ビリー・アイリッシュ【everything i wanted】歌詞の意味を和訳しながら徹底解説!の画像

But it felt like they were right there
And it feels like yesterday was a year ago
But I don't wanna let anybody know
'Cause everybody wants something from me now
And I don't wanna let 'em down

出典: everything i wanted/作詞:Billie Eilish O'Connell Finneas Baird O'Connell 作曲: Billie Eilish O'Connell Finneas Baird O'Connell

「でも皆がそこにいるって私は感じたの

まるで昨日が一年前のことのように感じる

でもいま私はそのことを誰にも悟られたくないわ

なぜって誰もが私に何かを求めているし

私は皆をがっかりさせたくはないからね」

ここでの私の気持ちはビリー・アイリッシュの状況と読み合わせないと解読できません。

夢の中では皆が私を罵倒していました。

そして確かにそこに人々が集っていたのです。

私はこうしたつらい思いをしたことを皆に悟られないように苦慮します。

すでに世界中の音楽界で大成功を収めてしまったビリー・アイリッシュ。

私の挙動から何かを読み取ろうと皆が必死になっています。

そうしたリスナーの希望を打ち砕く訳にはいきません。

夢の話から現実まで空間が行き来しています。

夢の中でもそうですが、現実においても私は多数の人と向かい合っているのです。

主な登場人物は私とあなたですが、その他大勢のキャストがこの歌の中で大きな存在になっています。

「対大衆」というような図式を私は心の中に常に携えているのです。

これこそ急速に時代のステージを駆け上がってしまったアンチ・ポップ・スターの悲劇でしょう。

ただし、ビリー・アイリッシュ自身は名声に対してネガティブなことは歌っていない

そう、インタビューで答えています。

一方でこの歌の一部は共感されないかもしれないという思いも隠していません。

おそらくパーソナルな事情を含んだ出来事をこの歌詞に書き綴ったのでしょう。

彼女の生涯をすべて傍で見ていたような人にしか理解できない何かがあるはずです。

こうした事情をすべて理解できるのは共作者のフィネアスだけでしょう。

「everything i wanted」の核心へ

私は同じような真似をするのかな

ビリー・アイリッシュ【everything i wanted】歌詞の意味を和訳しながら徹底解説!の画像

If I knew it all then, would I do it again?
Would I do it again?

出典: everything i wanted/作詞:Billie Eilish O'Connell Finneas Baird O'Connell 作曲: Billie Eilish O'Connell Finneas Baird O'Connell

「すべてを分かっていたとしたら 私は再び同じことをするのかな?

私は再び同じことを繰り返すのかな」

いよいよクライマックスです。

途中にあなたとが私に優しく諭す箇所がリフレインされています。

繰り返しになるので訳出は割愛しました。

ただ、このラインはあなたが「彼らは君に相応しくないよ」とアドバイスした直後に現れます。

こうした一連の流れを受けて私は全部分かっていたら同じような真似をしたかと自問します。

アーティストが予想外の大成功に戸惑ったり傷ついたりするエピソードは過去にもたくさんあるでしょう。

この曲「everything i wanted」も同様のテーマであることは確かです。

ゴールデンゲートブリッジからの飛び降り自殺は夢の話だとしても物騒なものでしょう。

すべてを分かっていたならば飛び降り自殺なんて真似はもうしないのかどうか。

見た夢への問いかけです。

しかし夢の中で私がゴールデンゲートブリッジから身を投げることがこの歌のハイライトでしょう。

実際にチャートを大きく賑わすまでに夢の中のエピソードが人々の心を揺らしました。

ビリー・アイリッシュは本当にこのような夢を見たそうです。

その夢体験をかなり生々しい形で私たちに提供しました。

もっと痛烈な言葉が最後に登場します。

ご覧ください。

リアルでありネクストでもある

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If they knew what they said would go straight to my head
What would they say instead?

出典: everything i wanted/作詞:Billie Eilish O'Connell Finneas Baird O'Connell 作曲: Billie Eilish O'Connell Finneas Baird O'Connell

「もし自分の喋る言葉が直接に私の脳内に響くと分かっていたら

皆は替わりにどんなことを語ってくれるのだろう?」

言葉はときに武器のように鋭く人の心をえぐります。

これは特に夢の中のエピソードですから外野の人々の言葉であっても本人の脳内に直接響くのです。

こうした事実を知っていたとしたら人々はどのように語り直すでしょうか。

丁寧なお悔やみの言葉を投げかけるでしょう。

しかし本心を覗き込むと依然として私への悪罵で充満しているのかもしれません。

everything i wanted

タイトルは皮肉であり望んだものは得られていない現状への不満を歌った歌でした。

私ことビリー・アイリッシュが望むものは成功が目的ではありません。

彼女の関心は価値ある新しい音楽を世界に送り出すことでしょう。

しかしその結果、人々が彼女に対してネガティブな印象を持つことすらありえます。

実際に若い彼女の音楽に対する知識の幼さに浸け込んでSNS上で罵倒したりする「大人」がいるのです。

急激なメガヒットに見舞われなければこのような注目のされ方はせずに済んだでしょう。

音楽の成功というものがショービジネス界での成功とイコールになってしまう世界の弊害です。

あなたのモデルと思わしきフィネアスの言葉「彼らは君に相応しくないよ」はどこまでも正当でしょう。

この曲「everything i wanted」に感じる密室性のようなもの。

それはビリー・アイリッシュとフィネアスのふたりだけの関係に閉じたパーソナルな事情を歌うからです。

そのことで共感を得られなくても構わないとビリー・アイリッシュは開き直ります。

優れたアーティストは自身のパーソナルな出来事でさえも普遍的なものへと昇華させるのです。

たとえば学校や職場で馴染めない思いを抱えている人々にこの曲は素晴らしく訴えるでしょう。

もっとはっきり書くといじめられた経験のある人には福音のような響きさえ感じるはずです。

ゴールデンゲートブリッジからの飛び込みというのはこの歌では夢の話でした。

しかし実行に移して亡くなった人の数は途方もないものです。

リアルを揺るがしかねない危険性だってある歌ともいえるでしょう。

しかしこの歌「everything i wanted」は一連の流れの中で必然的に生まれたと確信させます。

その確信こそがビリー・アイリッシュのささやくような歌に力を宿す根拠となっているのです。

歴史が呼んだような運命的な響きのようにこの歌は時代の中で響き渡ります。

つまりこの歌がないと私たちリスナーは先の時代に進めなかったのです。

USオルタナティヴというものの歴史の核心部分はいつも「混沌こそ未来」という言葉に宿ります。

夢の話であり混沌とした物語が展開されますが、こうした有り様こそがリアルでありネクストなのです。

この先にさらにビリー・アイリッシュが切り拓いてゆく世界までも待ち望みたい。

それは「everything i wanted」のように痛みのある世界かもしれません。

しかしそうした世界こそがリアルでありネクストであるというのが私たちの世界の現状なのです。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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