Sunny Day Service「雨が降りそう」
1年ぶりの新曲「雨が降りそう」
Sunny Day Service(サニーデイ・サービス)の2020年1月16日に配信リリースされた「雨が降りそう」。
この楽曲は、1995年から共に活動を続けてきたドラマーの丸山晴茂が亡くなってから初めての楽曲です。
作詞作曲は、フロントマンであるギターボーカルの曽我部恵一が担当しています。
「雨が降りそう」のMVはそれに先立ち、2020年1月1日元日に発表されました。
その憂いを帯びたサウンドと歌詞は、過去からの再スタートを予感させるものでした。
2020年3月19日から配信が開始されたアルバム『いいね!』にはこの楽曲は収録されていません。
当初アルバムのリード曲となるといわれていただけに、そこにも彼らなりの意図があると考えざるを得ないでしょう。
今回はそんな「雨が降りそう」のMVを解説していく記事です。
MVの詳細をご紹介!
今までにMVを担当したことはなく、映画界を中心として活動しています。
最近では2018年に映画『お嬢ちゃん』を発表するなど積極的な活動が目立つ監督です。
また、MVの主演はMEGUMUが担当しています。
彼女はインスタグラマーとして活動しており、そのファッションセンスなどから若い層を中心に人気です。
そんな強力なタッグにより作り出された映像作品を今回は丁寧に解説していきます。
MV解説!
街を憂い顔で眺める理由
高架下のトンネルのような場所を抜けていく人影の暗いシーンから一転、都会の街へとカットが移り変わります。
ビルが立ち並ぶ東京の街中でしゃがみ込むMEGUMU。
下を向いていた顔を上げると、人々が往来する風景を見つめています。
その目は虚ろで遠くを見ているかのようです。
恐らく何か考え事をしているのでしょう。
座り込んだままどこか落ち着きのない彼女。
徐々に眉を顰めるその表情は、どこか悲しみを帯びているようにも見えます。
彼女がそんな憂い顔で街を眺める理由とはなんでしょうか。
もしかしたら彼女は、街の雑踏の中で誰かを探しているのかもしれません。
そう考えれば、彼女が悲しそうな顔で辺りを見渡していることにも納得がいきます。
彼女の様子を捉えていたカメラが上を向き、次に映し出されるのは東京の曇った空。
楽曲に漂う切なさと曇った空が一体となり、胸を締め付けるかのようです。
記憶を辿って
空から次のカットに移り変わると同時に、楽曲に力強いビートが入ってきます。
それに合わせるようにして映し出されるのは、MEGUMUのこちらへ向けた笑顔、枯れ木、電線、そして街の雑踏。
意味深なそのカットの連続は、脳内にある記憶を辿っているようにも感じられます。
その後再度映し出されるのは、先ほどとは打って変わった無表情にこちらを見つめるMEGUMUの顔。
そして振り返ると、颯爽とどこかへと歩いていく彼女。
その次のカットでは歩き出す男性の足元も映し出され、何かの始まりを予感させます。
この部分で印象的なのは、MEGUMUの笑顔と無表情の対比です。
ここでは、過去の彼女と現在の彼女を表していると考えられます。
彼女の過去に何があったのか
MEGUMU演じる主人公は何故、無表情で街を歩いているのでしょうか。
彼女はもしかしたら、過去のある出来事が原因で悲しみに暮れているのかもしれません。
その原因となる出来事というのは大切な人の死です。
最初に映るのはその大切な人に向けての心を許した笑顔を表しているのでしょう。
しかし今の彼女にはその頃の笑顔はない。
もう2度と会えないと分かっていながら街の中でその人のことを探しているのかもしれません。
その死の大きさを受け止めきれず、思い出に浸りながらただ街を歩くしかないのでしょう。
この楽曲に漂う切ない雰囲気がそんな悲しい物語を想像させます。