この彼女の台詞は、なぜカラダだけの関係を保とうとするのか、その動機が見えるような気がします。

彼女は「つき合うと約束したって、そんな約束(形)はいずれ消滅してしまうのよ」と言っているよう。

それを聞いて彼は、彼女の言動を理解できると共感します。

「本当は捨てられるのが怖くて、そんな歪んだ考え方をしているんだろ?俺はむしろそれが好きだ」と。

彼がずっと隠してきた過去

If you don’t know me by now 全部曝したっていい

出典: Fake it/作詞:HIKARI 作曲:Kevin Charge,HIKARI

この英文の意味は「もし君が僕のことを知らないなら そろそろ」となります。

ここで彼の一面がまた明らかになりました。

そう、彼も彼女と同じように女性とカラダだけの関係を持ってきた人間なのです。

そうでなければ、前述の歌詞にあったような“理解できる”という表現にはならないでしょう。

彼女の言葉を「本音(異性と心でつながることへの恐怖感)から出た歪んだ考え方なんだ」と理解できる彼。

これは同じ体験をした人でなければ気づけないことではないでしょうか。

だからこそ、彼は彼女にシンパシーを感じて余計惹かれています。

同じ痛みを抱えていることを察して、なおさら彼女にのめり込んでしまったのですね。

悩みが一緒の異性ってものすごく共感できて、好きになりやすいものです。

また、こういう場合は、「好き」という感情を通り越して「愛」になりやすいのではないでしょうか?

「I rather like it=俺はむしろそれが好きだ」という歌詞が何度か繰り返されてきました。

彼のこうした内情を表現していたようです。

「この思い伝えたい!でも…」彼女に本音は言えない彼

ダメだ Unfairだ I lose my mind

出典: Fake it/作詞:HIKARI 作曲:Kevin Charge,HIKARI

でも、彼はそんな自分のことは伝えられません。

英文では「不公平」だ。「気が狂いそうだ」と言っています。

本当のことを話したからといって、彼女が彼に心を許すとは限らないからです。

それでは「不公平だ」というわけですね。

彼女はクールを装っているのですから、本音を曝したところで否定されてしまうかもしれません。

彼は彼女の前ではクールを気取って、この関係性に満足しているようなフリをしているのでしょう。

彼の彼女に対する日頃の態度が分かる部分です。

あくまでもクールに彼女のやり方に合わせるしかできない彼。

でも本音を言えないからこそ思いが募って「気が狂いそう」になるのでしょう。

人はやりたいことができないと欲求不満に陥ります。

Bメロのサビについて

彼が彼女にどうしても惹かれてやまない理由

So I need you baby
Come and love me, kiss me, kill me 今さら
出会う前になんて 戻れないから

出典: Fake it/作詞:HIKARI 作曲:Kevin Charge,HIKARI

このように考えてくると、最後の1行にある彼の言葉に、重みを感じてしまいますね。

彼は自分の心の傷を遊び人を装うことで隠してきました。

「相手を使い捨てるのは自分の方」で、いつも勝者であったわけです。

ずっと格好つけてきた手前、今さら誰かに本当のことを言えるわけもありません。

ところが、同じ痛みを抱える女性に出会って、彼は救われた気がしたのです。

さらに何人もの男を虜にできるような女性ですから、外見的にもとても魅力的だったのでしょう。

「心の傷」と「犯した過ち」を共有できる異性と出逢ったのです。

なかなかこういう異性と巡り合うことはありません。

「心の傷」はともかく、「犯した過ち」を共有できる相手となるとさらに少なくなります。

まさに彼にとって運命的な出逢いといえるのです。

君のためなら

君が命ずなら I’ll be waiting up all night
報われぬ 愛を数えて

出典: Fake it/作詞:HIKARI 作曲:Kevin Charge,HIKARI

だからこそ、1行目では「一晩中寝ないで待つよ」と言っているのです。

君がそうしろと言うなら、一晩中何度でも愛のない行為をするよ、俺はとても虚しいけど…」。

こんな解釈ができますね。

「やっぱり俺を愛してくれないか?」一気にクライマックスへ

彼の本音