些細な情報すらもトリガーのひとつとなる
I lose control
春めく季節に まだ幼い瞳は終幕を恐れた
I lose control
ひらひら浮かぶ 蝶々は捕まえられ貼りつけられてたね
Good‐morning Mr.Fear
出典: 浸食 lose control/作詞:HYDE 作曲:ken
狂気へと足を踏み入れた流れから入る2コーラス目。
幼少期に、なんらかの事情で死を覚悟するタイミングがあったのでしょう。
このとき植えつけられた死への恐怖が、大人になった今、新たなトリガーとなるのです。
そして、もうひとつ。
死への恐怖を心の底に持ち続ける主人公にとって、大きな衝撃だったものがあります。
それが標本として貼り付けられている蝶の姿でした。
通常ならなんとも思わない人が多い事も、幼い主人公にとっては受け入れ難い現実だったのでしょう。
これらの出来事が主人公の心に深い影を落としていたことは容易に想像できます。
こういった過去を背景に、目覚めた「恐怖」が「狂気」へと変わるトリガーになってしまいました。
もう止めることも、戻ることもできません。
その狂乱ぶりが伺えるのが、この後にくるサビの部分になります。
笑顔の理由
曲を締めくくる歌詞の真意
覚醒されたのは失くしてた傷跡
抑えられないこの腕さえ
焼き尽くす太陽 影を黒く染める
そう気付けば 笑っていた
出典: 浸食 lose control/作詞:HYDE 作曲:ken
フレーズ自体は1コーラス目と同じものです。
しかし違う箇所があります。
1コーラス目のサビでは、まだ目覚めていく様子を描いていただけでした。
しかし、このサビではすでに行動に移しているようなのです。
それがわかるのが、2行目の部分です。
何かを手にかけてしまっている状況。
おそらくは、まさに現在進行形で破壊が行われているのだと思います。
主人公は、一体何を壊しているのか。
それが、1コーラス目のAメロで語られていた「あなた」なのでしょう。
そしてこの主人公の狂気ぶりは4行目に現れています。
そう。主人公は大切な人を手にかけているまさにその瞬間。
意図せず、無意識に「笑っている」のです。
「恐怖」から生まれた「狂気」はこんなに深い闇へと主人公を落としていました。
タガが外れた主人公はさらなる「狂気」へと突き進んでいきます。
自我の崩壊と本能の覚醒
終末に向けた完全なる覚醒
I died then my instinct was born
I died then my instinct was born
I died then my instinct was born
I died then my instinct was born
instinct was born
出典: 浸食 lose control/作詞:HYDE 作曲:ken
さらなる闇へと突き進む主人公が最後につぶやく言葉。
それが曲のラストで繰り返されるこのフレーズです。
直訳すると「本能が生まれたとき、私は死にました」となります。
狂気へと身を落とした刹那、元の理性や自制心を持った自分自身は死んでしまったのです。
つまり、本能の赴くままに笑いながら破壊を行う存在へと変貌した、ということになります。
もう主人公を制するものは何もありません。
ただただ自分の恐怖を払いのけるために、新たな破壊を繰り返す存在と成り果てました。
幼少期に受けたトラウマが元で心に巣喰った闇が最悪の形で発露する現実。
これは何も珍しいことではないと思います。
そんな日常に隣り合わせの恐怖を描いた『浸食 lose control』の歌詞の世界。
いかがだったでしょうか。
これでこの歌詞の考察を終わります。
まとめ
【ご紹介】同時リリースの1曲。L'Arc〜en〜Ciel最大のヒット曲『HONEY』
今回ご紹介した『浸食 lose control』とは対照的な1曲。
ストレートなロックチューンで、今やL'Arc〜en〜Cielの代表曲となったのが『HONEY』です。
ボーカルのhydeさん作詞作曲によるこの曲は、今でもライブで盛り上がるアンセムとなっています。
そんな『HONEY』の世界観を解説した記事をご紹介しますので是非一度ご一読ください!