「Señorita」はおとぎ話
2019年発表、ショーン・メンデス&カミラ・カベロによるシングル曲「Señorita」。
若々しい恋愛の風景を爽やかなサウンドで歌いきっています。
世界中で大ヒットしたこの楽曲に描かれたドラマとはどのようなものでしょうか。
タイトルの「Señorita」とは未婚の女性たちを呼ぶ際に使われます。
日本語でいうと「お嬢さん」など少しあらたまった感じの呼び方です。
常夏の楽園・マイアミを舞台にしたちょっと不思議な愛の物語になっています。
マイアミの気候の描写などが私たち日本のリスナーには異国情緒を伝えてくれるでしょう。
愛しあうふたりの男女の恋模様がテーマですが豪華なホテルの様子など細部まで楽しめるはずです。
若いふたりが恋の駆け引きをしながらも純粋な愛へと向かってゆく姿を本当に心から祝福したい。
そんな気分になる素敵な歌詞に仕上がっているのです。
一方でデュエット曲ならではの難問である、どっちの気持ちが歌われているのかという問題があります。
パートの歌い分けをはっきりさせながら訳出してゆきましょう。
暑い土地での熱い恋の物語の世界に浸ってください。
それでは実際の歌詞を見ていきましょう。
恋の駆け引き
お嬢様という呼ばれ方
I love it when you call me señorita
I wish I could pretend I didn't need ya
出典: Señorita/作詞:Ali Tamposi,Andrw Watt,Benny Blanco,Camila Cabello,Charlotte Aitchison,Jack Patterson,Magnus Hoiberg,Shawn Mendes 作曲:Ali Tamposi,Andrw Watt,Benny Blanco,Camila Cabello,Charlotte Aitchison,Jack Patterson,Magnus Hoiberg,Shawn Mendes
「あなたが私のことをセニョリータって呼んでくれるのがすごく好きなの
私がまるであなたのことを必要とも思っていないように振る舞えたらいいのにね」
歌い出しの歌詞です。
登場人物はふたりだけになります。
このラインでの語り手の若い女性である私とあなたです。
ここはカミラ・カベロの歌唱によりますので私が語ります。
後で見てゆくと分かるのですが同じ「I」と「You」でも話者が入れ替わることがあるのです。
ショーン・メンデスのパートになると「I」は男性である僕となります。
デュエット曲の訳出はこの辺りの見極めが非常にむずかしくなるのです。
ともかく私はあなたにお嬢さんと語りかけられることをとても気に入っています。
まだ若い女性にとってみるとお嬢様扱いされていることはどこかプライドを刺激されるのでしょう。
まだ自分は若くて可愛い女性であることをお嬢さんという呼び名に感じることができるのです。
あなたはもちろんお嬢さんと呼ばれることで私が気を良くすることを分かっています。
気にかけた女性にはいい印象をたくさん植え付けてみたいと願うのです。
私の方が首ったけ
But every touch is ooh-la-la-la
It's true, la-la-la
Ooh, I should be runnin'
Ooh, you keep me coming for ya
出典: Señorita/作詞:Ali Tamposi,Andrw Watt,Benny Blanco,Camila Cabello,Charlotte Aitchison,Jack Patterson,Magnus Hoiberg,Shawn Mendes 作曲:Ali Tamposi,Andrw Watt,Benny Blanco,Camila Cabello,Charlotte Aitchison,Jack Patterson,Magnus Hoiberg,Shawn Mendes
「でも触れられるときすべてが最高の気分になる
本当なのよ
オー、もう私はいかなければいけないのに
オー、あなたが私を惹き付けて止まないの」
この愛はどちらかというと女性の私の方があなたの魅力に参っているという設定です。
お嬢さんらしい若々しい恋への憧れのようなものを私は胸に抱いています。
その気持ちを見透かしているあなたが思わせぶりな素振りを魅せるのです。
恋愛経験が少ない私はあなたのこうした策略の中で恋心を育んでゆきます。
思春期の頃ならばどの女性にもあったであろう恋のときめきで私は胸をいっぱいにさせているのです。
わずかなボディタッチのひとつひとつにいったいどんな意味があるのか考えてしまうような恋愛風景。
洋楽のヒット曲でこうした清々しい愛の情景を聴き遂げるのは随分久しぶりな気がします。
強い女性を描くアーティストがあまりに増えてしまいました。
こうした可憐な女性の魅力を私たちはいつの間にか忘れていたかもしれません。
マイアミの月光
ショーン・メンデスのパート
Land in Miami
The air was hot from summer rain
Sweat drippin' off me
Before I even knew her name, la-la-la
It felt like ooh-la-la-la, yeah, no
出典: Señorita/作詞:Ali Tamposi,Andrw Watt,Benny Blanco,Camila Cabello,Charlotte Aitchison,Jack Patterson,Magnus Hoiberg,Shawn Mendes 作曲:Ali Tamposi,Andrw Watt,Benny Blanco,Camila Cabello,Charlotte Aitchison,Jack Patterson,Magnus Hoiberg,Shawn Mendes
「マイアミに着いたよ
夏の雨のせいで大気が暑いね
汗が吹き出してしたたり落ちる
僕は彼女の名前を知る以前から
最高な気分を感じさせられていたさ」
ここからショーン・メンデスのパートになります。
そのため、ここでの「I」は僕と訳出しました。
伊達男がマイアミに登場です。
マイアミというと照りつける強い陽射しのイメージがあるでしょう。
しかしこの日は生憎の夏の雨の日です。
海の方から吹き込んでくる熱い風で汗が止まらないと嘆きます。
セニョリータについては出逢う前から好印象を抱いていました。
そのためにすぐに彼女と仲良くなりたいと狙っているような素振りがうかがえます。
「Señorita」の歌詞は英文を読んでいただくと分かるとおりにかなり粗い叙述です。
ウーララ・ララのような箇所をどう訳出するかが鍵になります。
とりあえず底抜けの明るさが伝わればよいのですから最高と訳出しました。
鼻歌が自然に飛び出すようなリラックスしたムードを想像していてください。
そして舞台はマイアミですから、気分は上々なのです。
風光明媚な土地柄で
Sapphire moonlight
We danced for hours in the sand
Tequila Sunrise
Her body fit right in my hands, la-la-la
It felt like ooh-la-la-la, yeah
出典: Señorita/作詞:Ali Tamposi,Andrw Watt,Benny Blanco,Camila Cabello,Charlotte Aitchison,Jack Patterson,Magnus Hoiberg,Shawn Mendes 作曲:Ali Tamposi,Andrw Watt,Benny Blanco,Camila Cabello,Charlotte Aitchison,Jack Patterson,Magnus Hoiberg,Shawn Mendes