アニメの不思議な世界に彩りを添える『Whiteout』
今回ご紹介する曲は、2019年2月27日リリースの『Whiteout』です。
TVアニメ「やがて君になる」のオープニング曲でデビューを果たした安月名莉子。
『Whiteout』も前作同様アニメタイアップを獲得しています。
TVアニメ「ブギーポップは笑わない」エンディングテーマ
『Whiteout』はTVアニメ「ブギーポップは笑わない」のエンディング曲に抜擢されました。
アニメは大人気ライトノベル「ブギーポップ」シリーズを原作としています。
人の欠陥が見えてしまうという特殊な能力者を主人公とし、不思議な世界感で物語が展開していきます。
アニメ詳細は公式ホームページをご覧ください。
エンタテインメントノベルでNo.1シェアを誇るレーベル・電撃文庫に多大な影響を与えた、今なお色褪せることのない名作「ブギーポップは笑わない」シリーズが、刊行から20年の節目で待望のTVアニメ化!
ホワイトアウトから抜け出す鍵は
雪や霧によって地面も山の斜面も空も全てが白に染まり、方向感覚を奪われてしまう現象が「ホワイトアウト」です。
主人公はどのようにしてホワイトアウトを切り抜けるのでしょうか。
胸に抱いていたはずの思いに気づく
識別のWhiteout 幻覚に歪んでく
出典: Whiteout/作詞:ボンジュール鈴木 作曲:ボンジュール鈴木
自分がどこに向かっていたのか、正しいのは右なのか左なのか。
主人公は今、まるで思考が停止してしまったかのような状態に陥っています。
今まで目の前に見えていた道がまるで幻影のように揺れ、おぼろげになっているのでしょう。
それは雪山でのホワイトアウトと同様、どこを見てもヒントになるようなものが何もない状況です。
確かなのは記憶だけ。しかし視覚が役に立たない今、記憶にある景色を辿るのは不可能です。
問いかける気配へ 共鳴をした
出典: Whiteout/作詞:ボンジュール鈴木 作曲:ボンジュール鈴木
雪山でどこを見ても真っ白な状況。
視覚が役に立たないとすれば、他にどんな感覚を研ぎ澄ませば状況が把握できるのでしょうか。
五感の中から拾うとするならば、「聴覚」や「触覚」です。
ホワイトアウトを脱した人のホイッスルの音がすれば、そこに意識が向かいます。
誰かが肩に触れれば、自分以外の人の存在に気づき、より安全な策を練ることができるでしょう。
この歌詞の主人公は、誰かが自分に声をかけようと息を吸い込んだ、そんな僅かな空気の揺れに気づきました。
その瞬間、胸の中にシンパシーが芽生えたのです。
それは、そばにいる「存在」に対するシンパシーではありません。
そばにいる誰かが抱いている「思い」に対するシンパシーです。
言葉どころか声も聞いていないのに、相手の思いに共感してしまう。
そんなことが起こりうるのでしょうか。
加速してくFlashback この気持を探してる
I just live by my raison d’etre
出典: Whiteout/作詞:ボンジュール鈴木 作曲:ボンジュール鈴木
※引用歌詞中「d'e」の「e」はキャレット付き
どこかで聞いたことがある声なのに、誰の声なのか思い出せない。そんな状況を仮定しましょう。
どのTV番組で聞いたか、いつ聞いたか、誰と聞いたか、ラジオだったか。
様々な記憶を手繰り寄せ、ヒントを探します。
この作業を意識せずに一瞬で行ってしまう現象がフラッシュバックです。
例えば特定の音を聞くと、過去の辛い記憶がよみがえってしまうのも代表的なフラッシュバックですね。
主人公は、シンパシーを感じた思いの出どころを探そうとします。
しかしあえて探そうとしなくても、まるで海に沈めた風船のようにあっという間に、記憶が浮かび上がりました。
英詞部分を訳すと「存在意義だけで生きている」。
これまでは「何のために生きているのか」と自問自答していたのかもしれませんね。
しかし記憶がフラッシュバックした瞬間「生きる意味を知っているから生きている」のだと主人公は確信したのです。