この涙は 誰のものだ
僕のためか 君のためか
カラカラになってそれからまた
誰かといたいと思えるの
出典: ツキヨミ/作詞:ヨシダタクミ 作曲:ヨシダタクミ
目の前からいなくなった「君」を想い涙を流す「僕」。
先ほども書いたように、主人公の内面の世界には「僕」か「君」しかいません。
だから流す涙の理由もこれらの二者択一なのです。
この涙が涸れてから初めて登場する第三者が「誰か」。
主人公は、この「誰か」に出会うことができるのでしょうか。
人として、どうしてもしてしまうこと
Hello, hello
愛しい人
もしも勇者になれたなら
世界を救って 英雄になって
君になにができただろう
出典: ツキヨミ/作詞:ヨシダタクミ 作曲:ヨシダタクミ
起こってしまった事実を前に「たら」、「れば」を考えるのは意味の無いこと。
しかしそれを考えずにはいられないというのも人間の「性(さが)」といえるかもしれません。
主人公に勇ましさは欠片もなく、外に行けば傷ついて帰ってくるのが現実です。
ただひとつ違うのは、泣いて帰ってきてもそれを慰めてくれる「君」がいないということ。
こんな主人公が「君」を救うことはできたのでしょうか。
必死の呼びかけ
Hello, hello
愛しい人
君の声を聞かせてよ
夢の中でもう一度 笑いあえたら
君のための僕になる
瞼の裏側で
話すのがすき 聞くのはきらい
一人でいたい が 独りはきらい
そんな僕のこと救えるのは
世界で君だけと思ってたのに
泣きつかれて
途方にくれて
どうすればいいの なんて なんで
忘れられず 今でもまだ
迷っては生きている
出典: ツキヨミ/作詞:ヨシダタクミ 作曲:ヨシダタクミ
夢の中でしか会えない「君」に必死に呼びかける「僕」。
何となくですが「君」は「僕」の前から突然去ってしまったのかもしれないと思いました。
目をつむれば、広がるのは「君」との楽しかった思い出の光景。
夢の中の「君」はずっと笑顔で「僕」のわがままを聞いていたのでしょう。
現実とのギャップに押し潰されそうになる主人公ですが、それでも生きていくことを選択しています。
主人公の「迷い」とは、楽しかった「君」との思い出を忘れることへの抵抗なのではないでしょうか。
夢での再会
Hello, hello
愛しい人
夢で会えた夜のこと
ずっと一緒にいれたらなんて
思いながら僕は泣いていた
出典: ツキヨミ/作詞:ヨシダタクミ 作曲:ヨシダタクミ
「君」と夢の中で再会する主人公。
その喜びなのか、あるいは会えない現実への悲しみなのか、主人公は涙を流します。
Hello, hello
愛しい人
君のもとへいかせてよ
死にたいのに死ねないのは
どうしてなんだろう
出典: ツキヨミ/作詞:ヨシダタクミ 作曲:ヨシダタクミ
そして、ここでハッキリとしました。
主人公が愛して止まない「君」はもうこの世にいないのです。
自分も命を絶つことで「君」のもとへ行きたいと願う主人公。
しかし、それが許されない世界に主人公はいます。
それもそのはず、現実の世の中は「君」と「僕」以外にも多くの人が暮らしています。
主人公が死ぬことを悲しむ人もきっといるはずなのです。
そのことに「僕」は気が付いているのでしょうか。
それでも生きろ
どうしようもなく苦しいよ
走れ 走れ
Hello, 昨日
もういいよ
魔法使いにはなれないよ
いきたい 行きたい 逝きたい イキタイ
生きたい
出典: ツキヨミ/作詞:ヨシダタクミ 作曲:ヨシダタクミ