3人の部屋にガラクタで作られたステージ。
そのステージで歌っていると、場面がスタジアムに切り替わります。
この描写から感じられるのは「小さな一歩の積み重ねが大きなステージに繋がっている」ということ。
どんな小さなステージだっていい。
自分たちの音楽を届けることを止めなければ、日の目を見るときは必ずやって来る。
地味で辛いことだって、その先の夢に繋がっていると考えれば頑張れますよね。
これは音楽に限らず言えることではないでしょうか。
3人のストーリーが詰め込まれた歌詞を解釈
ここからは「ラストチャンス」の歌詞を見ていきましょう。
バンドの解散が掛かったこの曲のタイトルはまさに「全てをこの1曲に賭ける」という想いの表れ。
そこには、音楽の道を選んで突き進んで来た3人の葛藤と決意が込められています。
うだつの上がらない自分では
知らぬまに電車は動きだしてた
街の灯に自分を重ねてみた
今日も君に逢いたいけれど
すれ違ってゆくばかり
出典: ラストチャンス/作詞:Something ELse 作曲:Something ELse
暮れてゆく街の灯りが覗く車窓を見つめながら、物思いにふける主人公。
頭をもたげているのは「君に逢いたい」という気持ちです。
そうは思えどすれ違いが続いているのは、うだつの上がらない自分への引け目からではないでしょうか。
デビューしたものの、なかなかヒットを生み出せずにいたSomething ELse。
応援してくれる人たちに顔向け出来ないという想いがあったのではないでしょうか。
僕だけが取り残されたようで
友達が幸せそうに見えた
でも最近じゃ自分をもっと
好きになろうと心に決めたんだ
出典: ラストチャンス/作詞:Something ELse 作曲:Something ELse
バンドマンの人生というのは、いわゆる普通の人生とはちょっと違います。
周りの友達が就職していく中、自分たちはずっと音楽ばかり。
結婚だって売れていない不安定な状況があっては、なかなか踏み切ることは出来ません。
そんな生活をしていると、普通の人生を送っている人たちがうらやましく見える瞬間があるもの。
でも、この道を選んだのは他でもない自分たちです。
引け目を感じていることが売れない原因の一つとして、足かせになっていたのではないでしょうか。
そして「自分で選んだ道なのだから胸を張るべきだ」と気付いたバンドの姿が描かれます。
大切なのは全力を出し切ること
give me a chance
最後に賭けてみたいんだ
once more chance
後悔だけはしたくはない
一体どこまでできるかも分からないけど
give me a chance
願いを形にできるように
出典: ラストチャンス/作詞:Something ELse 作曲:Something ELse
ただ音楽が好きで突き進んで来た3人。
その道で養ってきたものがどこまで通用するものか、賭けてみたいという気持ちが描かれます。
印象的なのは「どこまでできるかも分からない」という言葉。
成功するか失敗するかは重要ではないのです。
大切なのは全力を出し切ること。
結果がどうあれ「よく頑張った」と思えれば、それは形になったと言えるのではないでしょうか。
終わりを感じる暇もなく
いつのまに僕は大人になってた
思い出は胸の中に眠ってる
涙も見せずさよならした日
心に穴があいてた
出典: ラストチャンス/作詞:Something ELse 作曲:Something ELse
人生では、あらゆる場面で終わりがやってきます。
就職など、岐路に立たされる機会ではそれは如実。
しかし、バンド活動をしていた3人にとって、学生時代からやっていることはずっと同じ。
まさにゴールの見えない道を走っていたと言えるでしょう。
終わりを感じる暇もなく過ぎていた日々。
ここではそれらに虚しさを覚える様子が描かれています。
夢だけをがむしゃらに追いかけた
気がつけば何かをなくしてた
小さな頃にあの人のように
なりたいと空に強く願ったんだ
出典: ラストチャンス/作詞:Something ELse 作曲:Something ELse
追いかけることに夢中になっていると、なぜそれを追いかけていたのかを忘れてしまうことがあります。
何かになることが目的ではなく、追いかけること自体が目的になってしまうのです。
そんな状態で走り続けるのは不可能。
きっかけを振り返れば、なんのためにひた走っていたのかも思い出せるはずです。