後にも先にも類を見ないバンドSchool Food Punishmentの代表曲を振り返る

school food punishment【you may crawl】歌詞を解説!浮遊感に浸ろうの画像

2012年に惜しまれつつも解散してしまった4人組ロックバンドSchool Food Punishment(以下SFP)。

2009年のメジャーデビューから数えれば僅か3年という短い期間ですが、後にも先にも類を見ない音像はシーンに強くインパクトを残したのではないでしょうか。

解散の理由として、ボーカルの内村は「歪なものは長く形を保てない」と濁すような言い方をしていましたが、これも言い得て妙。

「歪」という言葉がSFPのサウンドを表すのにこれでもかというぐらいしっくりくるのです。

そうやって解散に際してもバンドのイメージにそぐう言い回しができることにも、ある種のかっこよさを感じますね。

長きにわたって演奏されてきた名曲「you may crawl」

そんなSFPの楽曲の中から、今回スポットを当てるのは「you may crawl」という曲。

この曲はバンドの代表曲としても知られている1曲ですが、リリースされたのは2007年11月21日。

ミニアルバムair feel, color swim」にて。

このときはまだSFPも全て小文字の「school food punishment」を名乗っていました。

そう、なんと彼らがまだメジャーデビューする以前のアルバムで、かなり初期の作品となっているのです。

長きにわたって演奏されてきた1曲なのですね。

メジャーに行ってからSFPを知ったファンでも、この曲が聴きたいがためにインディーズ時代に出されたこの作品を買ったという方もちらほら。

SFP屈指の名曲であるということがそういったことからも見て取れます。

「you may crawl」から垣間見るSFPのバンド像

幻想的なシンセの音色に、遠くから聞こえてくるようなギターフレーズ。

一方でスリリングなフレーズをループさせるリズム隊が耳に強く残ります。

いわゆるロックバンド的な激しさはないけど、迫りくるような音の感覚にゾクゾクさせられる。

これがSFPならではの音像ではないでしょうか。

内村の歌にしてもいかにも流麗で女性的なのですが、ときに刺すような鋭さを持っているようにも感じます。

楽曲後半でバンドの音が止み歌だけになる部分は特に、息を呑むような迫力です。

歌詞の成り立ちもまた興味深い!

サウンドだけでも他とは一線を画すバンドではありますが、歌詞に関しても興味深いエピソードがあります。

10分から15分の間、3人があるモチーフやテーマに沿って、コードやリズムを一定で守りながら演奏するその横で、内村がその音から見える風景や感じ取ったものをノートに歌詞として書いて行く。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/School_Food_Punishment

楽器隊がセッションしている隣で、そのインスピレーションから歌詞を書き上げていくというのはいかにも斬新な方法に感じます。

しかしその曲に乗せる歌詞を作っているわけなので、実際に目の当たりにしながら書き上げるというのは理に適っていますよね。

こう聞くとリアルタイムで手早く仕上げていくような印象を覚えますが、だとしたらそれってとんでもない想像力ではないでしょうか。

多くの場合、歌詞はじっくり練って考えられているものでしょうから…。

完全に音のインスピレーションで書き上げているということも、きっとSFPらしさに繋がっているのでしょうね。

そんな興味をそそられる方法で書かれた歌詞の内容をここから読み解いていきましょう!

思い出したくないのに繰り返し頭を過ること

必要なことなのに思い出したくない

再生の中で夕方になる
不快感 胸中に今更群れる
変化するような 前触れに気付く
毎晩 抵抗する 無駄なセクション 省こう

出典: you may crawl/作詞:内村友美 作曲:School Food Punishment

ここで歌われている「再生」という表現はきっと何かを思い出していることを表すものではないでしょうか。

そう、映像を再生する意味と同じ「再生」です。

何か思い出したくないことが頭を離れなくて、それは済んだことのはずなのに今でもその不快感を強く覚えている。

「夕方になる」という表現は日が暮れるまでそのことを考えていたということでしょう。

どうやらこれは一度だけのことではなく、度々主人公を悩ませていたようです。

今の自分に対して変化を求めるが故にそのことを繰り返し思い出しているような気もするのですが、結局はそのことを無駄だと言って省こうとしているそんな状況。

変わるためには必要なことかもしれないけど、思い出したくないという葛藤が見て取れます。

対立したときにすぐに自分の意志を曲げてしまった主人公