仮面ライダーアマゾンズと深くリンクする楽曲
切り裂くようなギター音、小林太郎の圧倒的な歌唱力と血潮を感じる熱い歌声。
ドラマチックな曲展開が魅力の「DIE SET DOWN」は「仮面ライダーアマゾンズ」の主題歌です。
アマゾン「ズ」は過去作「仮面ライダーアマゾン」のリブート作品にあたります。
特徴
「噛みつき」や「引っ掻き」といった野性味あふれる攻撃、切り裂かれて血しぶきを上げながら散っていく怪人など、シリーズでは異色の作品となっている。主役ライダーのメインの必殺技が、歴代ライダーで初めてキック技ではないのも特色である。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/仮面ライダーアマゾン
昭和50年前後に放送された「異色作」をベースに再構築した「仮面ライダーアマゾンズ」。
そのシーズン2を盛り上げたのが「DIE SET DOWN」なのです。
小林太郎はこの曲とアマゾンズをどのように紐付けしたのでしょうか。
ストーリーや設定と複雑に絡まるこの曲の歌詞を読み解いていきます。
生い立ちと運命
罪は一瞬・罰は一生
この世に生まれたことが
消えない罪と言うなら
生きることが そう
背負いし罰だろう
出典: DIE SET DOWN/作詞:マイクスギヤマ 作曲:山田信夫
罪を犯すのはたった一瞬ですが、その償いは一瞬では終わりません。
自分だけが償いをすれば許されるわけではなく、その責務は周囲へ波及します。
実はこの部分、仮面ライダーアマゾンズの設定そのものを映した歌詞です。
ここには「アマゾンとして生まれてしまった苦悩」が歌われています。
仮面ライダーアマゾンズの「アマゾン」は正義のヒーロー?ではないのです。
大手製薬会社の野座間製薬は、秘密裏に人工生命体アマゾンの研究を行っていたが、2年前に不慮の事故により4000体の実験体が脱走し、人間社会に潜伏してしまった。
アマゾン細胞という人工細胞を培養して作られた彼らは、普段は人間に擬態しているが、人間のタンパク質を好む食人本能を有している。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/仮面ライダーアマゾン
「アマゾン」は人間を捕食するため忌み嫌われ、駆除対象となっている生命体。
そしてこの作品の主人公は、母親が訳あって生み出したアマゾンなのです。
アマゾンとして生まれたのは、主人公が望んだことではありません。
それでも彼は「母親の罪」だとは考えていないようです。
なぜなら「生んだことが罪」という歌詞にはなっていないから。
まるで自分の意志でこの世に生まれ出てきたかのような印象です。
裏を返せば、自分の意志でこの世から去ることもできる、と読み取れるのではないでしょうか。
しかしそれは彼の贖罪とはならない行為なのです。
生を望むなら、死よりも苦しい思いをしなければならない。
アマゾンとして生まれた苦悩が描かれています。
生殺与奪の権利
精神(こころ)がもう息苦しい
さっきまで生命だったものが
あたり一面に転がる
出典: DIE SET DOWN/作詞:マイクスギヤマ 作曲:山田信夫
人間であろうとアマゾンであろうと、細胞が分裂してできた生命体です。
意志を持って生きていた者たちが、駆除によって一瞬にして命を落としていきます。
まるで害虫駆除のように、何の感情も抱かずに行われているのでしょう。
「転がる」という「物」を描写するような歌詞からそんなことが読み取れます。
アマゾンだから、というだけで殺しても良いのでしょうか。
人間だから、というだけで生かしておくことが正しいのでしょうか。
判断は難しいですし、判断できるほど崇高な存在だという意識もないはずです。
だからこそ葛藤し、苦しんでいます。
生きる苦悩
誰も気付かぬ救世主
誰にもわからないだろう
歪んだこの迷彩夜
出典: DIE SET DOWN/作詞:マイクスギヤマ 作曲:山田信夫
森の中で草木に擬態するために使われる柄が「迷彩」です。
アマゾンである主人公は自分の素性を隠して生きなければなりません。
普通の人間に擬態している、と捉えることができます。
人を食らって生きる者であっても彼はそれを望んでいません。
彼が望むのは、アマゾンと人間の共存です。
しかしアマゾンは人を襲い、人はアマゾンを滅ぼそうとしています。
そんな世の中を救いたいという主人公の願いに、誰か気付くでしょうか。
彼は世界を救う救世主になるかもしれないのです。
救世主=メサイア=「迷彩夜」、という解釈もできます。