新たな時代の幕開け
「平成」を振り返って
2019年5月1日より、年号が「平成」から「令和」に変わりました。
皆様は「平成」を振り返ってどうでしたか?
一言では言い表せられないかもしれません。
「平成」という時代はバブルの崩壊、リーマンショック、大震災など、ポジティブとはいえない出来事が続きました。
スマホやSNSの発達は人間関係のあり方を大きく変えたともいえます。
様々な問題を抱えながら、必死に生き抜いた人もたくさんいるのではないでしょうか?
今回ご紹介するのはヴィジュアル系バンド・キズの「平成」という楽曲。
傷つきながらも「平成」を生き抜いた経験を綴った歌詞を徹底解説していきます。
こだわりのMV
閉鎖的な空間と激情
こちらが「平成」のMV。
納得できる映像に仕上げるため、公開を約1ヵ月延期したのだとか。
「平成」という時代を振り返りながら、狭い畳部屋の中で激しい演奏を繰り広げています。
閉鎖的な心と、破裂しそうな激情を表現しているのでしょうか?
イルミネーションに使われる電球が、首や腕に巻き付けられているのも印象的です。
途中、電球が巻き付けられた「首吊り」を連想させる縄が垂れ下がります。
「死」をちらつかているのでしょう。
さて、ここからは歌詞の解説に移ります。
希望を失った
たとえ死んだとしても…
一緒に死のう
日も昇るだろ
この命ひとついなくなっても
出典: 平成/作詞:来夢 作曲:来夢
もし自分たちが死んだとしても、世界は知らん顔をしていつもどおり朝日が昇る。
虚しいですね。
「死」を選択するまでにどれだけの絶望を味わったのでしょう?
「死にたい」と感じるのは、それ以上に「生きることが辛い」からのはず。
でも、悩み抜いた末の「死」という選択は、世界全体から見るとちっぽけな影響しか与えないのです…。
自分の存在意義を見つけられないでいるのが読み取れます。
報われないのなら
一緒に死のうよ
綺麗にただ
諦めればいいだけで
一緒に死のうよ
生きたくても
生きられないこの街で
出典: 平成/作詞:来夢 作曲:来夢
やはり、「死」を望む背景には「いっそ楽になりたい」という考えが垣間見えます。
「諦める」という表現にも注目しましょう。
「諦める」ということは、「希望」や「願い」があったということ。
それらを抱えて必死に生きていたのです。
でも、いつまで経っても報われることはない…。
目指す未来を見失ったとき、ふいに絶望の波に襲われ、力尽きそうなのかもしれません。
生き辛さの理由
「人間」になりたかった
やめればいい人間のフリも
人間である必要もない
捨てればいい自尊心も
この国には必要もない
出典: 平成/作詞:来夢 作曲:来夢