この歌詞からは場面が転換しているような印象を受けます。
「田舎」という言葉が出ていることから「東京」という都会との対比となっているのでしょう。
都会からは程遠い田舎の電車に乗る様子を表しているのだと考えられます。
その列車の古さにわざわざ言及していることから、都会とは程遠い辺鄙な土地を想像させられる歌詞です。
「東京」を離れて、地方へと旅に出ているのかもしれません。
もしくはそんな田舎から上京する光景を表しているのでしょうか。
電車の車窓から田舎の風景が広がるのを想像させられる歌詞です。
サウンドから感じる、牧歌的ともいえる雰囲気はこの田舎から見た都会の風景を表したものなのかもしれませんね。
走り出す主人公
船が意味するのは
銀の帆張った船は海の上
出典: 東京/作詞:曽我部恵一 作曲:曽我部恵一
ここでは唐突に船の描写が入ってきます。
海に浮かぶその船を、主人公は列車から眺めているのかもしれません。
この1行では「銀」という色が入っています。
太陽の光に照らされて輝いている様を「銀」と表現しているのかもしれません。
広大な海に浮かぶ船はどこに向かうのでしょうか。
主人公にとっては海の上をどこまでも行ける船は、自由の象徴なのかもしれません。
上京した主人公の心情
ぼくも駆け出そうか
今日は街の中へ
出典: 東京/作詞:曽我部恵一 作曲:曽我部恵一
ここでは主人公も、君と同様に走り出そうとしているのが分かります。
前述のパートまでの歌詞からは海や田舎への憧れのような心情を感じました。
しかしここでは彼が走り出す先には「街」があります。
彼は何故田舎ではなく、都会を選んだのでしょうか。
このパートを読むことで、先述した田舎を表すパートの意味が明確になってきます。
彼は恐らく田舎から上京してきたのでしょう。
つまりこの「東京」という楽曲は上京した青年の「東京」という街への気持ちを表しているのではないでしょうか。
上京してきたばかりの主人公は期待と不安が入り混じった気持ちを抱えていることでしょう。
何か夢を持って「東京」にやって来たのかもしれません。
そしてそんな彼が走り出そうとしているのは、そんな夢に対してのはやる気持ちを表していると考えられます。
彼は桜の降る春という季節の中、希望を持って東京を訪れたのでしょう。
青春を謳歌する若者たち
風が意味しているもの
瞳の中で風が吹いて
出典: 東京/作詞:曽我部恵一 作曲:曽我部恵一
「東京」の歌詞において、最後の1行となるのが上述した文章です。
この1行で印象的なのは「風」という言葉。
この「風」という言葉から感じるのは何かが起こりそうな気配です。
その「風」は、追い風なのか向かい風なのかは分かりません。
しかし無風状態では船は進みません。
主人公が電車の中から目にした海に浮かぶ船も帆に受ける風によって進んでいるのです。
「東京」という街に夢を見て、そこで起こる何かを想像して気持ちが高まっているのを表しているのかもしれません。
ここからも主人公の都会への期待の気持ちが表れているといえるでしょう。
今から何かを成し遂げようとする彼の生き急いだ気持ちが表れています。
君と主人公
この楽曲には、君と僕という2人の人物が登場しています。
この2人に共通しているのは、何かに対して走り出しているということです。
それは生き急ぐ若者の心情を表しているのかもしれません。
都会は人も建物も多く、いろいろなチャンスが転がっている場所です。
そうした場所には夢を持ってその命を燃やしている若者たちがたくさんいるのでしょう。
この「東京」という楽曲では、そうした若者たちへの賛歌なのかもしれません。
青春の日々を送る若者たちの背中を後押しするエールのようにも聞こえる楽曲です。