙しなく変化していくイメージも若さと結びつけられます。
瞬く間に青春は過ぎ去っていく。
だからこそ君と呼ばれる人物はそれに逆らうように生き急ぎ、春の風景の中を走っているのかもしれません。
若さが持つ儚さを感じる表現です。
青春の日々
瞳に咲く桜の花
瞳の中に花が咲いて
出典: 東京/作詞:曽我部恵一 作曲:曽我部恵一
次の1行はとても詩的な表現となっています。
春の風景を走る君の瞳に花が映っている様を表しているのでしょう。
この花というのはどのような花なのでしょうか。
それを考えるには、前述のパートにおける「春」という言葉。
そして、この楽曲が収録されている『東京』というアルバムのジャケットがヒントになります。
恐らくこれは「春」に咲く花のことを指しているのでしょう。
そう考えるとアルバムジャケットにも写っている桜の花であるということが推測できます。
ここまで読むことで、君が桜の咲き誇る道を走っている場面がありありと目に浮かんでくることでしょう。
「東京」という街が持つ刹那的な雰囲気を、青春を過ごす若者を用いて表現したのかもしれません。
都会から田舎へ
おんぼろ列車に乗って田舎道
出典: 東京/作詞:曽我部恵一 作曲:曽我部恵一